がらんとした高級マンション
広州の珠江新城という地名のあたり一帯には高級高層マンションが立ち並んでいる。
ところが、夜、そのあたりを歩いてみれば、灯りのついていない部屋が多い。日本のバブルの時と同じように、投機目的で買われた部屋がたくさんあって、家主は値上がりを期待して高く転売できるチャンスを窺っているのだ。がらんとしたマンションはとてもさびしく見える。
実需のない建物はむだな建物――つまり、不良在庫だ。不良在庫はいつかは清算されなくてはならない。中国経済は右肩上がりで成長を続けているからいいようなものの、住宅バブルはいずれ弾けることになる。
ちなみに、中国では土地の所有権は売買できない。土地はすべて国家のもので、売買できるのはその使用権だけだ。土地の使用については政府の許認可がからむから、使用権の売買にあたっては巨額の闇の金が動くのだとか。これも、住宅価格高騰の一因になっている。賄賂もコストだ。当然、販売価格にそのぶんを上乗せして賄賂に使った資金を回収しようとする。マンションの部屋を購入した人は賄賂も負担させられるわけだ。
ともあれ、中国は二十年ほど高度成長が続いているから、人民はひと昔前の日本のように土地神話を信じている。端から見ていて危なっかしいとは思うけど、日本のように痛い目に遭わなければ、不動産の値段は永遠に上がり続けるものではないとわからないのだろうな。