太陽が大きいですねぇ
はじめて中国へ来た時、片言の日本語を話す中国人に、
「今日は太陽が大きいですねぇ」
と言われたことがあった。
僕はなんのことかわからず、きょとんとしてしまった。
太陽が大きいってなんだろう?
相手がまぶしそうに目を細めたので、僕は、陽射しが強いってことなのかなと思い、
「いい天気だね」
と言ってみた。
「暑いですよぉ。太陽が大きいですよぉ」
相手はうなずきながらそう言い、だるそうにする。かみあっているような、かみあっていないような会話だけど、僕が考えた意味でだいたいあっているようだった。
ぴかっと晴れた天気の時、中国語では、
「太陽大」
と表現する。
気持ちはわかる。
太陽がまぶしく輝いて陽射しのきつい時には、そんな風に感じるものだ。自分の受けた感覚を素直に表したいい表現だと思う。もっとも、これは農村の人が好んで使う表現だそうで、都会育ちの人はあまり言わないのだとか。
最近は、こんな風に言われたら、なるべく突っこみを入れるようにしている。
相手が「太陽大」と言ったらすかさず、
「大きさは一緒や。太陽の高さは高くなったり低くなったりするけど、大きさは変わらへんやろ。太陽が巨大化したら、地球は焼けてまうがな。人類絶滅やで」
と混ぜっ返す。中国人は冗談が好きだから、たいていは笑ってくれる。
他国の表現に突っこみを入れるのもまた面白いものだ。