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第6話 新たな友達


月曜日になり、教室に入るとイブキくんは自分の席で読書していた。


私は隣の席につき、イブキくんに「おはよう」と声をかける。

彼はいつもの素っ気なく、「おはよう」と返してきた。この前との温度差が凄い。

これは本当に私と仲良くなりたいのか分からなくなってきた。


その後、ナルミさんたちやヴァンパイア族のみんなもやってきて一気にクラスは賑やかとなった。


◇◇◇


放課後になり、私はすぐに帰ろうと教室から出ようとするとヴァンパイア族のユアさんが話しかけてきた。


「ヒマリさん、ちょっとお時間いいかしら?」


私は返事をして彼女の方を向く。

ユアさんの周りには同じくヴァンパイア族のシュウヤくん、ヒナタくん、タクトくんの3人もいる。

みんなの鋭い視線におどおどしながら話を聞く。


「この前の親睦会でワタクシがあなたと仲良くなりたいと言ったこと、覚えているかしら?


ーーあなたと連絡先を交換したいと思っていたのですが、よろしいですか?」


「も、もちほんです」


あまりの緊張で甘噛みしたが、スマホのQRコードを急いで出して、読み取りをして貰う。


「ありがとうございます。それではごきげんよう」


彼女たちは優雅に教室から出ていく。

張り詰めた緊張から解放される。


「ユアさんと話すのって緊張するよね」


後ろを向くとナルミさんがいた。


「ゾンビ族でああいう高貴な雰囲気の人ってあんまりいないから、話し慣れないよね」


そう話したナルミさんにそうなんだと思いつつ、私はゾンビ族設定なので、共感をするように頷いた。


「だよね!私もちょっと考えちゃうもの!

まあ自分なりのペースで仲良くなっていこ!」


ナルミさんの明るさに救われるなと心の中で思う。


自分の席を見るとイブキくんはもう帰ったようだ。

スマホを見ると、イブキくんとユアさんから連絡が入っていた。


まずイブキくんのメッセージを見る。


イブキ:話が終わったら、B棟にある図書室に来て欲しい


図書室に呼び出しをされた。何かこみいった話でもあるのだろうか。気になるので向かってみる。


その次にユアさんのメッセージ。


ユア:あなたと連絡先の交換が出来て嬉しいわ!

明日の放課後、2人で学校通りにあるカフェでアフタヌーンティーにでも行きませんか?

そこのスイーツがとても美味しいので是非よかったら、行きましょう?



文面からも気品溢れている。

まずイブキくんの返信をする。



ヒマリ:今すぐ行きます



この前おじさんに撮らせてもらった学内マップの写真を見ながら図書室のあるB棟に移動する。


移動しながらユアさんへの返事を考える。

せっかくなら仲を深めた方がいい気もするが、親睦会の様子を見た感じ、かなり人間に興味がありそうだった。下手なことを言うと、彼女の周りにいるシュウヤくん達に何か言われてしまうかもしれない。

とりあえずイブキくんにも相談してみよう。


図書室に入ると想像より広くて本棚にはびっしり本が敷き詰められており、本の数も相当多く揃えてあるように見える。

図書室には人がほとんどおらず、すぐにイブキくんを見つけられた。


「お待たせしました」


「全然待ってないよ。さあ、座って」


そういって、イブキくんは隣の椅子をトントンと誘導する。

流石に隣の席に座るのは恋人同士だと思われそうなので、向かい合う席に座る。

彼は少し寂しそうな顔をしたが、私はその雰囲気を切るように話を振る。


「それで何か話したいことでもあるの?」


「単刀直入だね」


彼はそう言って笑う。やっぱりクラスにいる時の素っ気ない態度と今の態度とは全く違くて演技が上手だなと思いつつ、本来はどちらの姿なのかも気になる。


「僕はね、ヒマリと仲良くなりたいんだよ」


「それ昨日も言っていたよね?なんで?」


「だって、君のことが気になるから」


告白かよと心の中でツッコミしつつ、真剣な表情に少しときめく。


「そ、そうなんだ〜、へえー、例えば何が気になるの?」


先程のちょっとした甘い空気を変えようと、不自然だが質問をした。


「ふるさとの話とか?小さい時は何で遊んでいたかとか?」


なるほど。私のことを探ろうとしているな。正直この世界のことをほとんど知らないので、どのように答えたらいいか分からないので質問返しする。


「そういうイブキくんは小さい時は何をするのが、好きな子供だったの?」


「そうだね、僕は昔から本を読むのが好きだったよ。

だから図書室みたいな本に囲まれた所にいると安心するんだ」


先程の人を見極める目から優しい穏やかな表情で話しているのでこれは本心を話していそうだ。


「読書するのが好きなんだね!だから休憩入ったり朝も本を読んでいるんだね!

私は本というより漫画の方が好きかな」


そういうと彼は驚いた表情でこちらを見る。


「ヒマリは漫画を読んだことがあるの?」


「うん」


「凄いな」


え、何で?と聞きたいが、それだと私がこの世界のことを1ミリも知らないことがバレてしまうので、彼のターンにしておこう。


「漫画って一部の人しか読めないとても貴重な本だから、やっぱり家族に人間がいるとそういう本も家に置いてあったりするんだね」


「そうそう!だからいつも同じ漫画を何回も読んでいたよ」


「ちなみにヒマリの家にはどんな漫画が置いてあったの?」


「えーと、それは……」


この世界で流通している漫画が何か分からないが、とりあえず有名なアレを言ってみよう。


「1人の少年が海賊になって、この世界の宝物を探す冒険漫画だよ」


彼の顔色を疑うと、輝いた目でこちらを見てきた。


「人間界でとても有名な作品だと聞いているよ!この図書室にも置いてあるらしい。僕も読んでみたかったんだ」


よかった。やっぱりあの漫画は異世界でも有名で世界共通なのは凄い。


「他にはどんなことをして過ごしていたんだ?」


彼はもっと知りたそうに前のめりになって質問をしてくる。普段との様子からは想像がつかないぐらい食いついていてギャップがあってなんか良い。


「他だと、トランプのババ抜きとか神経衰弱とかかな」


この世界にもありそうな無難な遊びを挙げてみる。彼の顔を見ると普通に聞いていた。答えとしては正解だったようだ。心の中で安堵する。


「いいね!僕はあまりトランプで遊んだことがないからやってみたいな」


「そうなの!?意外だよ!」


「僕、昔から人付き合いが苦手で1人でいることが多かったんだ」


「そうなんだ。じゃあ、今度私とトランプで遊ぼう?」


「でも、トランプって2人で遊べるゲームないよね?」


「スピードなら2人で遊べるよ」


「スピードって何?」


彼は初めて聞く単語に興味津々だ。


「スピードは相手より早く数字を重ねていくゲームだよ!例えばテーブルに3のカードが置いてあるとする。そしたら、3の前後の数字の2か4が置けるの。手持ちにそれがあったら置いていって、以下に手元の札を早く無くせるか競うゲームだよ」


「へえー!初めて聞いた。今度やってみたいな」


「やろう!でも、トランプ持ってないや」


「図書室にもトランプが置いてあるみたいだよ。

ほら、あそこの棚に置いてあるよ」


彼の指の差した方向を向くと、端の棚にチェスやトランプなどのテーブルゲームが置かれていた。


「置いてあるんだ!でも、今から遊んだら遅くなっちゃうから、また時間がある時に遊ぼう」


「そうだね。やっぱりヒマリは物知りだな」


「いやいや、そんなことないよ。

イブキくんとお話出来て楽しかったよ」


「あと、あのさ、何で僕のことイブキくんって呼ぶの?」


そういえば、この世界では名前を呼ぶのが普通で苗字で呼ぶのはよくないことを忘れていた。


「あ、ごめん!悪気はなかったの!

これからはユイトくんって呼ぶね!」


「いや、全然いいよ。ヒマリからイブキくんって言われるのは嫌じゃなかったし、むしろこれからもそう呼んで欲しい。

だけど、2人の時だけがいいかな」


「了解!2人の時だけイブキくん呼びするね!」


「ありがとう。明日も今日みたいに図書室で話したいけど、ヒマリはどう?」


「ごめん!明日はユアさんに放課後誘われてるからまた今度ね!」


「そっか。でも、ユアさんとはいつ仲良くなったの?」


「まだ仲良くなったというか初めて誘われただけでほとんど話したこともないから不安なんだけど、せっかくならお話してみたいと思ってね!」


「そうなんだ。

ヒマリ、気を付けてね。ヴァンパイア族は危険だから。あまり心を開かない方がいい」


彼は今日1番の真剣な顔で忠告する。


「わかった」


何か嫌な思い出でもあるのかと勘繰ってしまうが、今は考えないようにする。


「よし、帰ろうか。女子寮まで送っていくよ」


「いや送らなくていいよ!勘違いされるから!」


「僕は別に勘違いされてもいいけれど?」


怪しい微笑を浮かべながら意地悪なことを言う。


「私が困ります!私たちは友達なんだから、いちいち説明するのもね」


「わかった。でも、女子寮の手前までは送らせて」


そういってカバンを持ち、私たちは寮に戻る。


「今日はイブキくんと話せて楽しかったよ!」


「こちらこそ。

ヒマリと話せて僕も楽しかった。また話そうね」


すぐに女子寮の手前の道に着いて、「またね」と言って道を歩こうとすると、彼は私の腕を掴む。


「どうしたの?」


「ごめん、何でもない。ヒマリ、また明日ね」


そういってすぐに私の腕を離して、彼はすぐに背を向けて帰ってしまった。


何だったんだろう?と疑問に思いながらも私は部屋に戻る。


そしてユアさんのメッセージに返信する。


ヒマリ:もちろんです!

明日の放課後、お話しましょう!


そういったはいいものの、よくよく考えたら私はお金を持っていない。


ユアさんに全部支払って貰うのもタダ飯はやばいし、どうしよう。


そういう時はおじさんに連絡する。


ヒマリ:こんばんは!

質問があり、連絡しました。

私はこの世界のお金を持っていないのですが、どうしたらいいですか?


すぐに既読が付き、返事が送られてきた。


おじさん:そういえば話しておくのを忘れていたね!

スマホのアプリの中に学校の絵が書かれたものがあるだろう。

そこをタップすると学校の学生証だったり、学内の構内図だったり、学生寮の食堂のメニューとかあらゆる学校の情報が記載されているアプリがあるんだ。

その中に全生徒には毎月5000円分のポイントが支給されて、それで学校通りでも買い物出来たり食事することが出来るよ。

ただし、この学校通りから外になってしまうと使えないので注意して欲しい。


ヒマリ:ありがとうございます!

確認してみます!


学校のアプリを開くと、本当にポイントが入っていた。4月分5000ポイントと書いてあり、これで奢られるずに済むし、安心して明日はカフェに行ける。


おじさんが言っていた通り、学内のマップやクラスの時間割、この学校の生徒の名簿など色々見れて優秀なアプリである。


時間があるときにゆっくり見よう。


今日も課題をやらなきゃだし、まだご飯も食べていないからやることを地味にあって大変だと思いながら、ご飯を食べに食堂へ向かう。


そういえばユアさんはいつも食堂ではご飯食べている姿を見かけないけど、どこで食事しているのだろうとふと気になる。

明日聞いてみよう。


そしてまた昨日食べて気に入ったしょうゆラーメンを食べて胃を満足にさせる。

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