男女②
「私、卵で包んであるのがオムライスだと思うの。これ、卵を乗せているだけよね?」
ふわとろ卵の端をフォークでひっかく。莫迦。せっかくふたりでランチなのになぜ思ったことを包み隠せない。声が上擦る。
「じ、自分で作るといつも卵が破れて包めないの、だから」
彼の長い指がグラスを置いた。
「俺、薄焼き卵得意」
「え?」
「だから、うち来たらオムライス作るけど、包んだの。あ、別にうちじゃなくても、ふ、藤川さんちでも、いや、急だよね急、別に俺下心とかじゃあ今度弁当で……つうか忘れて?」
そっぽを向いた顔には朱が浮いていた。
ぜんぜん、包み隠せていない、彼も。
だから、智沙も熱い顔で言った。
「食べに、行っていい?」
2020/2/1 第61回 #Twitter300字ss @Tw300ss お題 / 包む
//ツツミのふたりの続きでありました。あの続きもなくはないですが野暮なような。
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どうして私と結婚したの。
「昔、助けてもらった狸なんだよ」
恩ね。仕方なくなのね。
「一目惚れしたんだ」
そもそも狸を助けた覚えありません。
「……化けてたからなあ」
もふりたいから変身解いて。
「お腹まわりがちょっと嫌かな」
どうせ、いつかは豊かになるわよ。
「じゃあ、そのときにね」
2020/02/09 狸でもオッケー




