第8話 親友②
翔希の言う通り待っていると、数分後息を切らしながらまた戻ってきた。
「友達ときてたんでしょう。また戻ってあげないと、友達を待たせちゃうんじゃないの?」
と真希が心配そうに尋ねる。
「ああ、友達には急用ができたと断ってきた。」
翔希は平然とそういった。
「それに同中のやつらだから優希のことを見て勘づくやつもいるかもしれないしな。」
と翔希はボクのほうを見ながら言った。
ボクたちはーといっても翔希はどうかわからないがーさっき昼食をとったばかりなのにまたフードコートの一席に陣取った。ボクのとなりには翔希、目の前には加奈が座っている。ボクたち4人が集まるときはいつもこの席順なのだ。男子は男子でとなりあい、女子は女子でとなりあう。でも今は、女子が不本意ながらボクも含めて3人に対し、男子は1人とアンバランスな状態である。そのためか翔希はいつもよりも落ち着きがない気がする。
「ホントに優希なのか?」
翔希はまだ信じられないようでまた尋ねてくる。
「うん。」
ボクはひとことでそう答える。
「女装趣味があったのか?」
「「「はぁ?」」」
ボクたち3人は翔希の問いかけに声を揃える。さっきのはボクが女の子であるということではなく女装趣味があるということに『勘づく』かもしれないということだったらしい。
「あんた、どんだけ鈍いのよ。普通こんな格好してたら優希が女の子だと思うでしょ。」
と真希からきつい言葉。確かに翔希は鈍いと思うけど、仲が良かった友達が実は女の子だなんて誰も想像しないだろう。実際、翔希と最後にあったのは男の子の時だ。
「えっ⁉︎これまでずっと女の子ってことを隠してたのか?」
「「「はぁ……。」
今度は3人同時のため息。
「あのね、お兄ちゃんは、今日の朝起きたら女の子になっちゃってたの。それで今はお兄ちゃんの服とかを買いに来てたの。」
加奈がわかるように説明する。
「ああ、なるほど。…って簡単に納得できる話じゃないよね?」
「でも顔は優希の面影が残ってるでしょ。」
「まぁ、今まで通りかわいいけど。」
「お兄ちゃんはよく女の子に間違えられてたからね。」
「ホント、私よりも多く男の子に告られてたんじゃない?」
「駅前とかでナンパもよくされてたしね。」
加奈と真希、翔希が好き勝手に言ってくれる。
「ちょっと、そんなことないよ。確かに少しは男に告白されたりナンパされたりしたけど。」
「いや、優希は男の子の時から美少女だったよ。」
「「うん。」」
真希がそう答え、2人が同意する。
「まぁ、とにかく優希が女の子になったと言うことだな。」
「まぁ、そういう事ね。」
翔希も納得してくれたようだ。




