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第1話 どうしてこうなった‼︎


とある朝。いつも通りであるはずだった朝。どうしてこうなった?


オレこと、佐倉優希、15歳、高校1年生、性別男。だったよな?身長は少し低め。顔は少しだけ女顔。本当に少しだけだぞ。いくら背の順が一番前だからって、いくら男から告白されたことが……これ以上は考えないようにしよう。考えていてむなしくなってくる。でも確かに男だったはず。なのに背中までかかる長い黒髪。少しばかり服を押し上げる胸。くびれのある腰に丸みを帯びたお尻。そしてあるべきものはそこには存在しなかった。


朝、春休みであることも手伝って起きたのは午前10時。ボクはベッドから立ち上が……ろうとしてこけた。


「痛っ」


まだ寝ぼけているのか。その音を聞きつけて誰かが部屋のドアをノックする。


「お兄ちゃん、大丈夫。」

僕には双子の妹と2つ下の弟がいる。で今の声は妹の加奈だ。加奈はボクとは違い整った顔をしている。長い髪にぱっちり二重の目。誰が見てもかわいい女の子だ。一方のボクの方は…まぁ平均的な顔だろう。誰だ今女顔とか言った奴は。


とにもかくにも声をかけられたのだから返事をしないといけない。

「ただ寝ぼけててこけただけだから大丈夫だよ。」

ドアの外の妹にそう返事をする。ただ少し声が高く感じた。


すると、妹も声に異変を感じたのか。バン、とドアが開けられる。そして妹の顔が目に入る。口が開きっぱなしだ。

「どうしたんだ。大丈夫と言っただろ。」

「………」

妹からの返事はない。少しの間があって加奈は、

「えっと…、どちら様でしょうか?」

「…どちら様ってお前の兄の優希だよ。」

「…………」

「…………」

「えぇーーーーー!」

妹の声が響き渡る。うん。今ので完全に目が覚めた。


目が覚めたボクを加奈がすごい力で洗面所まで引っ張っていく。そういえば加奈よりも視点が低い気がする。前は同じぐらいかボクの方が少し高かったはずなのに。やっぱりまだ寝ぼけてるのかな。そう思いながら洗面所の鏡の前まで連れていく。


「…………」

「…………」

「えぇーーーーー!」

今度はボクが声を上げる番だった。鏡には顔の整った妹の加奈と、その加奈よりやや背が低いが同様に顔の整った美少女。


鏡に手を振ってみる。そうすると鏡の中の美少女は同様に手を振り返してくる。次に変顔をしてみる。鏡の中の美少女も変顔を返してくる。


「ははは、これは夢だよな。」

そう思い頰を思いっきりつねってみる。うん、とても痛い。鏡の中の美少女も痛がった顔をしていた。


「……ホントにお兄ちゃん、なの?」

と妹に聞かれ

「うん、……たぶん。」

と曖昧に答えるしかなかった。だってねぇ、こんな姿見たらホントにボクは優希なのか分からなくなっちゃうじゃん。


「じゃ、じゃあお兄ちゃん、自分の名前は?」

「佐倉優希」

「年は?」

「15歳、高校1年生」

「今月から通う高校は?」

「名取第三高校」

妹の質問に今度ははっきりとスラスラと答えていく。ちなみに名取第三高校とは、家から徒歩20分のところにある高校で妹の加奈も通うことになっている。


その後もいくつかの質問が投げかけられ、加奈は目の前の美少女が本物のお兄ちゃんであると結論づけた。

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