事実
波留はそのまま眠りについた。
『なにしてるの?あなたにはやるべき事があるでしょう。』
ある声に波留は目を覚ました。
「おか、、、さん?」
でも、そこには誰もいない。
「……行かなきゃ。」
急いで着替え、玄関に行こうとすると遺影が独りでに倒れた。
遺影を持ち上げると、無残にも割れたガラスが写真を傷つけている。
「お母さん、ごめんね。写真…これしかないんだ。」
そう、一言だけ言うと、波留はそのまま家を出た。
カフェにつくと龍馬が深刻な顔で待っていた。
「波留ちゃん、黒河とは離れた方がいい。黒河が何歳か知ってる?」
「30前半くらい?」
「正解。受け止められないかも知れないけど、、、黒河は優子さんの2番目の旦那だ。」
波留は固まった。
黒河が、お母さんを殺した……?
「なにそれ、、、。殺人犯じゃない、、、。なんで、、、なんで黒河は捕まらないの!?」
「お金で全て、ねじ伏せてしまったんだ。優子さんが黒河と再婚したのもお金のためだよ。優子さんの夢は獣医になる事だった。でも、叶わなかった。だから、波留ちゃんに。って思ったんだろうね。そのためにもお金が必要だったらしい。」
「そんなの、、、そんなの、、、。」
お母さんのぬくもりを知らない波留は怒りしか芽生えなかった。
お母さんの気持ちが知りたい、、、。