本音
帰り際に渡された、龍馬の連絡先。
Rrrrrrr
『ん、はい、もしもし』
『わたし、波留です。』
『ん?あ、ああ!どうしたの?』
『龍馬さん、黒河晴人って知ってますか?』
一瞬、龍馬の返答がつっかえたように感じた。
でも、龍馬は軽々しく答えた。
『んー、最近デビューしたバンドのこ?』
波留は、前乗りになって声を荒らげた。
『そ、そうです!なにか知ってるんですか!?なんでも、いいんです!教えてください!』
『波留ちゃん、世の中には聞かない方がいいことってあるんだよ?、、、でも、どうしても聞きたいんなら止める気はない。』
波留はつばを飲んだ。
『……教えてください。』
『ふふっ。波留ちゃんもいつの間にか大人になってたんだね。明日、カフェにおいで。時間は12時くらいがいいな。俺、明日、午前中あがりだから。』
『明日…。電話じゃ言えないことですか?』
『これから用事があるんだよ、、、。それに、電話で話していいような内容じゃないと思うんだ。』
『そうですか。わかりました。』
波留は電話をきると、脱衣所に向かった。
服を脱いで、鏡を見る。
そこには、、、
全身アザだらけの自分がいた。
なんで、アザだらけなのか思い出せない。
、、、記憶がない。
シャーーーーー。
シャワーの音が風呂場に児玉する。
洗っても洗っても消えることのないアザ。
いつまで闇の中に閉じこもっているつもりだろう。
水着はもちろん、夏服さえも着れない波留。
「ふっ。こんなの考えて、何になるの。」
…キュ。
シャワーからもれる水滴が落ちるまもなく、波留は風呂場を後にした。
髪を適当にまとめ、久しぶりに母の遺影の前に座った。
「お母さん…お母さんって、料理下手だったんだね。お父さんって、輝いてたんだね。ねぇ、お母さん、泣きたい時には泣いてもいいって言ったよね。わたし、泣きたいよ、、、。ずっとずっと堪えてきた。でも、今は堪えたくないのに、堪えることしか出来なくなってる。」
少しずつ、、、少しずつでいい。
絡まった糸は、解けていくのかな……




