生徒会+α -1
あのチャットが終わった後、生徒会メンバーの個別チャットの方を覗いてみる事にした。このグループには黒木に招待されて入り、生徒会メンバーと話し合う為の場として儲けられている。……………まぁ、私は元々は財団の跡取り的な立場だった事も事実だが、黒華鉄財団を知らない人間にとっては一般人に等しい…………。
それなのにこの転生に巻き込んでしまった事を生徒会長の織村と副会長のクラリスは申し訳ないと思ったのだろう。一応私を敵としてはみないようにしてくれたのだった。………………まぁ、女であることを自分から言うつもりは無いけどね………。
そう思いながら個別チャットの画面を見ると、帰れる保証が無いにも関わらず魔王討伐を目標にしている者達の筆頭、教頭がどの様な人間であるのかが書かれていた。この情報は生徒会会計の宮永からの情報らしい。
……………………ちなみに、黒木は書記で蔵鮫は広報であり、庶務は試験制で募集したが、誰一人合格出来なかった為に一応私がそのポジションになるのだと思う。いや、庶務として働くことは一生無いだろうけどね。
『帝高校教頭の花山 拓蔵は学校用品の開発・販売を主にしている大手企業、ビレッジコーポレーションの跡取りだった。一応は長男だが実力的には五人兄弟の中では1番社長に向いていない為に、名ばかり社長となって会社を倒産させる疫病神になるか、帝高校の教頭となり会社に貢献できるような人間になってから弟や妹達の協力してもらいながら社長となるかという二択で後者を選んだ人間である。』
『…………………………あ~、なんかこれ、後の展開が読めるぞ……。』
『しかし、何かしらの不祥事や社長として働くことが不可能な体になった場合、すぐに弟に社長の座を譲る事。というやり取りがあったらしく、転生後に社長とも呼ばれずにただの一般庶民、またそんな一般庶民な勇者のお供となる事に耐えきれないと思ったのでしょう。』
『…………ただ、向こうの世界に戻れたとして、それはあの隕石が堕ちてきてから何日たっているかも分からないんだぞ?下手したら元の世界に戻ったら世界が滅びてましたという事も十分ありえるんだぞ?』
『それでも教頭は社長の座にずっと座りたいんですよ。それが社長という立場に対し、変な思考を持った人の末路なのですから。』
『……………………まぁそうなるだろうなぁ……………。私の糞親父も似たような物だったよ。黒華鉄の時には安定していたのを社長という立場を使って財団の財政危機と将来的な資源の枯渇を進めているのだから。』
………………………………そういえば、跡取り(笑)の美華が死んだ向こうの世界ではどんなパニックを起こしているだろうかと思うと同時に、セバス達使用人がどうなってしまったのかが気になってしまうという複雑な心境になる私なのであった。




