私はこれでも女性です-1
「…………………で、残っていた『魔鰐の肉』はかなり美味しそうな肉だなぁ……………。これなら価値が700万Gでも文句は言われないよね…………。というわけで、さっさと食べてしまおうかな。」
「わ、私も一緒に食べるんですねてっきり残飯を食べさせられるのかと思っていましたというかマスターの食べ残しが私の糧になるというぐらいの物なのだと思っていましたよいやマスターの食べ残しが残飯の様に汚いわけでは無く…………。」
「……………いや、流石に食べ残しだけを食べさせるなんて事は出来ないから。少なくとも私はそこまで外道にはなりたくないから………。」
少なくとも、あの糞親父や美華の様にはなりたくない。まぁ、レベルは同じだったとしてもタイプは違っていたいという奴だろう。少なくとも妾の息子が本妻の娘に全てを寄越せと言うタイプにはなりたくないのだ。
結果的に美華の死に方はロクな物じゃ無かったからね…………。少なくとも、獣に首を噛まれ、絶命した後にぐちゃぐちゃな肉塊になってしまう最後なんて、余程狂った動物愛好家で無ければ望む可能性が皆無な死に方だしね…………いや、本当に。
「まぁ、これを調理するというのも、デカいブロック肉を適当に切り分けて焼くだけなんだけどね………………。これが牛と鳥と豚のどれに近い扱いなのかが分からないし、他に米しか食材が無いしね……。」
「でもマスターの作った物ならば美味しいと思いますそれにその肉はとても美味しいという噂がありますから焦がさない限り失敗は無いと思いますよ?」
ランタンの言うとおり、失敗する要素は少ないと思う。……………まぁ、ただ肉を焼くだけの単純な作業の為、表だった失敗は無いまま、『魔鰐の肉』をフライパンにて焼き終えた私は、同時に炊きあがった米と供に食べることにした。……………タレが無ければ米と一緒に食べれば良いじゃない……と言いたいくらいにタレなどのつける物が無いため仕方なかったのだ。
「はふっ。もぐっ。……………この肉美味いなぁ……………。肉汁がドバーッと出てくるし、肉の旨みや噛み応えなんかも良い…………。はふっ。もぐっ……………。しかも米に合うから余計に箸が進む………。」
「マスターって女性でしたよね?もう少しゆっくりと淑女らしく食べた方が良いと思いますがでもマスターはどの様な食べ方でも美味しそうに食べていることは分かりますから私はこれ以上は何も言いませんけど。」
「………………ランタン、逆にテントの中でお上品に食べようと思ったら、それこそ辛いと思うぞ?それに、私は幼少の頃は男として育てられてきたから女らしくない事は認めるけどね。」
そう言いながら私は『帝高校チャット』の中のログである『謎の編入生、黒華鉄 剣城 について』を見る。そこでは私が男であることを前提にして話が進んでおり、私は空笑いをしてしまうのだった。




