第四話 第十三部 あっという間に
湯子「(おちついて…私ならしっかり投げられる。)」
湯子は一生懸命落ち着かせようとしている。だけど遠くからみて緊張がまるで丸見えだ。このままだとまずい。何とか声をかけたいけど…タイムを取るようなことにならないと行けない。とにかく遠くからでも声かけないと。
由紀「落ち着いて! 後ろには私たちがいるから! 点差余裕あるから気持ち切り替えていこう!」
私が声をかけると私の方に湯子が顔を向けてくれた。だけど…気力あふれる顔ではなく、焦り一色の顔つきになっている。だめだ、届いていない。このままだと確実にしとめられる。
巴美羽「自信もてー。大丈夫だよー。」
巴美羽が声をかけてくれた。しかし声をかけてるというにはなんともいえない格好だった。しかしそれでもあの投げ方を教えたのは巴美羽だ。その巴美羽を見て少しは落ち着きを取り戻したようだった。さて…この三番バッターを抑えるかどうかがカギになってきそうだ。
シューーー バシン!
ストライクワン!
ストレートが綺麗に決まる。よし、初回のような勢いが戻ってきている。これなら…。
シューーー ギィイイイン!
湯子「あっ。」
夕菜「レフトバックだバック!」
私は思いっきり後ろに走った。ヤバい、この打球は相当伸びる。フェンスが見える。このままだと…。
ポーン!
「イエーーイ!!」
ホームラン。一瞬にして逆転されてしまった。それも一番最悪な形で…。アメリカのチームはなんて…力強いのだろうか。




