第三話 第八部 湯子覚醒
バシーーーン!
ストライクツー!
信じられないようなストレートを投げている。それはいままで見たことのあるストレートとは全くもって違うものだった。湯子が覚醒でもしたのかと思うぐらいの変わりぐあいだった。
湯子「(なにこれ…思いっきり投げやすい!!)」
シュゴオオオ ブンバシーーン!
ストライクバッターアウト!!
別人だ。もう間違いない。完全に覚醒している。巴美羽は腕を組んで口笛を吹いている。なんでこの人がこんなアドバイスができるのだろうか。天才は努力するものを打ち砕くことがあって良いのか…。おこるべきなのだろうか。これだけすごいと…普通なら悔しいという思いがなくなってくる。だけど私にとっては悔しい。あんな人には絶対に負けたくないという思いがこみ上げていく。
シューーー ギィイン!
巴美羽「あ、きたのね。」
巴美羽は余所見しながらボールを捕って適当にファーストに送球する。
バシン! アウト!
巴美羽「あー面倒。」
巴美羽はその後のボール回しも適当にとって適当に返している。なにより余所見をして正確に捕球し、正確に投げる。それが気に食わないというかなんというか…。私には真似できない芸当だった。




