第一話 第二部 私の中学ソフトボールは終わった
「アウト! 集合!!」
試合は完全に負けていた。完敗の内容だった。私の中学ソフトボールが終わった。なのに泣けない…悔しい気持ちで一杯なのに何も感じられなかった。なんで…。私はこうなっちゃったの…。
みちる「由紀…先輩…。」
湯子「ごめん…私のせいで…。ぐすん。」
私はゆっくり立ち上がって整列場所へと向かっていった。
由紀「皆は悪くないよ…私のせいだよ。……ごめん。」
私はいつものように元気になれなかった。それはもちろんだ。両親が亡くなったのだもの。それしか考えられない。そんな自分も何か悔しいようで…もう…考えたくも無い。
「礼!」
「したっ!!」
私たちのチームメイトが泣いている。私はその姿を見ることしかできなかった。泣くにも泣けない…でもこころの奥底がものすごく痛かった。もう野球なんて…。
みちる「先輩…。」
由紀「これからはあなたが引っ張っていくのよ…。私みたいにならないでね…それと、最後に無様な姿を見せてごめん。」
私は深々と謝った。バックを持って外に出て行くと雨が降り始めた。…雨が私の体を貫くように心を痛みつける。お父さん、お母さん。私はどうすればいいの?
「あーあ、努力の天才と呼ばれる人がこれほどだったとはね。」
由紀「…なによ。」
私が振り返るとそこには一人の女性がいた。しかもただの女性じゃない。…努力しないイチローこと、来谷里巴美羽だった。