プロローグ
今日の試合は上手くできた。お父さんとお母さんの前でも打てたし良いプレーもできた。恩返しできた…!速く帰ってお母さんとたくさんお話したい!
「ただいま!」
私が家に帰ると誰もいなかった。おばあちゃんは確か今日出かける予定はなかったはず。いったいなんでだろう…。もしかしてサプライズかな!
トゥルルルルル…
電話の音? 誰かな? とにかく電話に出ないと。
「はい、もしもし?」
「由紀!? 帰って来たの!? すぐに病院に来なさい!!」
おばあちゃんの声だ。かなり急いでいるみたいだし…え? 病院?
「病院って? 何があったの!?」
「お父さんとお母さんが交通事故にあったのよ!! 速く!!」
交通事故? うそでしょ、何かの間違いでしょ。事故なんて…そんなことありえない! だって…お父さんとお母さんは…試合を見に来てくれたし…応援してくれたし…。
「速く!!」
私は受話器をその場においてすぐに家から飛び出した。自転車のカギと携帯、家のカギを閉めてすぐ自転車に乗り込んだ。事故だなんて…信じたくないよ! でもただの怪我だけかもしれない。そうだよ、高速使うような道でもないし、この辺は事故が少ないから。そうだよ、スピード出せるところなんて一つもない! だから…大丈夫だよ、きっと大げさなだけ…。だとしても急がないと…お父さん…! お母さん…!
「お父さん! お母さん!!」
「うぅ………。」
勢い良く入った私は目の前の光景に何が何だかわからなくなっていた。お父さんとお母さんの顔には…白い…布? おばあちゃんがベットにしがみつくように泣いている…。近くには親戚の人たちもいて号泣している…。あれはおじさん、おばさん…いとこまで。医者まで…。そんな…嘘でしょ。私のお父さんとお母さんはずっと私のこと見守ってくれるって…約束…したはずだよ…。ねえ、…なんで…。
「うわぁああああああああああああああああ!!!!!」
その後のことは覚えていない。私は気を失っていたらしく、目が覚めたら白い天井がみえていた…。私のお父さんとお母さんが…死んだ。今の私にはそんなこと信じられなかった…。
表紙絵があります!
今回はだ~じりん。さんに描いていただきました!ありがとうございます!
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