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 紅潮した実咲人の顔が間近に迫る。

「せ、責任って」

 哲平の声は上擦った。

「責任は責任だよ。コドモじゃないんだからそのくらい分るでしょ」

「そ……」

 それは言葉の意味するところは分る。どういうシチュエーションで使われたりするのかも。

 たとえば好きな相手がいたとして。

 想いがこうじてコトに及んだとして。

 結果としてそうなったのなら。

 哲平は逃げも隠れもしない。むしろ望んで引き受けるだろう。

 故あって色恋からは当分距離を置く決意をしているものの、それはそれだ。

 見目麗しいならその方がいい。けれど顔形みたいな表面だけの美しさにはとらわれない。内なる心の輝きが自然と外に顕れているような、花の如き笑顔の持ち主がいい。

 そして真っ直ぐな人。自分の気持ちを偽らず、前向きで、正しいと信じることのためには時には無茶もする。それでいて生真面目だったり頑なだったりするのではなく、むしろ愛敬があって。

 もちろん全部ただの理想だ。実際そんな何もかも自分の思う通りの相手なんて――。

 目の前にいた。

「セキニン……取ってくれるよね?」

 見上げた瞳が潤んだような光を宿す。まるで蠱にかけられたみたいに哲平の口は動いた。

「そ……」

「そ?」

「そんなことが、できるかっ!!」

 当り前だ。

 女らしくない、というのならいいとしても。女でないというのは論外だ。

 実咲人がそっち系の性向なのは別に実咲人の勝手だが、哲平がそれにつき合わなければならない理由はない。

 なのに実咲人は。

「どうして?」

 ひどく哀しそうな顔をした。

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