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私勇者さん、今冤罪で断頭台にいるの~打ち切り改稿します~  作者:
一章:当代勇者カインの十九年
12/15

11話.勇者のパーティ④~カインはやっとダンジョンに入る~

皆様こんばんは。

巻きの二話め、あと三話ほどで取り敢えずの〆となる予定でございます。

カインくんの歴史講座がなげえのなんの。エリンもごねるしもーね。

翌朝、『剣聖』クレイの部屋をノックし起床を確認してから朝食を摂りに宿の食堂へ行くと、女性陣はちょうど食べ終えたところだった。

カインは朝食を受け取ってから声をかける。


「二人とも、おはようございます」

「おはよ、カインくん!よく寝られたかなっ?」

「……はよ。ゆうべはお楽しみでしたね」

「いや誰とですか。私はしっかり寝ましたよ。お二人はよく寝られました?」


カインはソニアの隣に座り、苦笑混じりに返答した。

内心、『エリンさんも地球の知識あったりしないですよね?』などと思いつつ。


「ぐっすりよー。起きたら本当にエリンちゃん私の胸に収まってたからびっくりしたけどね、しかもご丁寧に寝間着の中に潜り込んでるんだもん!」

「……これが“無貌”本来の力。でもソニア姉のおっぱいは人をダメにする。危険」

「お楽しみだったのエリンさんじゃないですか。そろそろクレイさんも降りてこられると思いますけど、お二人はどうされます?」


カインの問いかけに、二人は少し悩むような仕草。


「うーん、少しくらいはお喋りしていきたいけど、これでも女の子だからねー。朝の時間は貴重なんだよねぇ。」

「……ん。ソニア姉にお風呂してもらう。一時間半は必要。いてもあと二0分」

「え、浴場使うんじゃなくてソニアお姉ちゃんがやるんですか?どこで風呂なんて出す気なんです?」

「ふっふっふ、この『賢なる聖女』様にかかれば自分で出した水を加温するのも床が濡れないよう固定するのも、万一のために床を保護するのも朝ご飯の後だろうと朝飯前なのさ。あ、カインくんもご飯食べたら入りにくる?お姉ちゃんが一緒に入ってあげるよ?」

「いえ、遠慮しておきますよ。私は誰かさんいわく“クソ真面目”らしいので」


「そうだな、“クソ真面目”な童貞だな」

「あ、おはようございます童貞だった人の骸骨さん」


ちょうど、クレイが朝食を受け取ってやって来たため、エリンの口からこぼれた舌打ちを聞こえなかったことにして彼の声に応じるカイン。

女性陣も、エリンの隣に座ったクレイと挨拶を交わす。


「よく寝られました?」

「まぁな。『剣聖』たるものどこでもすぐに寝られるし、逆にどこでどれほど深く寝ててもすぐに起きられる」

「試しに魔法で眠らせてみたくなりますね」

「やめてくれ、自発的なものに限ると決まっているだろう。それで?今日は出発予定の十分前に私の部屋に集合だったな?」

「ええ、クレイさんには申し訳ないですが、女性陣が使った方の二人部屋にお邪魔するのはアレですからね。集まって問題なければ、アヴァロニスタからすこし南西にあるCランクダンジョンで軽く慣らしてみましょう。昨日の夕食後に見せてもらったステータスなら恐らくですが皆一人ずつ入っても大丈夫でしょうが」


そう、四人は既にお互いの鑑定符を見せ合ってはいた。

別に実戦だけが戦力確認の方法でもなし、というわけだ。


クレイも同感だったようで、食事しながらあっさりした返答をする。


「ふむ。私もCで大丈夫というのは同意見だな。そこのダンジョンの特徴は?」

「上層は洞窟、その中にいくつか道があり最後まで抜けると中層、中心に向かって擂鉢状に下る大樹海外周部のどこかに出るそうです。樹海の中心は古代遺跡風の迷路になっていて、この中が深層、迷路を抜けると“地下に封印された化け物”といった設定でボスバトル、だそうですよ。出る魔物も環境から想像される通りです」

「なるほど……女性二人はそっち系の魔物は大丈夫なのか?」


『そっち系の魔物』というのは、洞窟や樹海といった環境型ダンジョンの虫系魔物だ。

そもそも虫系の魔物は、まるで異世界“勇者”たちの世界“地球”ではるか昔生きていたらしい巨大昆虫のような、人類サイズやそれ以上の大きさのものも多い。

“地球”の巨大昆虫は酸素という、大抵の陸棲動物が必要とする空気の一種の割合が減って小さくなっていったらしいが、魔物はその辺り鈍感なようで、大小様々だ。

中でも洞窟、樹海は特に「見た目が既に有害」な虫が多いのが特徴だ。


「大丈夫だよー、王子様がダンジョン行けって言ったのは地形変えられないからでしょ?構造物も建造物も表面しか壊せないんだから何も気にせず蒸発させちゃえば良いんだよっ!」

「まってお姉ちゃん何も良くないです、それ同業者巻き込まないようにちゃんとなってます?」

「あははー、もちろんさカインくん!きっと巻き添え喰らうような未熟な冒険者はいない!」

「ちなみに魔物を蒸発させられると金にならないが。その対策も出来ているのか?」

「もちろん!さっぱりだよっ!」

「じゃあ蒸発は却下ですね」

「却下だな」


男二人の意見が揃う。


「ああん噓だよ噓!あれでしょ!圧縮した魔法とかで風穴一発とかならいいんでしょ!“六重奏”の真髄は火力だけじゃないのだよ?」

「まぁ、最大火力がどれ程かは知りたいので、ボス戦では先制一発お願いしますね」

「やたー!カインくんほんとかわいいねカインくんカインくん!」


ソニアはカインを抱きしめてわしゃわしゃと頭を撫でる。

食事中だったカインは芋の炒め物をこぼしてしまい非常に残念な顔。

でもカインの方からソニアの隣に来たんだからソニアは悪くないのだ。

カインの隣にいないエリンの機嫌は大層悪いけれど。


「お姉ちゃん、芋が食べれないから離れてください。エリンさん?めっちゃ不機嫌そうですけど、そういう魔物苦手ですか?」

「なにおー?お姉ちゃんよりお芋さんの方が大事だとゆうのかー!」

「……ん。へーき。今はソニア姉にカインくん取られたからおこ」

「私は人形かなんかですか……。まぁ、大丈夫なら良いんです」

「……そもそも虫は私を狙わない」

「たしかに」


大いに納得してカインはクレイの方へ顔を向ける。


「一応聞いておきますけど、クレイさんは大丈夫ですよね?」

「もちろんだ。砂粒レベルに刻めば良い」

「ソニアお姉ちゃんみたいなこと言ってるじゃないですかやだー」

「正直、女性陣が反対することに期待、いや、絶望の濁流に垂らされた藁にすがる思いで聞いた」

「お二人ともそういうの強そうな印象ですもんねぇ……え、別のとこ行きます?」


そう聞きつつ、カインの顔には隠し切れない苦み。


「……頑張れ骨。骨は拾うよ骨」

「おーエリンちゃんが男前だね~、骨の骨を拾うってことは全身持って帰ってあげるのかな?おんぶかー?それともお姫様抱っこ?」

「……ソニア姉、カインくん盗った恨みは忘れてない。腰から下はソニア姉の仕事」

「“勇者”よ。私は死ぬならせめて魔王たちとの戦いの中で死にたい。別のダンジョンにせんか?」

「エリンちゃんごめんってー!お風呂の時、私の胸を枕に寝ながら浸からせてあげるから許してぇ?」


その言葉に、エリンの肩がピクリと揺れる。


「……ソニア姉、今すぐお風呂しよ。骨は予定変更なし。玉ついてるでしょ」

「エリンさん、一応言っておくと生殖器に骨はありませんよ?」

「こ~らカインくん、かわいい女の子になにを言ってるのかな?お姉ちゃんそういうの良くないと思うな~?」

「……骨は玉なし、把握した。やっぱり私には“勇者”の聖剣しかない。カインくん、お風呂で待ってる。はあと」


――どちらに対しても藪蛇だったか。

カインは苦笑しながらひらひらと手を振る。


「えー、ごめんなさい?行きませんからのぼせない程度に入って来てくださいよ。お姉ちゃん、エリンさんが寝過ごさないよう、ちゃんと起こしてあげてくださいね」

「はーい」

「……愚考。そんなヘマしない。あのおっぱいを堪能するのに寝てる暇なんてない」


そうして去っていく二人。

残された男性陣、どちらからともなく出てくる溜息。

理由は別だろうが。


「“勇者”よ。予定は変わらぬか?」

「私、実は昆虫大好きなんですよね。……どうしても厳しいですか?」

「あぁ分かった分かった、もう言わんよ」


そんなこんなでダンジョンアタックのための買い物をしてから、いざダンジョン。




Cランクダンジョンは、大体が「迷わず敵にも遭わずただ歩き続けて抜けるならば、1日で踏破出来る」程度の規模だ。

だが、ダンジョンという場所は俗に“ダンジョンの意志”と呼ばれるなにかの力が働いており、大洞窟や迷路の類は週一程度で道を変えるし、樹海など屋外環境を模した層は昼夜の時間どころか日月星の運行すら滅茶苦茶で、月と太陽が同時に真逆から昇って沈み、直後に満月昇る夜が来る、なんて日もざらだ。

当然のように、魔物もダンジョンランクと等しいレートの魔物が常にどこかで湧いている上に、中々の頻度で溢れ出てくる。


ただし、リターンも大きいのがダンジョンだ。

魔物が食糧源や素材として有用なのは言わずもがな、洞窟の壁には美しい宝石や金属が結晶して滲みでてくるし、樹海であれば一枚を煎じて飲めば腫瘍の病巣のみをキレイに殺す葉をつけるもの、根の周囲に希少金属を沈積させて団塊を形成するものなどもある。

ダンジョンにおける冒険者の仕事はこういったリターンや情報を確実に持ち帰ることであり、国軍のそれは冒険者の持ち帰った情報を基に確実に一定量の間引きを遂行することとなる。


ただし、今回はあくまで戦力確認のためのダンジョンアタック、慣らしである。

各層で野営野宿をするつもりのため、暇つぶしにそういったリターンを探すことにはなるかも知れないが、あまり積極的に持ち帰るつもりは四人にはなかった。

なにせ、彼らは本来BやAランクのダンジョンを相手にすることが想定されている“Aランク認可持ち”のA級冒険者だ。

情報報酬やリソースなど、あまり他の冒険者の稼ぎ場を荒らすわけにもいかない。


ともあれ、だからモチベーションが低いかといえば、そうでもないようで。

一人を除いてみなキラキラした顔でダンジョンを眺めている。


「クレイさん……本当に、心底、絶望的にしんどいようなら別のとこにしますよ?」


カインは小声で確認する。


「いや、まぁ。さすがにそこまでではないが。というかそこまでこのダンジョンがいいのか」

「さぁ?女性たちに良いカッコしたいだけかも知れませんよ?」

「ふん、年端もいかない少年のように目を輝かせて何を言っているのやら」

「仕方ないです。巨大昆虫、もう響きだけでカッコいいですから。ただ女性陣がなんであんなキラキラした顔なのかが気になりますが」


小声を維持したままそう疑問を口にすると、ソニアの顔がこちらを向いた。


「聞こえてるよ~カインくん。お姉ちゃんはかわいいカインくんと一緒に冒険出来るだけで、猛烈に感動しているのさ。ついに、ついにここまで来た……俺たちの戦いは、これからだ!」

「お姉ちゃんそれ物語終わっちゃうやつです」

「え?あれ、そうなの?これからなのに?」


本気できょとんとした顔のソニア。


「え?ツッコミ待ちじゃなかったんですか?“俺たち”なんて言っておいて」

「なんか、言わなきゃいけない気がしたんだよねぇ。エルステラ様のお告げが降りたみたいな?」

「なんですかそれ……こんなことにわざわざ神託をくださるわけないじゃないですか」


――創造神様、異世界から“勇者”を連れて来たりと異世界に色々繋がりあるので有り得そうなのが怖いですね。大陸語もなぜかベースは異世界“勇者”たちの母国日本とやらの言語ですし。


内心の動揺を隠して笑いながら否定するカインである。



「ふむ。言われてみれば、かつて剣の新たな発想を求めて冒険物の創作物語を読んだ時、確かにそんな終わり方をしたものが一冊混じっていたな」

「……骨、文字なんか読めたの。刃のないものは不要とか言ってる人生だと思ってた」

「あ~、じゃあ私もどこかでそれ見たか、誰かがその台詞使ってるの聞いたことあったのかなぁ」

「大方そんなところであろうよ。それからエリン。私は知性ある骨なのだ、覚えておくがいい」

「ですかね。じゃあ、そろそろ入りますか」


どうにも、毎度あらぬ方向へ話が飛ばなければ気が済まないパーティに苦笑半分、素直に楽しい半分でダンジョンへ意識を引き戻すカイン。

入り口を管理する、国軍と協会が合同で使う詰所に冒険者証を提示し、中へ進む。


先に述べた通り、このダンジョンの上層は洞窟だ。


敵性種の魔物としては

Eレートの魔物オーガが洞窟に適応し、かつ上位に至ったハイケイブオーガ。

三m近い体長で、興奮・錯乱と麻痺をもたらす神経毒の気体をまき散らすジャネンヤスデや、人間大のサイズで鋼鉄の大盾すら齧り喰らうオニコベカブリなどの大型の虫、耐火性に優れ壁一面を覆うように蠢く群生ダニ、『死の影』カニバルティック。

瞬間最高速度六00㎞/hを超える速度で狭い洞窟を縦横に飛び回るケイブハフソニックレットという大型のアナツバメ。

『Cレートの水竜』とも評される、見た目にそぐわぬ機動力と獲物を確実に水中に引きずり込む顎の力に高圧放水までやってのけるケイブサラマンダー。

そしてただの水溜りにしか見えない外見と粘性のなさに凶悪な消化能力を有するシーラススライム。

などが高い危険度を誇る。



そんなダンジョンが、天井いっぱいに繫殖したグローワームの織りなすプラネタリウムで彼らを歓迎した。


いやー、「後出し乙w」と言われないようにと語りすぎる語りすぎる。

というかそもそも一話三000字前後でその回に出るもの全て説明しきる意味ないですよね。改めて投稿する時はその辺くどくなり過ぎないよう気をつけます。


ふと、副題を「~没作予定の当作だけど、アレだったから打ち切りまで投げてみた~」にしてみたくなりましたけど完全にアウトなやーつですね。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >出発予定の一0分前 ちょぉwww 10分前なのか『……0分前』的な骨ジョークなのかw [一言] >あとがき どうせなら畳むまで日替わりでタイトルガチャとかw
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