表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まさかのさかな やりなおし  作者: 岩岸佐季
第一章 海王のしっぽ
8/16

訪問者多数

 最近、なんか、妙じゃ。

 具体的に、何がおかしいというわけではない。わしらは砂を掘り、プランクトンを食べ、たまに来た客にクリーニングをしてやる。


 わしと、白さんと、黒。三匹でいつも通り暮らしているはずじゃ。

 その生活に違いはない。

 その内容に違いはない。

 しかし、なにかが……


「最近、来客が多いですね」

「白さんもそう思うか」


 そう。

 四日前は、数匹の魚をクリーニングしてやった。

 二日前は、十匹ほどの魚が集団でやってきた。

 そして、今日は、午前中、ずーっと途切れず、魚たちが訪れつづけている。


 うーむ。


「ねえ、青さん。このままお客さんが増え続けたら、ぼくたちじゃあ、まかないきれませんよう」

「そうじゃな。白さん。わしらに食べられる量も限界があるからのう」

「…………」


 と、わしらが話している傍らで、黒はもくもくとお客さんをクリーニングしている。

 そう。黒もエビなので、クリーニングができるのじゃ。

 まだ半透明で小さいのに、働きものなんじゃよ。


「どうじゃろうか。ここはひとつ、長老にも相談してみるというのは」

「賛成です。あとで、ウナギさんのところにお邪魔しましょう」


 と、こうしてその日はそのあと、ウナギ長老を訪れ、相談することになった。



   ゅ゜



 翌日。

 由々しき事態じゃ。

 穴から起きてきたわしらの目の前にあったのは、想像を絶する光景じゃった。

 まさかこんなことになるなど、思ってもおらんかったわ。


「青さーん! こっちの方は終わりましたよー!」

「そ、そうか。白さん、それではこっちのチョウチョウウオさんを手伝ってくれるか」

「はぁーい!」


 今、わしらは、


 魚魚魚魚魚魚魚魚魚魚。

 魚魚魚魚魚魚魚。

 魚魚魚魚。

 魚。

 わしら。


 こんな感じになっておる。

 どこで嗅ぎ付けてきたのか、種類も大きさもばらばらの魚たちが、わしらを目当てに押し寄せてきたんじゃ。

 こやつら、並ぼうともせん。我先にクリーニングを受けようと必死な様子じゃ。


「これじゃ終わんないよー!」

「ええい! 並べ! 並ぶのじゃ! 並ばん奴は一番最後にするぞ!」


 宣言通り、割って入ったやつは無視することにする。

 割とおとなしく待っておるやつからクリーニングしていくと、魚といえど学習したようで、そのうち一列に並んで待つようになった。

 お利口じゃ。

 しかし、列が長い。長すぎる。まったくどこまで続いておるんじゃ。


 わしらは次々と魚をさばいていく。

 さばくといっても、料理ではないぞ。綺麗に体を磨いてやるんじゃ。

 虹色に脂ののったアジ。

 ひょっとこのような顔のハギ。

 新型戦闘機のような形のヒラメ。

 でっぷりと太ったコノシロ。


 食っても食ってもキリがないわ。

 そろそろ腹が膨れてきたぞ。

 うー。

 まだ終わらんのか。


 泳ぐのが苦手そうな肥満体型のハコフグ。

 筋肉ムキムキのスズキ。

 電飾を取り付けたような、キラキラのキンメダイ。

 ……お前さんは見たことがないのう。なんという名前なんじゃ?


 ふう、ふう。

 だ、だめじゃの。

 終わらん。というより、終わりそうになると、追加の群れがどこからともなく現れおる。

 白さんも限界みたいじゃし、むごいかもしれんが、残りの魚にはあきらめてもらうか。

 黒よ、おぬしは、まだいけるのか?


「おーい、大丈夫かー!」

「あっ、さかなさん! 応援です、応援が来ました!」

「応援じゃと? あっ、あれはウナギ長老!」


 おお。

 上流のほうから、ウナギ長老が泳いできた。そしてその後ろには、わしもよく見知った魚が何匹もやってくる。

 特徴的な黒の一本縞。

 あれは。

 ホンソメワケベラじゃ!

 クリーニングにおいて、ホンソメワケベラの隣に出るものはこの海におらん。彼らは掃除屋の筆頭なのじゃ。

 ウナギ長老が、彼らを連れてきてくれたんじゃろうか。


「長老、助かったわい! ホンソメワケベラさん、残りはお願いしていいかのう」

「もうおなかいっぱいです」

「…………」


 何匹ものホンソメワケベラたちが、あとはまかせろ、というように並んでいる魚たちに取り掛かっていく。

 ……その中に混じって、黒はまだ掃除をしているな。あまり無理はするなよ。


 それにしても。

 やれやれ、やっと終われるわい。

 げっぷ。

 今日はとにかく巣穴に戻って、ゆっくり過ごすとしよう。


〈 レベルが上がりました 〉

〈 白のレベルが上がりました 〉

〈 黒のレベルが上がりました 〉


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ