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投擲士と探検技工士は洞窟を潜る  作者: 左高例
第二章『次の物語』
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第2話『さらばゾクフー』


 技工士クラフトワーカー

 世界で数える程しかいない特殊能力者だ。

 山を崩し谷を埋めて道を均し街を起しそして去っていく。

 下手すると変な宗教でも生まれかねないような、大規模な道具作成能力を持つ個人。

 まあ勿論、正体を隠して活動しているとかそんなわけではないので見たことあるやつはあるのだろうが。

 ここ最近で俺が出会った三人目の技工士。

 それがこの、チビっ子犬耳ガンマンの技工士だった。


「うー、うー」

「黙って吸ってろ! うるせえ!」


 俺は背中にチビガキをしがみつかせながら、先ほど放たれた爆裂弾に込められた混乱効果チャフエフェクトで暴れまわる触手の暴威から逃げ回っていた。

 喉乾いて唇カッサカサな小娘に水筒タバコを咥えさせて補給中。

 振り回されて不満気にうーうー呻いてる。

 無遠慮な空気をかき乱す音を立てて振り回された触手を屈んで回避。当たったら首が吹っ飛んでたな。

 狙っているわけではないのだが危ないことに変わりはない。

 ごくごくと喉を鳴らす音が止まったかと思ったら、ようやくガキは声を出した。


「ぷはっ、助かったのー」

「よしよし、じゃあさっさとあの触手にジェノサイド殲滅光線とかクラフトして発射してくれ。射線上に傭兵団のダニどもが居ても黙っててやるから」

「それは無理なの。作り方知らないの」


 何だよケチ臭え。

 

「とりあえず、もう一発撃つからいい感じの所に運んでなの」

「ちっ……とにかく触手を始末してくれよ──っと!」


 胴の高さに横薙ぎしてきた触手を二段ジャンプで避けて高い位置に回る。

 爆煙と暴れた埃で先程まで巨大触手の居たあたりは酷い視界だが、黒い影が動き回っているのが見える。そして地面にはキューブ状になった、恐らく[触手の素材]とかそんな感じにマテリアル化した物体が転がっていた。

 技工士であるこいつが破壊したものだからマテリアルになるようだ。

 銃の射撃地点は投擲の攻撃地点とそう変わらないだろう。多少の放物線とか差はあるが、とにかく一直線に狙える位置で暴れる触手の範囲外に逃れた。

 ひとまずの危険は逃れた。どれだけの時間相手が混乱してるか不明だが、一息つく。

 

「背中からだと撃ちにくいの」


 そう言って俺に肩車するように這い上がって来てイタタタタ!!

 あのピザを切るアレみたいな、ブーツに付いた拍車が刺さる!


「ふんっ」


 拍車を根本からへし折った。


「あああー! 酷いの!」

「後で作りなおせ! 技工士だろうがテメー!」

「それもそうなの。邪魔だから靴も脱ぐの」


 靴までブカブカなのか、俺の体に踵をこすりつけるだけであっさりと脱げた。

 毛皮に覆われた人間のような犬のような足が出てくる。

 俺様のお召し物に靴を押し付けられた土埃が付いた被害が残ったが。


「……後でお前執拗に踏むから覚悟しとけ」

「心が狭いの!」

「そうだが?」

「開き直ってるの!?」

「俺はチョーシに乗ったガキとオンナとチンピラとオッサンとジジイとババアと人外が嫌いだ」

「と、とにかく! 今はボク、技工士クリムゾンのお手伝いをして欲しいの!」


 クリムゾン。

 この子犬技工士の名前か。真紅クリムゾンというらしい。


「名前が死亡デス級に似合わねえなお前……」

「初対面の緊急時に口に出してまで言うの!?」

「クリムとゾンビラスどっちがいい?」

「早速あだ名付けようとしてる!? しかもゾンビラスってなんなの!?」

「じゃあクリムでいいか。とにかくあの触手をぶっ殺せ」

「むー……とにかくやるの」


 言うとクリムは水筒タバコを咥えたまま銃を向けて、


「お前に相応しいマテリアルは決まった! ───ああっタバコ落としたの!!」

「叫ぶからだアホタレ!」


 今までは口のタバコを押さえながら会話をしていたのだが、ポーズを決めようとしたのでタバコは落下していった。

 しょんぼりしながらも、とりあえず儀式は続行することにしたらしい。


「斬穫せしメタルブレード! 漆黒のウィッチアシッド! 瞬着せよラピッドバレット! ──クラフト!」


 俺の後頭部から抱きつくようにして銃を前に出して、銃口にマテリアルが集まり絵の具を混ぜ込んだような光になった。

 センセイやエリザとはまったく違うクラフト方法。

 銃に込められた物質が、引き金で発射されて空中で具現化し、目標へ飛来する。

 

「[斬撃弾]!」


 それはほんの一瞬見えたが、刃が上下左右に付いた銛というか、錐のような物体だった。

 空中で形を成したかと思ったら急加速して触手の暴れる方向へぶっ飛んで──着弾。

 ところで投擲とか弓矢とかにも当たった手応えってのはある。手から離れてるんだから無いだろって思うかもしれんが、わかるんだから理屈じゃねえよな。

 で、俺が撃ったに等しい近さで触手に射撃したクリムの一撃は。


「外してんじゃねえよ!」


 どの触手にも当たらず、どこかの建物の残骸をマテリアル化して大穴を開けただけで終わった。

 

「下手くそ! おまけに口上が長え! 黙ってさっとクラフトしてさっとぶっ放せ! センセイみたく!」

「仕方ないのー! ボクはそんなに動く目標への射撃得意じゃないしセンセイみたいに戦い慣れてるわけでもないのー! っていうかセンセイと知り合いなの?」

「見掛け倒しにも程があるだろ! 見掛け相応か? むしろ」

 

 頼みの綱の高威力な射撃が当てられねえでどうすんだよ。エリザだって対竜投擲砲を当ててたぞ。

 いや、確かに的は何十メートルか離れてて細くて乱舞してる触手だが、そこは銃とか持ってるんだからさあ。

 普通射撃のスペシャリストとか思うじゃん?

 戦い慣れてる実戦派と思うじゃん?

 ……そういえばセンセイの話でも、トンネル掘ったり温泉掘ったりする方の活躍で銃使いは語られてた気がする。傭兵の噂としても、技工士の作った銃が戦場で出た噂は聞いたが、技工士自身が戦場に出たとかは聞いた覚えがない。


「だから触手が集まって大きくなってたら当てやすかったのにー……」


 呻くように言うクリムにはまるっきり戦士の威厳とかそんなのは欠けていた。

 多分たまたまこのドラゴン退治に巻き込まれただけで、普段は戦ったりしないのだろう。

 動かない岩盤を砕く分には土壇場で動き回る相手を撃ちぬく能力は重視されない。

 ダンジョン潜るから百戦錬磨なセンセイが技工士の中でも特別に経験豊富なだけか。


「……はあ。で、口上は?」

「ん?」

「な・ん・で、この戦場でいちいちマテリアル名とかくっちゃべってから撃つんだよ! 邪魔だろ! そうしないとできないのか!?」


 センセイから聞いたときは冗談かと思ってたが。

 マジでこいつ一々叫びやがる。

 もしかして街中にあるバリスタとか落とし穴とか作るときも全部叫んだのか?

 一回辺り十秒近く必要だぞさっき聞いてたときに適当に測ったら!

 

「できないわけじゃないけど……カッコいいからなの」

「ボケがぁー!」

「わふーん!?」


 後頭部を弄って尻尾を引っ張ってやった。肩から下げられたクリムの足がビーンと伸びる。


「まずカッコよくねえよ! 中二臭いどころかパクリ臭え! 感想聞いたことあんのかテメー!」

「は、はーどぼいるどは他人の意見にぃっひぃっ……し、尻尾離してー!」

「は? なんで他人の弱みを突っつくの止めないといけねえの?」

 

 相手を叱るときは痛めつけましょうって学校でも習うはずだ。

 俺は尻尾をグイグイ握りながら続けた。伸びた足がぶるぶると震えている。


「趣味のときはいいが忙しい時に叫んでたら間抜けなだけだろうが。わかるか? お?」

「あ、ああううう……ひっぽぉ……わかったからぁ……」

「決め台詞ってのは決め時以外使わねえからカッコいいんだよ。わかったら止めの一撃とかそんな時だけにしろ。いいな?」

「いいからあ……っ! 尻尾ひっぱりゅと、ヨダレが……あうあう」

「うわ汚え!」

 

 慌てて手を離したが、頭の上からだばだばとヨダレが垂れてきた。なんてこった。

 ウェアウルフの尻尾を引っ張るとヨダレを出す。

 誰かそれぐらい図鑑に載せとけよ……しかも汗ばんだようで後頭部がじっとりしてる。気持ち悪い。

 さて、犬っころを苛めている場合でもない。さっきの攻撃の衝撃で爆煙も晴れて来て、触手共が冷静さを取り戻しつつある。

 

「うう、気持ち悪かったの……」

「そうか。何かあったらそこ弄れば嫌がらせになるわけだ」

「変なの覚えられたの!」

「問題は絵面が悪すぎることだな……ちょっとクリムお前、合意の上ですって看板首から下げとけよ後で踏むときとか」

「嫌な計画を立ててるの!? っていうかそれしても見た目最悪なの!」


 出会って数分の女児を踏む計画か。心躍るな。うるさいガキは踏むに限る。

 ……まあ、エリザとかだったら逆に喜びそうだから踏みたくないが。

 俺がこんな、非紳士的な対応をしているのは多分ゾクフーにありつけなかった苛立ち混じりなのではないだろうか。少女を虐めて喜ぶ性質なんて、この清廉潔白なアルトリウス様に有るわけがない。

 人はストレスで容易く攻撃的になる。自らのことながら、悲しいものだ。


「とにかく、シンプルに指示出すからここは従え!」


 戦い慣れていないなら俺の合図で攻撃させた方がいいだろう。クリムも納得したのか、頭の上で頷く気配を感じた。


「わかったの」

「まずはこの連帯保証人の欄にサインと印鑑だ!」

「それは違うの!?」

「ちっ……曲がってよくぶった切れそうな刃物を二つ用意しろ!」


 俺の指示でクリムはちゃっちゃと銃にマテリアルを込める。


「省略なの! クラフト──[邪悪なアフリカ投げナイフ!]!」


 すると、信じられないほど邪悪な形をした複数の刃を持つ巨大ナイフが出現する。

 形状は言葉にしづらい。ググれ(想像しろ、を意味するスラング)。


「中々レアな武器を出すじゃねえか!」


 形が形なもんで持ち運びに難があり、俺も一度か二度ぐらいしか使ったことはない道具であった。

 しかし普通のナイフに比べて刀身が多いために重く、投げやすいバランスを計算されて作られていて使い勝手は悪く無い。

 ちなみにアフリカさんって名前の人が発明したからアフリカ投げナイフだ。躊躇いようもなく当然のネーミングだな。


「そらよ!」


 俺がぶん投げた邪悪なアフリカ投げナイフは触手の一本をぶち切った。


「炎撃ちこめ! 当たりやすいやつ!」

「[燃料気化弾]!」


 クリムが放った銃弾は、着弾地点の手前で破裂して放射状に炎を吹き付けた。

 俺の切った触手が焼けて戦闘不能になり消えていく。

 

「そんでまたナイフ!」

「なの!」


 合図をして邪悪以下略を再度出現させ、装備した。

 触手がこちらに向けて振るわれる。肩車したまま適当な瓦礫を足場に二段ジャンプして再び屋根の上に飛び乗った。

 着地して投擲。深々と突き刺さるが投げる体勢が悪かったからか、切断までは至らなかった。

 ナイフを刺したままの触手が襲ってくる。

 

「このチンポコユリが!」

「下品なの!」


 だってこの触手、よく見ると尖端が膨らんでる上に筋みたいなのついててキモいのでそんな表現になるのは仕方がない。

 怒鳴りながら一撃を屈んで避けつつ、刺さったナイフの柄を掴んで触手に張り付く。

 張り付いたまま、振り回される前に腰からヒートダガーを取り出して半ばまで断ち切っていた傷口を広げ、触手を切り落とした。


「コイツでゲームオーバーだ! 火!」

「なのなの!」


 蹴って下がりながらクリムに炎を打ち込ませる。

 クリムはちっちゃくて軽いので担いでいてもそう邪魔にならずに行動できる。さながらアルトリウス高機動高火力装備のクリムゾンだな。

 これがエリザだったらそうはいかなかっただろう。触手にいつ殺されるか不明なエリザを守りながら戦うとか無理ゲーすぎる。センセイはまあ放っておいても平気で始末していくだろうが。

 そうこうしていると、やがて周囲の触手が震えたかと思ったらくたりと萎えたように地面に落ちていった。

 

「本体を殺ったみてえだな」

「やっと終わったの……」


 傭兵ギルドの連中はクズ揃いだが、能無しではない。竜の攻撃と防御の要になる触手を俺がこんだけ引きつけとけば倒せるだろう。 

 つーか遅えぐらいだ。この触手本数と太さからして、体長30メートル以上の大竜でしぶとかったんだろうけどよ。


「あーしんど。ったく、ドラゴンなんざと何度も戦うもんじゃねえぜ」

「降りるのー」


 俺の体を伝って地面まで降り立つクリム。

 触手とクリムの爆炎弾が暴れただけあって、周辺はほぼ廃墟だ。


「仕方ない犠牲ってやつだな」

「そうなの」


 さっさと離れようとして、ふと通りの雰囲気や壁の壊れた建物の内装で気付いた。


「げっ……ここゾクフー街じゃん。やべえ、お店壊れちまってる」

「仕方ないの」

「仕方ない犠牲だと!? じゃあこれもだ! これも!」

「なんでクリムの尻尾付け根トントンすゆのー!?」


 思わず四つん這いになってビクンビクンしている犬娘はいいとして。あれ? これネコの反応じゃなかったか。いやまあ、犬もネコ科の動物だからいいのか。

 とにかく! ゾクフーが壊れてたら入れないだろ!

 仮のテントとかで営業?

 俺は雰囲気を大事にしたいタイプなんだ!


「というわけでクリム。お前建物を直せるだろ? クラフトワーカーなら」

「当然なの」

「よし、ここらの建物を集中的に復興してくれ真っ先に」

「別にいいけど……」


 ちらっと崩れた建物の中を見て、


「なんかやけに浴槽とかベッドとか多い建物なの。宿屋さん?」

「似たようなものだ」

「変な形の椅子もあるの」

「スケベイスだな」


 無知な娘にゾクフー店を再建させようとしている男、俺。

 自分の立場を疑問に思わなくもないが、とにかく直させようとしていると──

 馬が俺らの方へ走って寄ってきた。

 それに乗っているのは修道服を着たシスターだ。乗馬カスタムなのか、太ももの付け根まで切れ込みの入ったゾクフーのエロ制服みたいで眼福なものである。

 

「アルトさん! 対魔修道院の者です!」

「お、おお」


 顔に覚えは無かったが、センセイとエリザを預けてきた修道院のシスターのようだ。

 しかしなんだ。エロトラップに引っかかって完落ちするシスターばっかり居そうな名前の修道院だよな。どうでもいいけど。

 彼女は馬から降りて慌てた様子で俺に告げる。


「緊急事態です! 修道院の方で、儀式の途中にエリザさんがサキュバスに捕らわれて隔離されました!」

「んだと!?」

「建物の一部がダンジョン化して、その奥に居るはずなんですが……そのダンジョンは男性の方が居ないと入れない魔法のダンジョンでして、すぐに来てください! センセイは現在ダンジョンの外から調査してます!」

「えっ」


 俺は固まった。


「今から?」

「はい」

「すぐに?」

「急がないとどうなることか……」

「アルト、大変そうなのー」


 目眩がした。

 俺は涙の滲む目元を押さえながら、往生際悪く聞いた。


「ゾクフーでパツイチ決めてからじゃ駄目?」

「駄目です! 何考えてるんですかこの非常時に!」

「ううう……」


 なんでだ! 

 なんで世界は俺ばかりに優しくない!

 こんな大事なときにエリザのやつめトチりやがって!

 はい。

 はいはい。

 わかってますよ! そりゃゾクフーとお仲間の命掛かってりゃお仲間を取りますよ!

 でも俺ずっとお預け食らってたんだぜ。 

 そりゃねえよ……


「急ぎなら送ってあげるの」


 愕然としている俺を尻目に、クリムが銃にマテリアルを詰めた。


「砲撃のカタパルトキャノン! 暴風の目ウィングバースト! 重力を支配せし高貴なるグラビティライト──クラフト!」


 そう勿体振って造り出したのは、人がすっぽり入れる大砲であった。

 クリムが砲身の向きを修道院の方角へ向けて言う。


「[なんと! 人間砲弾]なの。これを使えば空をビューンと飛んで、安全に目的に着地できるの」

「ああ……そうだな……もういっそ俺をどこか遠くの世界に飛ばしてくれ」

「目に虚無感溢れながらのそのそ入っていくの!?」


 普段ならこんな危なそうなのお前が乗ってみろよ!って蹴りでも入れるところだが。

 ぐったりとした気分の俺にはもうどうでもよく、砲口へと入って俺は体育座りをした。

 ゾクフー……いっそ修道院でシスターが相手してくれないかな……金貨をちらつかせて見ようかな……


「それじゃあまたなの。言われたとおり、この辺りは直しておいてあげるの」

「頼んだぞ……いやマジで」


 そう元気の出ない声で言うと、凄い屁をしたような衝撃を尻に感じて俺は砲から撃ちだされていた。 

 普通の大砲だと全身をバラバラにされそうなものだが、そういうことも無い。火薬の爆発力で飛んでいるというか、体の周りにある見えない空間を空に引っ張られているような感覚であった。

 振り返ると手を振っているクリムと、シスターが唖然と見ていた。それもどんどん遠くなる。街の上に出て、壊れた全景が見えた。傭兵が集まっている広場ではドラゴンを解体している。 

 街も小さくなり雲に近くなる。俺は手足を伸ばして見るが、バランスを崩すわけでも無くある一定の高度からはまっすぐ修道院の方角へと平行移動しているようだ。

 

「おお、空を飛んでるのか、俺」


 馬よりも早いだろう。街道の道がするすると後ろに抜けていく。

 体の周りを覆う風のフィールドで、恐らく上空を飛んでいたら吹き付けてくるはずの風圧も感じなかった。

 むしろ体の重みが無く、奇妙な浮遊感でゆっくりと俺は錐揉み回転した。

 この速度ならば数時間以内に目的の修道院にたどり着くだろう。

 

「馬車マンダーよりはやーい……っておい! こんだけ早いならゾクフーで寝てからでも間に合ったかもしれねえじゃん! クソ!」

 

 便利な移動手段だというのに、俺は目先の悲嘆にくれて利用方法を間違ったというのか。

 なんてこった。

 もうとにかく、修道院での事件を解決してゾクフーに行きたいなあと思いました。


「いっそ空中に居て誰も見てない間にストレス発散をするべきか……いや俺何考えてんだ。相当溜まってるな」


 ストレスが。

 そんなことを考えながら、修道院へと向かって飛んで行く。

 


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