【054.訓練】
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青空に黒い点が三つ。
それが上空を旋回している。
レフティーたちだ。
レフティーが先頭に立って、編隊を組んでいる。
最初、そのまま飛び去ってしまうのか、と思った。
だが、レフティーが飛べるようになって、たいして時間が経っていない。
それなのに上昇していった。
ヒナたちふたりは、そんなレフティーを見ていただけだった。
“あんなに高く飛べるなんて”とか、”すごい”といった顔で。
上空でレフティーが一声発した。
どうやらふたりに何かを言ったらしい。
ふたりが飛び立った。
ふたりにとっては、初めての空だ。
今まで、庭園を滑空していただけだった。
ふたりは、グングンと上昇していった。
レフティーに追いつく。
それからレフティーの指導がはじまる。
上空からは、どう見えているのだろうか?
そのようすをフェイスに撮る。
もうすぐ北へ帰っていくんだな。
そう言えば、トールとエレナの身体も大人っぽくなってきた。
羽毛ももうない。
ツノがまだないが、もうすぐ生えてくるだろう。
旅立ちか。
さみしくなるな。
そうか、ベッドにまたひとりになってしまうのか。
しばらくは、レフティーの重みがなくて、眠れないかもしれないな。
レフティーたちの訓練は、それから毎日行なわれた。
少しずつ距離が伸びている。
夜。
「渡り竜の渡りがはじまったようです」とテオ。
「どこからの情報だね?」
「ネットです。北部の国民が書き込んでました」
「そうかね」
「元気がありませんね。もしかして、さみしくなる、とか?」
「まぁね。ずっと一緒にいたからね。ひとり寝がつらそうだ」
「私は添い寝しませんからね」と笑うテオ。
「頼まんよ。男を相手にしてもつまらん」
「確かに。なら特定の女性を探したらどうです? 先生なら選り取り見取でしょう?」
「こらこら。大人をからかうものじゃないよ、テオ」
「あはは。でも先生も男なんだから別にかまわないでしょ。誰も文句は言いませんよ」
「わかってるさ。だが、今のところ、そのつもりはないな」
「はいはい」
それで、その話は終わった。
夕食をふたりで食べる。
「仕事の方はどうだね?」
「順調です。マリーンともうまくやってますよ」
「そうかね。みなさんは?」
「それなりに忙しくしてますよ」
「私がいなくても変化はないか」
「ええ。変わったことも今のところありませんし。レフティーたちが戻っていったら、事務室に戻られるんですよね」
「もちろんだとも。やることは一緒だが、やはり部屋に仕事は持ち込みたくないからね」
「同感です」
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