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落とされ人  作者: カーブミラー


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54/65

【054.訓練】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 青空に黒い点が三つ。

 それが上空を旋回している。

 レフティーたちだ。

 レフティーが先頭に立って、編隊を組んでいる。

 最初、そのまま飛び去ってしまうのか、と思った。

 だが、レフティーが飛べるようになって、たいして時間が経っていない。

 それなのに上昇していった。

 ヒナたちふたりは、そんなレフティーを見ていただけだった。

 “あんなに高く飛べるなんて”とか、”すごい”といった顔で。

 上空でレフティーが一声発した。

 どうやらふたりに何かを言ったらしい。

 ふたりが飛び立った。

 ふたりにとっては、初めての空だ。

 今まで、庭園を滑空していただけだった。

 ふたりは、グングンと上昇していった。

 レフティーに追いつく。

 それからレフティーの指導がはじまる。

 上空からは、どう見えているのだろうか?

 そのようすをフェイスに撮る。

 もうすぐ北へ帰っていくんだな。

 そう言えば、トールとエレナの身体も大人っぽくなってきた。

 羽毛ももうない。

 ツノがまだないが、もうすぐ生えてくるだろう。

 旅立ちか。

 さみしくなるな。

 そうか、ベッドにまたひとりになってしまうのか。

 しばらくは、レフティーの重みがなくて、眠れないかもしれないな。


 レフティーたちの訓練は、それから毎日行なわれた。

 少しずつ距離が伸びている。


 夜。

「渡り竜の渡りがはじまったようです」とテオ。

「どこからの情報だね?」

「ネットです。北部の国民が書き込んでました」

「そうかね」

「元気がありませんね。もしかして、さみしくなる、とか?」

「まぁね。ずっと一緒にいたからね。ひとり寝がつらそうだ」

「私は添い寝しませんからね」と笑うテオ。

「頼まんよ。男を相手にしてもつまらん」

「確かに。なら特定の女性を探したらどうです? 先生なら選り取り見取でしょう?」

「こらこら。大人をからかうものじゃないよ、テオ」

「あはは。でも先生も男なんだから別にかまわないでしょ。誰も文句は言いませんよ」

「わかってるさ。だが、今のところ、そのつもりはないな」

「はいはい」

 それで、その話は終わった。

 夕食をふたりで食べる。

「仕事の方はどうだね?」

「順調です。マリーンともうまくやってますよ」

「そうかね。みなさんは?」

「それなりに忙しくしてますよ」

「私がいなくても変化はないか」

「ええ。変わったことも今のところありませんし。レフティーたちが戻っていったら、事務室に戻られるんですよね」

「もちろんだとも。やることは一緒だが、やはり部屋に仕事は持ち込みたくないからね」

「同感です」


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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