【047.透かし見る】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
41話42話あたりで、一話抜けていました。
とりあえず、挿入しましたので、一話ずつズレます。
二重に読まされた方、申し訳ございませんm(_ _)m
翌日には、レフティーも元気を取り戻し、身体全体の色艶も戻った。
だが、あいかわらず、オレの給仕を要求してくる。
しかもテオやマリーンが入室してくると、低く唸る始末。
「完全にオス認定されてますね、先生」とマリーン。
「困ったものだ。卵を産む前は、あんなにいい子だったのに」
「女は弱し」とテオ。「されど母は強し、ということですかね」
「そうかもしれんな」
大きくため息をついて、リビングで紅茶を飲んだ。
少しは、オスの役目から開放されたい。
仕事は、給仕の合間にやっている。
ペースは落ちるが、仕方あるまい。
「卵の成長がわかるといいんですがね」とマリーン。
「成長か。見た目にはわからんからねぇ」
「ニワトリなんかの卵は、どうしてるんですかね?」とテオ。
記憶から引き出してみる。
「殻が薄いから下からライトを当てて、確認するようだね。だが、竜の卵は、殻が厚そうだ。それにレフティーが卵に手を触れさせないだろう」
「なんらかの透過装置を使えないんでしょうか? レントゲンみたいな」
「透過装置か。レフティーの骨折の治癒状態も知りたいしな。レントゲンだと卵に対しては少々強すぎるかもしれないし、さて」
そうした装置を検索してみる。
超音波や赤外線、ほかにもいくつかある。
宇宙港で使われる透過装置があったな。
テロリストや犯罪者に、変なものを持ち込ませないために。
あれは、レントゲンではなかったはずだが……
「あった。ミリ波なら目的に合いそうだ」
「ミリ波? なんです?」
「電波の一種だよ。波長の短い電波だね。ここにその技術があるといいんだが」
「調べてみます」
テオは、オレ用に持ち込んだコンピューターを使って、検索をはじめた。
レフティーの世話で、部屋を離れられなくなったオレのために運び込まれたものだ。
そのコンピューターは、ネットワークに接続されており、公開されている技術を検索することができる。
「ありました。すでに実用化されていて、城内のセキュリティーに利用されていますね」
「おやおや、身近にあるとは思わなかった」
「ですが、人間サイズです」
「それはそうだろう。さて、小さなものはあるかね?」
「……ここには出てきませんね。特注しなきゃならないかな」
そこで室長に電話して、業者との直接交渉の許可を得る。
「なかったら作ることになるのかしら?」
「なかったらないで困ることでもないと思いますが」
「でも陛下の客人の容態を知るためには必要でしょう?」
「ええ、まぁ」
「見積りだけは出させて報告してちょうだい」
「わかりました」
特注する必要はなかった。
試験的に作った小型のものがあったからだ。
すぐに城に持ってきてもらった。
それは、2枚の板とボックスで構成され、専用のコンピューターが一緒だった。
2枚の板は、ミリ波の発信板と受信板で、そのあいだに調査対象をはさみ込んで、コンピューターが解析して表示する、と説明された。
設置は簡単だからオレひとりでできた。
引き出しをベッドの上に移動すると、レフティーは何がはじまるのかと不安げな声を上げる。
「心配はいらないよ、レフティー。すぐに済むからな」
装置の設置を済ませ、板のあいだに引き出しを戻す。
ちょうど、ベッドの天蓋のような感じになる。
ちょっと邪魔だが、仕方あるまい。
この天蓋にレフティーは、少し不安げだが、それほどは気にしていないようす。
装置のスイッチを入れると、コンピューター画面上に透過画像が映し出された。
レフティーに変化はない。
透過画像には、レフティーと楕円形の卵が映っていた。
それを見て、驚いた。
画像を保存して、スイッチを切った。
驚いたまま、寝室を出た。
「どうです?」とテオ。
「驚いたよ」
「卵に何か?」
「ああ。卵自身に異常は見られない。レフティーの骨接ぎもだ」
テオがオレの顔を覗き込む。
「何に驚いているんです?」
「ふたつあるんだ」
「ふたつ?」
「卵が」
「卵がふたつある? それだけですか?」
「ああ」
「なぁんだ」
テオは落胆した表情をした。
「そんなにふつうのことかね?」
彼は背中を伸ばし、「いえ。ただ、もっと唖然とするようなことかと思ったので」
「私は、唖然としたよ。まさか、ふたつも産んでいたなんて」
「鳥だったら三つくらいはふつうだと思いますが。私が生まれ育ったところは、近くの森林に野生の鳥がいましたから、その巣をよく覗き込んでいたんです。ふたつくらいはふつうだと思いますよ」
「そう、かね」
「で、卵の中はどうでしたか?」
「うん。ふたつとも小さな核があるだけだった」
「核?」
「要するにまだまだ先は長いということだね」
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