【013.前の人間、次の人間】
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月日は流れていく。
狩猟と採集、道具作りが、オレの仕事になった。
粘土を得て、土器も作った。
器が欲しかったからだ。
ボトルは、使っているうちに割れたりして使えなくなった。
ゴミ捨て場に放っておくと、それは崩壊していった。
どうやら生分解性プラスチック素材だったらしい。
自然環境にさらされると分解されて、その環境中に放出されるのだ。
ということで、ボトルの数が減っていく。
粘土を見つけたときは、ホッとしたものだ。
まずは、小さな器を作って、作り方を試してみる。
焚き火にくべ、素焼きにする。
出来上がったのは、割れた器。
自分の中の知識をさらって、試行錯誤を繰り返した。
割れないものが作れるようになったが、素焼きなので、水が染み出てしまう。
そこでまた試行錯誤。
表面に皮膜を作り、水が漏れ出ていかないようにした。
“ああ、そうか”と思い当たった。
5人が出ていったのは、こうした道具類の作り方を知らないからなのだろう、と。
ボトルが次から次に分解されていけば、器はなくなってしまう。
水が飲みたくなったら、水のある洞窟まで、行かなければならない。
道具類を作りたくても、どうすればいいのかを知らなければ、目的のものには到達しない。
ここでの知識は、水と同様、宝なのだ。
その知識を持つ者が、あのミイラ男だったのかもしれない。
それとも地図を持っていた人間だろうか?
ミイラ男は、墓を作って、埋めてやった。
その身体は、枯れ枝のように軽かった。
墓碑には、何も書かずにおいた。
書こうにも名前を知らないのだ。
名前くらいはと思っても、名前が書かれたものは、何ひとつなかった。
着陸場は、ときどき、草刈りをした。
自分の着陸船には、次の人間のために、ここの地図とメッセージを書いておいた。
着陸場からベースまでの道の樹木の幹にも、目印代わりの草で編んだ縄を縛りつけてある。
ポイントが何を意味しているのか、地図にも追記しておいた。
これでオレのように、無駄な徒労をせずに済むだろう。
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