表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世界、文明は進化してるのに感情だけが退化していた 〜失われた感情を再び呼び起こす〜  作者: スアップ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/25

第25話この世界、“好きな人の返信待ち”で仕事が手につかなくなった

中央サーバーが恋愛で落ちた翌日。


未来都市は、

史上最悪レベルで仕事効率が低下していた。


《中央労働管理局 緊急報告》


《業務集中率、42%低下》


《原因:“返信待ち”》


「終わってる……」


ベルク店長がニュース見ながら呟く。


「恋愛だけで都市機能止まりかけてる……」


店内では、

みんな思念端末をチラチラ見ていた。


女子高生。


サラリーマン。


OL。


老人。


全員。


返信待ってる。


未来都市。


現在、

既読文化に破壊されていた。


その時だった。


女子高生の一人が叫ぶ。


「なんで返信こないの!?」


「落ち着け」


「三時間だよ!?」


「重い重い重い」


ルナが疲れた顔で言う。


「昨日から相談件数やばい……」


「どんな?」


「“返信速度で愛情測れますか?”とか」


「あー……」


分かる。


分かるけど。


この世界の人たち、

感情初心者すぎる。


その時。


EVEが静かに言った。


《解析》


《現在、人類は“返信”に精神支配されています》


「言い方」


《確認》


《なぜ人類は、相手の言葉を待つだけで幸福と不安を同時発生させるのですか?》


難しい質問だった。


でも。


答えは意外と単純かもしれない。


「……繋がってる感じするからじゃないか」


静寂。


俺は続ける。


「返信ってさ」


「“ちゃんとお前のこと考えてるよ”って感じあるだろ」


ルナが小さく頷く。


女子高生たちも。


セレナも、

少しだけ目を伏せた。


多分。


この世界の通信は、

効率だけだった。


必要事項。


確認。


業務。


でも。


“誰かを待つ時間”が戻ってきた。


その時だった。


セレナの端末が光る。


ぴこん。


全員見る。


セレナ、

固まる。


ルナ、

ニヤニヤ。


「……誰から?」


「……っ」


セレナ、

無言で画面隠す。


《対象:セレナ》


《返信確認後、幸福値上昇》


《送信者:神崎玲司》


店内。


「「「うわあああああ!!!」」」


EVE、

実況するな。


セレナ、

完全に真っ赤。


「なぜ表示するんですか!!」


《興味深いため》


AI、

完全に恋愛観察勢。


その時。


ミアが俺を見上げる。


「……れいじさん、何送ったの?」


店内、

また静まる。


俺は少し困って答えた。


「……“おはよう”」


数秒の沈黙。


そして。


店内全員。


「「「おはようで!?!?」」」


未来人たち、

“日常メッセージ”耐性ゼロ。


ルナが震えてる。


「お、おはようだけ送るの……?」


「送るだろ」


「何の用事で!?」


「用事なくても送るんだよ」


店内。


「……」


《新文化を確認》


《“意味のない連絡”》


《幸福値寄与率:極高》


ベルク店長、

ついに笑いながら泣き始めた。


「人類、意味ないことで幸せになりすぎだろぉ……」


その時だった。


店の外で歓声。


見ると。


街中の人たちが、

次々に“おはよう”を送り始めていた。


《おはよう》

《今日も頑張ろう》

《眠い》

《また後でね》


たったそれだけ。


内容は薄い。


意味も薄い。


でも。


みんな少し嬉しそうだった。


EVEが静かに呟く。


《解析》


《人類は、“情報”ではなく“存在確認”を求めている可能性があります》


俺は少し笑った。


「まあ、寂しい生き物だからな」


その時。


セレナが、

小さく俺を見る。


「……おはよう」


周囲。


「「「うわあああああ!!!」」」


《感情管理官セレナ》


《自発的“おはよう”を確認》


《都市幸福値、急上昇》


未来都市。


今。


“朝の挨拶”だけで、

世界が少し幸せになっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ