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授業の時間

本当に本当に大変お待たせ致しました。すみません。


「で、キミたちが上位に選ばれた子たちか。ワタシは魔道具学を担当するヴァエル・フレアだ。なんとでも呼んでくれて構わない」




あのテストの後日、授業が始まった。上位のクラスは二十人ほど。




「さて、まず基本的な事だが、魔道具とは何か。これを答えてくれ」



「武器!」

「防具!」

「戦うためのもの!」

「飾……」



様々な意見が出てくる。一番前に座っているワタシの妹は飾りと言いかけて止まったが、飾りでも間違っていることはない。




「全て合っている。……だが、魔道具はそれだけでは無い。今、この教室を照らしている明かりも魔道具によるものだ。魔道具とは、魔力を使用した道具全般を総称した言葉だ。厳密には戦闘で使うものと日常で使うものなどで細かく名前が違うが、今は気にしないでいい。……それでは本題に入ろう。今日は魔道具の仕組みについて、だ」




一部の生徒が嫌そうな顔をする。これは分かっていたことだ。戦闘技術を磨くため、魔物や魔族と戦うために入ってきた子もいるからだ。そういう子は座学を嫌がることがある。それに、初回の授業はあまり堅苦しくしない方がいいと聞いた。だから……




「それでは、外に出よう。座学で学ぶことが多いワタシの授業だが、実際に使わないと分からない事も多いだろう」




生徒の顔が明るくなった。後でクレムに礼を言わなくてはいけないな。




───────




「フレア先生、貴方の魔道具を使わせてはくれないんですか?」




ふむ、この子はあのテストが終わったあとにヴェアと一緒にワタシのところへ尋ねてきたファイ……君?さん?ううむ、生徒はなんと呼ぶのが正解だ……?後で聞いておこう。




「ワタシの魔道具は特殊だからな、授業の中では使わせたくない。非常時は別だが、今は学校が貸し出している魔道具があるから、それを使ってもらおう」




色々な形の戦闘用魔道具を並べ、自由に取ってもらう。戦場の中、己の得意な武器でいつも戦えるとは限らないが、それは今教えることではないだろう。




「特殊……とは?」




ファイが問う。




「……今日の座学はあれで終わりのつもりだったが、少し延長だ。ワタシの固有魔法のクリスタルは、元々周囲の魔力を一定まで溜め込むという性質を持っている。それを魔道具にした場合、まず上限まで所有者の魔力を吸う。上限までと言っても、そこまで多くは無いがな。そして、その状態で魔法を使うだろう?そうすると、所有者の魔力を送り込む動作と吸収の性質で、魔力の速度が上がる。上限まで溜め込んだ魔道具の中にその魔力の行き場は無く、そのまま放出される……。つまり、見かけの出力だけが上がるわけだ。実際に所有者の出力が上がったわけではない。だから、使わせたくないだけさ」



「ありがとうございます」




ぺこりとお辞儀をしたファイが少し下がって魔道具を手に取る。




「質問はいつでもしてくれて構わない。だが少し喋りすぎたか?まあいい。それでは、本題に入ろう。今日の課題は、魔道具の仕組みを理解するために自分の魔法を纏わせてみよう、だ」





───────




この人の授業は思っていたよりも……なんというか普通な気がするよ。この国で最強とされる剣帝と勝負が成立する唯一の人物。さらには魔道具をその場で作り、戦いをする。そのような戦い方をする人は聞いたことがない。だから、この人が行う授業にも興味があったし、事前に話をしに行った。うーん、良くも悪くも普通としか思わないなぁ。今攻撃してみたら……




「……」




……あれ、ヴァエル氏がこちらを見ている……。おかしい、僕はそちらを見ていない。




コツ、コツ、コツ。




近づいてくる。考えていたことがバレている訳じゃあないよねぇ……。




「どうした?」


「……いえ、少し考え事を……」


「ならいい。……的はワタシではないぞ」


「……!」




あぁ、前言撤回だ。……なら、授業が普通なのは?本当に慣れていないだけ?




───────




「……ふう」


「お疲れ様です。最初の授業はどうでしたか?」


「多人数に教えるのは難しい。それを改めて感じた時間だった」


「良い経験となっているようで何よりです」




あれから生徒には、前にレングに教えたように的に魔法をぶつけさせた。魔道具の使い方を知るのも、魔法の扱う力を向上させるのも、まずは実際にやってみるのが手っ取り早いだろう。最初から結構できている子はそこそこいた、というか全員苦労せずできていたな。




「あぁ、そうそう。数ヶ月後くらいですかね。生徒を連れて魔物が多く生息する森に行くらしいですよ」


「何故だ?」


「それはもちろん、試験ですよ。魔物を多く倒せ……ってね」



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