星が尽きる日
「とっておきだ。食らってけよっ!!」
輝きがステラの持つ剣へと集まっていく。魔力が残り少ないため、本当にこれが最後の一振り。
されど
これで十分。こいつに敵わねぇことなんざとうの昔に知っている。この一撃でもおそらく打倒に至らないだろうという事も……
だからなんだと言うんだ。そんなくだらねえ理由で、私は止まらない。せめてこの瞬間だけは人の、この国の、ヴァエルの希望であるために。そう信じるために。私の生を捧げてやる。
星は、その一生を終える際に大きな爆発を起こす。彼女の人生は、正しく星のように人々を照らす希望であった。
「はぁぁぁぁぁあ!」
かつて己を堕とした仇に、全霊を刻んだ。
あぁ、くそ。死んでくれたって良いだろ。私の全てだぞ。だがまぁ、こんなものか。後悔が無いと言えば嘘になる。
だけど、最後まで人として生きていれて、良かった。ぎりぎりだけどな。ヴァエルは、どんな選択をするんだろうか。生きる術は教えた。別に人の側にいなくたって構わない。精々、長生きしてくれよ。
「死に損ないがァ!」
雷が迫る。
星が、その命を、終えた。
────
「あぁ、最悪の気分だ。あの死に損ないのせいで、計画は延期だ。あー、近くにいるでしょ。肩貸しなよ」
「分かりました。ルイン様」
「…ほんっとうに気分が悪いなあ」
────
あれから、少し経ったかな。吸魔族が攻めてくることは無かった。倒したのかは分からない。それでも、ステラはできることを最大限やったのだと感じた。今生きているか、死んでいるかは分からない。生きていると信じたい。でも、あの人は嘘をつかない。なら、きっと……。
あの時、ワタシは逃げることしかできなかった。ステラから、たくさん教えてもらったのに、何も出来なかった。人の事も、たくさん学んだ。
…恩返しが、したかった。
「ステラ、あの時、僕たちどうすれば良かったかな」
「分からない。でも、ブレイはなんであの時動けたの…?怖くは無かったの?」
「そりゃ、怖かったさ。なんて言うか、僕はヴァエルみたいに魔力が見えたりする訳じゃない。相手の強さが正しく分からないから、動けただけじゃないかな」
「じゃあ、ワタシはどうしたら、あの時動けたブレイのように、強く在れるの?」
「…今も言ったけど、ただ分からないだけなんだよ」
「分からないものに立ち向かう勇気はどうしたら…」
「本当にらしくない。いつものヴァエルはどうしたの?」
「…」
今日の会話は、それで終わった。その後、今日のことをキューレさんに伝えておいた。キューレさんも、なんとなくはステラから伝えられていたらしい。ステラも吸魔族の気配、特に魔力を与えられたルインの気配は強く感じられるんだろう。それで察してあの場所まで…。
ワタシは、死にたくない。今の状況を見れば、人の側にいるのは賢い選択とは言えないのかもしれない。このまま、人として生きていくなら───
─────
「んー?キューレさん、ヴァエルは?」
「……この手紙を読んだら分かると思う。読んでみてね」
「ふーん……………え?国を出て、修行?」
─────
ワタシは、強くならなきゃいけないから。
軌跡編、完。まだまだ続きます。




