第244ターン オレっち、夢枕にあの人が立つ
格ゲーマーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
光だ、曙光だ。逆光でその人物の顔はハッキリとは分からない。男性であることは分かる。
その男が大きく腕を振りかぶるとその掌には白銀に光る剣が握られている。太く頑丈そうな剣だ。朝日と剣が放つ眩い光が純を包み込む。
純は強烈な光のオーラに目を逸らしていたが光の温かさに心が次第に落ち着き目を少しつづ開けていく。
光を背負ったその男は静かに、そして優しく純を見つめ、何か語りかけているようにも見える。
あの声は、、何処かで聞いた声だ。あれはそっくりーズと対戦した時が初めてか、格ゲーでオレっちが不利になるとあの穏やかで威厳のある、あの声を頭の奥で響く。
いや、オンライン対戦で練習を繰り返していた時も、似たような感覚に陥ったことがある。それは親のあぐらに抱かれたような無上の安心感だ。
何故か声を出すことが出来ない純、心の中で叫び続ける。あんたは誰なんだと。何故オレっちの前に現れたのかと。
すると男は一つ大きく頷いて大地の腰を下ろし、あぐらを組む。するとその刹那、掌にあった剣は形を変え、コントローラーにとなる。
あぐらにコントローラー。リビングでテレビに向かってのファミコンスタイル。そして穏やかな顔で一つ頷くその男。まるで迷うな、そのままその道を進め、と言っているようだ。
そして光の向う側にあるどこか厳しい印象の建物に向かって歩いて行く。
「ま、待ってくれ!あ、あんたは、オヤ、、、」
目を覚ました純の目の前には元祖オールドミスのMs.キョーコの顔がある。美貌を誇った形跡と凄みある風貌に圧倒される純。
「え!ゆ、夢かよ、、」
レム睡眠とノンレム睡眠を反復した純の仮眠はおおよそ三時間に及んだようだ。例のドイツ語?かの古い音楽が耳につく。
「あら純ちゃんお目覚め?何だか嬉しそうな顔して寝ていたけど、きっといい夢見ていたのね。」
ニヤリと笑う笑顔が意味深なMs.キョーコ。この人物は何かを知っている。そしてアーサーとの決戦の地、日本平に居ることは偶然ではない。
何ら根拠は無いが純はそう強く確信した。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・む〜ど
純が属するチーム夢原のヘッドコーチ。日頃はちょっとエッチなお兄さん。実は人格者のプロゲーマー候補。
・mako まこ
純が属するチーム夢原の女コーチ、長い睫毛が印象的なチームのアイドル。北大阪出身の理系女でもある。プロになるか大学に残るか思案中。
・クー子 くーこ
純の親友マブダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病やまいのレベル。
・比留多 恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。
・佐久間 柚葉 さくま ゆずは
う盛岡のフリースクール、リスタートゲーミングの不思議系エースプレイヤー。比留多に強い敵意を抱く。ムエタイ戦士のガッドや米兵ゲイルの遣い手。元ヤンでもある。
・先生 せんせい
リスタートゲーミングの主催者。行き場のない若者達をゲームで連帯させ、社会復帰させるNPO活動をしているのだが、、
・阪田 万吉 さかた まんきち
大阪の格ゲーチーム、難波ドテRISEの切り込み隊長。キャラのジャンプ力を活かした通天閣殺法が得意。苦労人のようだ。
・アンコールズ あんこーるず
格ゲー常任理事国のエースプレイヤー。元地下アイドルで格ゲープレイヤーとしてメジャーデビューを目論む妄想癖のJK。口癖は「アタシの想像力では〜」
・日乃本 尊 ひのもと たける
純とその姉の音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。純は既に死んだと聞かされていたが、、、




