第二幕 返り咲く花
柚木は血のにじむ手で、本を拾い上げた。
その装丁はひび割れ、ところどころ焦げたように黒く染まっている。
震える指でページをめくり、声を絞り出す。
柚木「__“孤独を抱える花ほど、強く咲く”」
その言葉が、弥生の胸奥で燻っていた痛みに火を灯す。
弥生「俺はまだ…まだ終われない」__弥生は立ち上がった。
柚木「__“涙は弱さじゃない、優しさの証”」
視界が滲む。だがその雫が瑞稀の視界を鮮やかにする。瑞稀は前へ踏み出した。
柚木「__“異端は、誰よりも美しい色を持っている”」
心の中の閉ざされた扉が軋みを上げる。天綺の瞳に光が差す。
柚木「__“君の角は、誇りの証”」
幼き日の痛みが、温かな誇りに変わっていく。
明は再び構えた。
柚木「__“見守る者は、決して無力じゃない”」
瞳が光を帯びる。唯人の背筋がまっすぐ伸びた。
柚木「__“闇に染まることは、終わりじゃない”」
埜楼の内側に渦巻く黒が、白に溶けていく。
柚木「__“見えなくても、確かに生きている”」
その言葉が、霧のようだった紗也の輪郭をはっきりと形づくる。
柚木「__“幻は、真実を映す鏡にもなる”」
孤亜の瞳が深紅に輝き、幻影が現実を覆う。
柚木「__“海は何度でも満ちる。君もそうだ”」
胸に広がる青い潮の音。夜斗の足元に波が寄せ、力が満ちていく。
柚木「__“命が短くても、花は春を選ぶ”」
その一文が、甘虎の胸の奥の恐怖を静かに溶かした。
柚木「__“空は、過去も未来も包み込む”」
彼方の足元から、光の翼が広がっていく。
柚木「__“星は、暗闇でこそ輝く”」
闇を背負い、詠蓮は星光をその手に宿す。
柚木は最後のページを開く。
柚木「__“居場所は、君の手で作れる”」
りんの微笑は、戦場の中で凛と咲く花のようだった。
りん「…よし、終わらせよう。」
クロユリ全員が頷き、一点に視線を固めた。




