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花ヨ、終焉ヲ告ゲヨ。  作者: 黒雨 のゆ
第十二章 花よ、終焉を告げよ。
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第一幕 運命を抗う花束

神殿が震える。

ミカロスの目が開かれたとき、空間に満ちたのは“神の力”ではなかった。

――ルシェル。

その声と共に、世界を覆うような黒い光がミカロスの身体を飲み込んでいた。


りん「来るよ、皆……準備はいい?」

りんの問いかけに、クロユリの仲間たちが一人ずつ頷く。

りん「……行くぞ!」

激しい衝突。

ルシェルの纏う黒光は、触れたものすべてを削ぎ落とす刃のようだった。

唯人「俺が結界を張るっ!!!!」

だがその瞬間、唯人の結界は一瞬で砕け、唯人と共に埜楼の攻撃も闇に溶けていく。

埜楼「くそっ…なんでっ!」


弥生「瑞稀っ!俺たちも行くぞ」

瑞稀「絶対、ミカロスを戻してやるんだ……!」

弥生のツノから放たれた願いをも込めた雷は空を裂き、瑞稀の光矢と共にルシェル目掛けて放たれるが黒炎に呑まれる。

息を切らしながらも立ち上がる仲間たち。

明「…っ、盛り上げてくれるじゃん。」

天綺「俺たちが壁を作る!紗也と孤亜はそのうちに…!」

しかし、天綺と明の水の盾も裂け、紗也の淡い光は霧のように薄れていく。

孤亜は形を変えて攻撃を試みるが、その身もまた闇に染まり始めていた。

孤亜「チッ。これがミカロスを乗っ取った力…」


柚木「くっ……! このままだと……また同じ運命に……!」


柚木の胸を締めつける既視感。


黒炎が一瞬、揺らいだ。

ミカロスの瞳の奥で、ルシェルの輪郭が微かに滲む。


ルシェル「……おかしいな。いつもなら、このあたりで終わっている」

その声は、戦場に似つかわしくないほど疲れ切っていた。


ルシェル「柚木。君は知らないだろう。この光景を、私は何百回も繰り返してきた。

出会い、希望を抱き、戦い、そして失う……。

何を変えても、必ず同じ結末になる」


ルシェルの瞳は、どこか遠くを見つめていた。

ルシェル「……我はこの世界を愛していた。だから何度もやり直した。だが、救えたことなど一度もなかった。

 それなら――壊すしかないだろう? もう二度と、誰も苦しまないように」


クロユリの面々が、動きを止めた。

りんの唇がわずかに震える。

りん「……そんなの……間違ってる」


柚木「君たちはまだ信じられるのか?無駄な“やり直し”の先に、救いがあると?」


柚木は答えられなかった。

ほんの刹那、ルシェルの言葉が胸の奥に刺さった。

それは、旅の中で何度も感じた“自分の無力さ”と同じ痛みだった。


けれど――

柚木「……それでも、俺は……信じたい」

弱々しくも、確かな声が戦場に響く。

柚木「何度繰り返しても、もし一人でも救えるなら……そのために戦う」


りんが視線を柚木に合わせ、わずかに微笑む。

りん「……いいね。それが、選ぶ道だ」


揺れていた彼らの瞳に、再び光が宿る。

次の瞬間、全員が同時に駆け出した。

黒炎が迫る。

だが、もう足は止まらなかった。

柚木「終わらせるのはお前じゃない……俺たちだ!」

ルシェルが嘲るように笑い、黒炎をさらに膨れ上がらせた。

ルシェル「足掻いてみせろ……何度でも」


光と闇が正面から衝突する。

空間が歪み、地面が砕け、視界が白と黒に塗り潰される。

夜斗「……まだ、まだだ…!」

詠蓮「ここで終わるわけには」


一歩、一歩押し返す。

全員の叫びが重なり、光が闇を食い破った瞬間、轟音が全てを飲み込んだ。

クロユリたちは次々と膝をついていく。


すると視界の端に、床に落ちていた一冊の古びた本が映った。

___イノの日記。


柚木が振り返ると、一瞬何かの影が見えた。



柚木「今の人影…」

りん「……あれがクロユリの隠し札」

柚木「さっきの電話の…相手?」

りん「うん…ありがとう犬神。」

りんは静かに呟いた。


彼は震える手でそれを拾い上げる。

淡い花の香りのような、けれど切なさを孕んだ言葉が零れ落ちる。


りん「……“あなたが信じてくれた日を、私は忘れない”」


その瞬間、クロユリの面々の脳裏に、かつてりんから聞かされた日記の断片が蘇る。

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