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運命だと決めるなら 本編  作者: 徒花解
第二部 闇の目論み
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第12話 刃の守護神

数日後、綾乃はとある男子生徒から借りた傘を返すべく、前回会った場所をウロウロしていた。


「うーん、そんな簡単に会えるわけないか。あの学ラン、確か霧島学園の生徒だよなあ」


霧島学園は、綾乃達の通う光原高校の近くの高校だ。

距離も近いため、綾乃は学校帰りに霧島学園周辺を歩いてみることにした。


学園の門の前には、下校時間だというのに生徒達がたむろっている。

そこには不良集団のような生徒達がワイワイ騒いでいた。


「うわあ」


そんな中探すのも忍びなく、引き返そうとしたその時。


「あー!」


「あ、あの時の!」


振り返るとその不良集団の中に金髪の彼がいた。


「あ、あのさ。この前は傘ありがとう、助かった」



「ええ!? わざわざ返しに来てくれたの? ありがとっ! 優しいな!」


その金髪男子生徒とやり取りをしていると、周りにいた生徒達が野次を飛ばしてくる。


「なんだなんだ!? 燐斗の新しい女?」


「あ、えーっと…。お邪魔しました!!」


不良集団に囲まれ、いたたまれなくなった綾乃がその場を離れようとした時、彼に腕を掴まれ引き寄せられた。


「そう、俺の女!」


「ち、違う!!」


綾乃は手を振り払い、ものすごいスピードでその場を逃げ出した。


「ごめんってば! ちょっと待ってー!」


彼は後を追ってくる。


「なんで追いかけてくるんだよ!」


「せっかくの出会いなんだし!」


「意味わかんない!」


追いつかれた綾乃は再び彼に腕を掴まれた。


「名前、聞いてなかったなって。俺、滝島燐斗(たきしまりんと)! よろしくな!」


「う…、雷鳴綾乃」


明るく陽気な燐斗の雰囲気に流され、つい答えてしまう。


「よし、覚えた! その制服、光原高校だよな? 俺も今度遊びに行っちゃおーっと!」


「来なくていいから! もう、なんなんだよ。そもそも俺の女発言も意味わかんないし!」


「へへ、ごめんごめん。でも、なんかほっとけなくて。また会えて嬉しい」


ニカッと真っ直ぐに笑う燐斗の笑顔になんだか調子を狂わされる。


「実はさ、一目惚れしちゃったんだよな。ほっとけなかったのは。だって、あの時、泣いてたっしょ?」


「うるさい、泣いてない!」


「そういうことにしておく! せっかくだし、仲良くしてくれたら嬉しい! また会おうな!」


燐斗は綾乃の頭をポンと撫で、手を振りながら学校へと戻って行った。


「なんなんだ、アイツ」


嵐の様に去っていた燐斗を見届けると、ふと綾乃は宿題を教室に忘れてしまった事に気付き、再び学校へと引き返すことにした。






一方その頃。

亜衣は職員室に忍び込み、名簿を見ていた。


「紫燈綺羅、紫燈士季。双子の兄弟、か」


名簿と顔を一致させる。

綺羅は生徒会長ということもあり、生徒会室に侵入し、何か手がかりが無いか調べていた。


「おやおや、悪趣味ですねえ」


振り向くとそこには紫燈綺羅の姿があった。


「バレないとでも思いました? 刃霧さん」


「悪趣味なのはどっちだよ」


綺羅にも名前と顔を覚えられていたところを見ると、もう誰が能力者かというのもバレているようだった。



「シャインクロスの持ち主は他にもいると見ている。あなた達、知らないですよね。教えてあげましょうか?」


「何を言ってる。持ち主なんて知らないだろう?」


「目星はつけてるんですよ。だからあ(・)な(・)た(・)の(・)所(・)へ(・)へ来たのですよ」


「へえ、私がシャインクロスの持ち主だと? そんな根拠は無いだろ?」


「奪ってみれば分かることですよ」


綺羅は変身するが亜衣は変身せず、綺羅の動きを慎重に伺っていた。

すると背後から両腕を抑えつけられる。


「なっ…! お前は!」


そこには変身した士季がニヤリと笑っていた。


「お前、1人で行動するなんて大胆だな。自分が狙われるって思わなかったのか?」


「別に。狙われても勝てる」


言い終わるか否(いな)かで、亜衣は咄嗟(とっさ)に刃物を取り出し士季に攻撃する。

そして腕を振り解き、すぐさま距離を置いた。


「へえ、なかなかやるじゃん」


「本気を出さないとダメかもしれませんねえ」






一方、綾乃が教室に着くと仁美がまだ残っていた。


「あれ? 何してんの」


「えーん!! 居残りしてて今終わったんだよ」


どうやら補習をしていたらしい。

綾乃と仁美は一緒に帰ることにした。


「今日も疲れたなあ」


「ほんとほんと。勉強難しいし、はあ」


他愛ない話をしながら歩いていると、ドスン!と大きな物音がした。


「なんだ、今の音」


音の鳴ったほうを見ると、そこは生徒会室。


「行ってみよう」


「ええ!? 行くの!? 幽霊だったりして」


恐る恐る2人は生徒会室を開き覗くと、そこには女子生徒が倒れていた。


「綾乃! あの子、同じクラスの亜衣じゃない?」


「本当だ! あ、あれは!」


2人は綺羅と士季の姿を見て闇メンバーだと確信した。


「なんで亜衣が襲われてるの? 助けないと!」


「誰ですか?」


綾乃と仁美の気配に気付いた綺羅は、クスクスと笑っている。


「ただの人間じゃね?」


「気付かれてる!! どうする? 綾乃、みんなを呼んだ方が…。って、ちょっと!」


「誰がただの人間だって?」


仁美が話してる最中に、ズカズカと綾乃が教室に入っていく。

 

「綾乃、待って! もうっ!」


「お前ら、逃げろ!」


2人が入ると亜衣はすぐさま止めるが、時すでに遅く仁美と綾乃は変身した。


「お前ら闇の好きにはさせない!」


「亜衣、大丈夫? 逃げて!」


亜衣が刃の能力者ということも知らず、2人は亜衣を庇った。

一方、ずっと裏で動いていた亜衣は、すでに誰が能力者かも全て分かっていたが、しばらく様子を見ていた。


「なーんだ。ただの人間じゃなくて、ただの光メンバーか」


「なーんだとは、失礼な!」


士季が煽(あお)ると、綾乃がムキになり言い返す。


「何言ってんの綾乃!」


「だって、ムカつくじゃんか!」


まるでコントのような2人のやりとりに亜衣は呆然としながらも苦笑した。


(何しに来たんだ、この2人)


「とにかく、思い知れ!」


「おい! 攻撃しちゃダメだ!」


亜衣が止めるのも遅く、綾乃と仁美は攻撃を放つ。

すると、綺羅の能力で攻撃が吸い込まれ一瞬に無くなったかと思えば、その技が2人めがけて跳ね返っていく。


「危ない!」


二人はギリギリのところで避けるが、少し攻撃が掠(かす)り、軽症を負ってしまった。


「なに? あの人達の能力」


「僕は全てを無にする能力。士季は無から全てを作り出せる有の能力を持っているのです。攻撃しても無駄ですよ」


「くっ、厄介だな」


「はあ…。変身するのは好きじゃないが、仕方ないか。スラッシュパワークロス」


亜衣が静かに唱えると、みるみるうちに能力者へと変身していく。


「え!? 亜衣が能力者!?」


「まさか、スラッシュって言ったよな? 春夏と真が言っていた守護神スラッシュは、亜衣だったのか!?」


「カトラリースラッシュ」


変身し、すかさず攻撃をしかけると、亜衣の手から大量の刃物がものすごいスピードで綺羅と士季をめがけて飛んでいく。

2人はあっという間に壁に磔(はりつけ)状態になってしまった。


「す、すごい!」


「お前ら闇にクロスは渡さない」


身動きの取れない2人の隙をついて言い放つと、亜衣は綾乃と仁美を連れその場から立ち去った。


「うげ、逃げられちまった」


「まあ、仕方ないですね。それより刃霧さんって出来ますねえ」


「感心してる場合かよ! どうするんだよ、これ」


ため息をついてると2人の周りの壁に突き刺さった刃物が突然凍りつき、その場に刃物が落ちる。


「2人とも、意外とドジなんだね。ふっ、久しぶりに笑ったかも」


2人の前には少し幼い容姿の、黒髪の男が笑いながら立っている。


「すみませんねえ、圭。助かりましたよ」


「うん、綺羅のためならなんだってするよ」


「え、俺は?」




そんなやりとりをしながらも、3人はひとまず闇の空間へと戻っていった。

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