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追放されたので廃村でのんびりしてたら、なぜか最強の街になってました  作者: 南蛇井


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第1話 追放

「……お前、もういいわ」


低く吐き捨てるような声が、静まり返った野営地に落ちた。


焚き火の火がぱちりと弾ける。

その向こう側で、リーダーのガルドが腕を組み、こちらを見下ろしていた。


「何がですか?」


レインは首を傾げる。


「何が、じゃねぇよ。自分が何してきたか分かってんのか?」


周囲の仲間たちも、どこか居心地悪そうに視線を逸らしている。

だが、誰もガルドを止めようとはしなかった。


「俺たちが前で戦ってる間、お前は後ろで突っ立ってるだけ。

 支援? 回復? 何もしてねぇだろ」


「一応、やってはいるんですけど……」


「は? どこがだよ」


食い気味に返される。


「お前の“それっぽい動き”で何か変わったことあったか?

 結果が出てねぇんだよ、結果が」


その言葉に、空気が固まる。


レインは少し考えてから、ああ、と小さく頷いた。


「なるほど。そういう見え方になるんですね」


「見え方じゃねぇ。事実だ」


ガルドは鼻で笑った。


「はっきり言ってやるよ。お前は足手まといだ。

 むしろいない方がマシなレベルでな」


きっぱりと断定される。


……まあ、そうかもしれない。


レインは特に反論しなかった。


自分のやっていることは、確かに分かりづらい。

派手な魔法でもなければ、目に見える剣技でもない。


ただ、“ちょっと調整しているだけ”なのだから。


「だからよ」


ガルドは一歩前に出る。


「ここで終わりだ。お前はパーティから追放する」


その一言で、関係は断ち切られた。


焚き火の音だけが、やけに大きく聞こえる。


「……そっか」


レインはあっさりと頷いた。


「じゃあ、仕方ないですね」


「……は?」


拍子抜けしたように、ガルドが眉をひそめる。


もっと食い下がると思っていたのだろう。

だがレインにとっては、そこまで大きな問題ではなかった。


「元々、無理に居させてもらってたみたいなものですし」


「いや……お前、それでいいのか?」


後ろから誰かが戸惑い混じりに言う。


「いいも何も、決まったことなら仕方ないですよ」


レインは軽く笑った。


「今までありがとうございました」


そう言って、ぺこりと頭を下げる。


その態度が気に入らなかったのか、ガルドは舌打ちした。


「……チッ。最後まで気に入らねぇな」


そして思い出したように手を伸ばす。


「あと、その装備。いくつか置いてけ。パーティの資産だ」


「あ、はい」


レインは素直に外していく。


剣、予備のナイフ、いくつかの道具。

最低限の荷物だけ残して、差し出した。


「それでいい」


ガルドは奪うように受け取る。


「じゃあな。もう顔見せるなよ」


「分かりました」


本当にそれだけで、終わりだった。


レインは背を向けると、そのまま森の方へ歩き出す。


引き止める声は、なかった。


夜の森は静かだった。


虫の音と、遠くの獣の気配だけがある。


「さて、どうしようかな」


ぽつりと呟く。


当面はどこかの町に向かうしかないだろう。

仕事も探さないといけない。


……まあ、なんとかなるか。


レインはそう結論づけて、歩き続ける。


その時だった。


ガサリ、と草むらが揺れた。


「……ん?」


現れたのは、牙をむいた魔物。

このあたりではよく見る、小型の肉食種だ。


普通の冒険者なら、油断すれば怪我では済まない。


だが――


「まあ、一匹なら問題ないか」


レインは特に構えもせず、軽く手を上げた。


意識するのは、ほんの一瞬。


(ちょっとだけ、調整して――)


次の瞬間。


魔物は、音もなくその場から消えた。


肉片も、血も、何も残らない。


まるで最初から存在しなかったかのように。


「……あれ?」


レインはきょとんとする。


「今の、ちょっと強すぎたかな」


困ったように頭をかいた。


「まあいいか。危なくないならそれで」


特に気にも留めず、再び歩き出す。


背後には、静かな森だけが残った。


何事もなかったかのように。


だが――


もし誰かが見ていれば、こう思っただろう。


「あれ、こいつ……何かおかしくないか?」

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