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【忘れられた とある伝承】
天露里の奥深くに、忘れられた石碑があった。
その苔むした石碑には、遠い記憶が刻まれている。
忘れられたその伝承を語る者はいない。
──彼の方々の古事──
彼の方々は、遠つ空より我らを見そなはす
彼の方々は──
一度は、驕れる人の子を、大水もて流し給へり
二度は、驕れる人の子を、黒き病もて間引き給へり
三度は、心せよ
三度は、心せよ
海の水
山の火
黒き獣
紫の病
此度こそ、彼の方々は我らを赦し給ふまじ
彼の方々の試み給ふ時
真の裁きの前に
人の子のあがきを つぶさに見そなはすなり
その験しの間に選ばれし幾人か
我らの行方を定むるなり
験しの間の尽きなば
彼の方々は時を還し、さらに重き試練をくだし給ふ
過ぎ来し月日は巻き戻り
人は再び、同じ朝に目覚むるなり
選ばれし幾人かのみ
還りし時の記憶を識りて在り
遠つ国にも
いまだ若き者の中にも
その者らは在れど
互ひに知らず、その背に重き験を負ふ
誰も代はりて負ふこと能はず
彼の方々の赦しの訪るまで
三度は、心せよ
三度は、心せよ




