3-15 高専の若者たち(2)
翌朝、本土拠点を出発した俺たちは、火山灰に埋もれた県道を1時間ほど走って高専の門前に到着した。
「ドローン4機、上空待機中だよ~」
「神崎さん。映像も音声も鮮明です」
「周囲に魔物とモノリスの反応はねぇな」
車を停めて、最終確認をした。
「では、到着のDMを高専側に送りますね」
数分後、校門の向こうから、白髪交じりの男性を先頭に三人の教師が出てきた。
「お待ちしていました。校長代行を務めている、葛西です」
穏やかな笑顔で手を差し出してくれる。50代後半くらいだろうか。
「神崎です。本日はよろしくお願いします」
俺が代表して頭を下げる。
「機械工学科の若林です」
30代の女性教師。元気のいい声で、てきぱきとした印象だ。
「電気電子工学科の三宅です」
40代男性、油で黒く汚れた指先に無精ひげと作業着姿。見た目は完全に技術職人だった。
俺たちも事前打ち合わせ通り、苗字だけ名乗る。
「田村です」「如月です」「橘です」
名前は伏せ、ここからお互い苗字呼びでいく。
「車は門の中の来客駐車場へどうぞ」
俺たちとDMのやり取りをしていた作業着の三宅先生が笑顔で案内してくれる。
校内は、想像以上に開放的だった。
校門をくぐった先のグラウンドでは、男子学生たちがキャッチボールやサッカーに興じている。
「ちゃんと水分とるのよー!」
若林先生が声をかけると、背が高い男子生徒が爽やかな笑顔で「若ちゃん先生、わかってるって~」と大きく手を振る。
「橘、イケメンにコロッと引っ掛かるなよ?」
田村さんが心配半分でからかうが、陽菜乃ちゃんは冷たい目線を向けるだけだった。
グラウンドの奥の方から「キャー!」「冷たーい!」という女子のはしゃぐ声が響いてくる。
「今日は女子学生のプール利用日でして、男は接近禁止なんですよ」
葛西校長代行が説明すると、陽菜乃ちゃんが、タブレットをギュっと抱えて、複雑な表情でプールの方を眺めていた。
彼女は過去に同年代の女子にイジメられたと言っていた。それでも、楽しそうな笑い声を聞けば、混じりたい気持ちもあるのだろうか。陽菜乃ちゃんを連れてきたのは失敗だったか……。俺がそんな心配をしていると、陽菜乃ちゃんがぽつりと呟いた。
「チィちゃんはプールかぁ……会えるのは午後かなぁ」
心配して損したと思いつつも、ブレない陽菜乃ちゃんが頼もしかった。
「学生たちは、伸び伸びしてますね」
俺の言葉に、葛西校長代行が穏やかに頷いた。
「火山灰の掃除だけは全員でやってますが、炊事・洗濯・掃除の当番さえこなせば、後は自由行動にしています。実験実習棟、研究棟、図書館の一部は開放しているので、そこに集まっている連中もいます」
「集団生活だと、ストレスを溜めさせないことも大切ですよね」
俺たちの装備とは対照的に、Tシャツにハーフパンツで楽しそうに学生たちは騒いでいる。
食料への不安も魔物への怯えも無い。前世の大学での避難生活の時も、最初の頃は非日常のイベントのような感じで、授業が無いことを喜んでふざけていたことを思い出す。
田村さんが、小声で呟く声がスマートグラスの骨伝導で俺たちだけに聞こえる。
『監視カメラの数も少ねぇし、俺たちのボディチェックもなし。生徒は自由行動。危機意識が全くねぇな』
俺は答えずに、ただ小さく頷いた。
校舎の脇では、プラスチック段ボールと塩ビパイプで何やら大きな枠組みを作っているグループがいた。若林先生が笑いながら説明する。
「温室を試作中なんです。プラ段の二重構造で断熱効果を出そうとしてるんですって」
別の場所では、敷地を囲む金網の補強作業をしているグループが言い合っている。
「だから溶接した方が早いって!」「電気がもったいないだろ、針金で十分だ!」「スタンガンの回路を電気柵に流用できるんじゃね?」
声は大きいが、雰囲気はピリピリしていない。
「常にあんな調子です。技術論争はうちの名物でして」
三宅先生も笑う。俺たちはその平和な論争に苦笑するしかなかった。
中庭を歩きながら、葛西校長代行が現状を説明してくれる。
「災害後に、自宅へ帰りたがった学生や教師が、車やバスに分乗して各方面へ出発してしまいまして……校長も教頭も自宅に帰ったままです。今ここに残っているのは、軽トラと自転車だけです」
「移動手段がそれだけだと、何かと不便でしょうね」
「ええ。帰宅した一部の生徒からは、ステラネット経由で『戻りたい』と連絡が来ているのですが、迎えに行けなくて……それに、最初は連絡が取れていた生徒も、大多数は音信不通になってしまいました」
葛西校長代行の声に、初めて重さが滲んだ。
「物質化で手に入る物資以外はどうされているのですか?」
「軽トラでホームセンターへ行こうとしたのですが、途中に中型のレア種がいまして。あきらめて引き返したんですよ」
田村さんが、片眉を上げる。
「中型レア種ですか。確かに、生身では厳しいですね」
「物質化の役割分担は全員で計画的に決めたので、食料も日用品も水も電気も困っていません。全員が持てるように、ステラネット対応スマホとバッテリーの担当を1番に決めました。それから、塩担当が2名、米担当が2名、麺類担当が……」
葛西校長代行が、にこやかに役割分担の詳細を語り始める。俺はその笑顔を見ながら小さくため息をつく。ここまで平和ボケしているとは。今や物資は何よりも貴重だ。そんなセンシティブな情報を、初対面の相手に詳しく話してしまうのかと、少し呆れてしまう。
「物資も部屋も余裕があるので、移動手段さえ確保出来たら、生徒の家族を呼ぶことを検討しています。近隣住民にも声をかけられたらと」
俺は、内心で軽く眉をひそめた。みんなも微妙な表情をしている。陽菜乃ちゃんが、話を変えようと思ったのか、何気なく質問した。
「ホームセンターの中型レア種って、どの辺にいたんですか~?」
「道をくだった少し先の県道沿いです。Mホームセンター周辺に居着いているようなんですよ」
「あー、Mホームセンターならさっき通った……ん? それなら、倒したよね~」
陽菜乃ちゃんが、笑顔で俺たちを振り返ってから、「ヤバっ」と口を押さえた。
「えっ……倒した?」
葛西校長代行が、目を丸くする。
「あー、えーっと、偶然です! 攻撃が偶然うまく当たりまして。いやー、ラッキーでしたよ。あはは」
俺は少し引きつった笑顔で誤魔化す。
『今までは、中型レア種が防波堤になってたってことか。これからは、避難者が押し寄せてくる可能性もあるな……』
田村さんのつぶやきは、俺たちだけに聞こえていた。
中央事務棟へ向かう途中、入口近くのベンチに、男子学生三人が座って話していた。日本語ではないので、彼らがベトナム人留学生だろう。スマートグラスのおかげで、リアルタイムで翻訳された会話が目に入る。
『もう帰国できないだろうね。これからどうする?』
『ここにいるしかないよ。あーぁ、牛肉のフォーが食べたいなぁ』
『パクチーたっぷり載せたいよなー』
彼らの故郷の味、彼らの帰れない国。デジタルな翻訳テキストの向こうに、異国からきた若者たちの抱えるどうしようもない現実が見える。「シンチャオ(こんにちは)」と声をかけて通り過ぎると、パッと笑顔になって挨拶を返してくれた。
途中の図書館を覗くと、窓際の席で熱心に本を読んでいる男子学生が一人、目に入った。彼の耳には、補聴器がついている。
「彼はとても優秀な生徒ですが、事故に遭って耳が聞こえなくなったんですよ。補聴器の予備が無いので自分で作ろうと色々と調べているようですが、なかなか難しいようです」
若林先生が、小声で言う。
レオさんが、何かを考えるような顔で、補聴器の生徒を一瞥した。備蓄に補聴器はある。だが、安易に渡すのも違うような気がする。後で、みんなに相談してみよう。
事務棟のロビーに足を踏み入れた瞬間、俺は思わず足を止めた。
高い吹き抜けの壁に、A1サイズの紙が何枚も貼られている。中央には大きく赤字で書かれた文字。
『集団心理と権力構造の危険性』
掲示板サイトから世界に発信した注意喚起だった。集団心理の危険性だけではなく、その後に追加した要注意人物の分類も貼られている。陽菜乃ちゃんが作った4コマ漫画も、ちゃんと一緒に拡大されていた。何故かカラフルに塗られていたけど。
「あの掲示板サイトは、本当にありがたい存在ですね」
葛西校長代行が、感慨深そうに紙を見上げた。
「物質化アナウンスの前日に、このページが公開されて、みんなで集会を開いて討論しましたよ。それで、『指導者を一人に集中させない』『武器を分散する』『役割を定期的に交代する』という運営方針を決めました」
「後から追加されたこの『タイプC:カリスマ独裁型』のページも、皆で何度も読み返したんですよ」
若林先生が、にこやかに付け加える。
「カリスマ性が高い人ほど、初期は頼もしく見える。でも武器を独占した瞬間、変わってしまうことがある。私たちのコミュニティに『そういう人物』が現れていないか、匿名投書アプリを作って全員に配布しています」
「運営している方々が誰なのか分かりませんが、相当な知見をお持ちの方々ですよね。心理学、社会学、軍事史、法学、複数の専門家チームでないと書けない内容ですから、どこかの国家が運営している組織なのかもしれませんね」
三宅先生が、無精ひげを撫でながら穏やかに評する。
「あはは……そう……ですね、本当に……勉強になります……よね」
俺は、目を泳がせながら相槌を打った。声が、わずかに上ずってしまう。
「いやー、ホントホント! 感謝しかないよね~うん、助かるぅ~!!!」
陽菜乃ちゃんが、いつもの倍のテンションで賛同する。同じく目が泳いでいる。田村さんは、何故か遠くの天井を見上げて、顎をさすっていた。レオさんだけが、いつも通り穏やかに微笑んでいる。さすが腹黒宰相。
校舎を一通り回った後、葛西校長代行に小会議室へ案内された。室内はエアコンが効いていた。プールも使っていたし、水や電気に困っていないのは本当のようだ。
三宅先生がペットボトルのお茶を俺たちの前に置いてからテーブルにつき、葛西校長代行と若林先生も着席する。
「では、改めて。物資交換の件、よろしくお願いいたします」
まず口を開いたのはレオさんだった。
「早速ですが、ご要望されていた物資です。ご確認ください」
田村さんが、背負っていた大型のボックス型リュックから物資を取り出す。
「これが旋盤とフライス盤の消耗部品。チャックの爪3つ、刃物台のホルダー類30本、ベアリング1つ、駆動ベルト3セット。それから、メンテナンス機械油は18L一斗缶を2本、車に載せてきています」
「如月さん、全て持ってきていただけたのですか! これで1年はもちます。助かりました」
三宅先生が嬉しそうに並んだ物資を見ている。
「型式は、事前にお伺いした通りで間違いないですか?」
「ええ。旋盤はB社のSL-200シリーズ、フライス盤は同じくB社のVF-150Sです」
レオさんが頷いて、自分のタブレットに対応するリストを表示した。
「うちも、同じ機種です。というより、この地方はA商社が精密機器の販売を独占してましたから。ほとんどの工場がB社製ですね」
メンテナンスの都合上ということで、田舎ではよくあることらしい。本土拠点の設備担当者の悔しそうな渋面を思い出す。
「消耗部品はかなり多めに在庫を確保していますが、手持ちが無くなったら終わりです。丁寧に扱うように生徒さんに注意してください」
「ありがとうございます。きちんと指導します」
若林先生も嬉しそうに部品を手に取って確認している。
「では、こちらがうちからの要望です」
俺は、持参してきたケースを開けた。
中から、嶺守島の監視巡回ドローン一機と、ポータブル型の充電器を取り出して、テーブルの上に並べる。
巡回ドローンの高性能カメラはノーマルなカメラに付け替え、特殊なアタッチメントは全て取り外したシンプルな状態だ。プログラムも初期化して、嶺守島の巡回ルートや飛行ログ、アリスとのAPI連携など、うちに繋がる情報は全て消してある。
「現在、内部連絡用に使っているドローンです。一度の充電で四十五分、十五キロほど飛行できます」
三宅先生が、玩具を手にした子供のような顔でドローンを手に取った。様々な角度から眺めながら、感心したように呟く。
「むむっ……これは軍用ドローンがベースですか……この辺はオリジナルな改良が加えられていますね。フレームの剛性と軽量化のバランスが素晴らしい。ということは、制御基板は……」
ドローンを裏返した三宅先生の指が、底面の黒い樹脂封止箇所で止まった。
「ここは?」
「制御基板の中核部分です。申し訳ありませんが、ここは触れないでいただきたい」
俺はにこやかに、しかしきっぱりと答えた。
「念のため申し上げますと、この封止部分には改ざん検知機構が組み込まれています。物理的に開けようとすると、内部メモリが自動消去される仕様です」
三宅先生が、軽く目を見開いた。
「ほう、タンパー検知ですか。本格的ですね」
田村さんが、ニヤッと笑っている。
ドローンを物質化されないように一部をブラックボックスにするべきだというのは、レオさんの発案だった。実機を触らせれば、性能や形状を「よく知る具体的な物質」として物質化登録される可能性がある。それを完全に防ぐ方法はないが、独自の制御アルゴリズムが詰まった中核部分だけは樹脂で封止し、外形と基本機能はコピーされても、本来の性能は再現困難な状態にしておいたのだ。
「DMでお聞きしていた箇所ですね。了承しました」
三宅先生は、躊躇なく頷いた。
「飛行プログラムの最適化と、駆動系の改良だけでも、飛行性能は二倍にできると予想しています」
「楽しみにしています。うちのチーム内の解析では一・六七倍が限界という結論でしたので」
三宅先生の眉が、わずかに動いた。
「そちらでも解析もされていたのですね」
「ええ。三宅先生が二倍を見込めるとおっしゃったので、ぜひお願いしたいと思った次第です」
「こういった機械の改良と調整は、勘と根気が必要ですからね。我々の得意分野ですよ」
三宅先生が、無精ひげをなでながらドローンを見つめる。
「高専ロボコン優勝チームメンバーも数人残っています。彼らも喜んでアイデアを出してくれるでしょう。実際に手を加える前に、一度、方針のDMを入れるということでよろしいでしょうか」
「ぜひ、お願いします」
アリスの解析では一・六七倍が限界という結論だったから、それを超える可能性があるという三宅先生の見立てに賭けてみた。これがうまくいって、技術者として信頼できる関係を築けたら、その先に長距離ドローンの改良も頼みたい。
話がまとまったところで、陽菜乃ちゃんがバッグから小さなケースを取り出した。
「これ、改造に必要なソースコードと仕様書のセット。暗号化してあるから、復号キーは後でDMで送るね~」
三宅先生が、本当に嬉しそうに両手でケースを受け取った。
ここで、田村さんが急に口調を変えて口を開いた。
「ちょっと聞きたいんだが、掲示板サイトを見てるなら、魔物討伐ポイントを稼げば二つ目の物質化ができることは知ってると思う。だが、見たところ、ここでは積極的に魔物を狩ってるようには見えないがどうなんだ?」
田村さんが、サングラス越しに少し威圧的に教師たちを見据える。
葛西校長代行が、少し戸惑った顔になった。
「二つ目の物質化を獲得しているのは、確かに9名だけです。近くのモノリスは破壊してしまったので、今はたまに近寄ってくる魔物を倒す程度で……」
「だろうな」
「ですが、物資に困窮しているわけではないので、わざわざ危険を冒してまで魔物ポイントを稼ぐ必要はありません。親御さんから預かっている大事な生徒たちですし……」
「じゃあ、安全に魔物ポイントを稼げるとしたらどうだ? 俺たちの仲間は、六歳の子供も物質化を倍にしてる」
「六歳……」
葛西校長代行が、絶句した。
俺は、テーブルの下で軽く田村さんの足を蹴った。お茶のペットボトルを口に運ぶふりをして、スマートグラスの骨伝導で田村さんに届くように小声を出す。
『田村さん、何を考えてるんですか』
田村さんも、同様にお茶を飲むふりをして返してきた。
『後で説明する。今は合わせてくれ』
信用するしかないか。田村さんは、これまで一度も俺たちを不利な状況にしたことはない。今回も、何か考えがあるのだろう。俺は、言葉を呑み込んだ。
先生たちは「安全に増やせるならよいのでは」「いやでも、物事に100%はありませんし」と話し合っている。
「ただし、交換条件がある。俺たちが指定する物を、一つだけ物質化してほしい」
「それは、どんな物でしょうか」
葛西校長代行が慎重に問うと、田村さんは笑顔でレオさんのスマートグラスを外して振って見せた。
「このメガネだ」
「……メガネ、ですか?」
「ああ」
田村さんは、それ以上説明しなかったが、陽菜乃ちゃんが、『ナイス、田村さん!』と小さな声でささやく。俺も、思わず机の下で拳を握ってガッツポーズをしてしまった。スマートグラスは開店記念品なので30本しかなかったのだ。増やしてもらえるのであれば、非常に助かる。
葛西校長代行も若林先生も三宅先生も、不思議そうな顔のまま、首を傾げている。
「ご提案は大変ありがたいのですが、今すぐの返答はできかねます。一度、内部で検討させてください」
「具体的な回答は、また改めてDMでお願いします」
俺が話を引き取り、その場を一旦締めた。
その時、ノックの音が響いた。
「失礼します」
別の教師が、扉を開けて顔を出した。
「面会希望とのご連絡をいただいていた宮内千春を連れてきました」
陽菜乃ちゃんの顔が、パッと輝いた。
俺たちも、自然と扉の方へ視線を向ける。
……来た。
DMで陽菜乃ちゃんとマウントの取り合いをしていたという、噂のチィちゃん。スレンダーで背が高い女の子。陽菜乃ちゃんは、車でもタブレットを開いて、何やら『技術自慢ネタ集』のようなメモを読み返していた。「好敵手」と書いて「とも」と読む。
扉の向こうから、確かに、ひょろっと背の高い人物が入ってきた。
寝癖のついた髪を、片手で押さえている。確かに痩せ型の体型。眠そうな目で、俺たちを見ている。年齢は、十九か二十くらいか。
「ども、宮内です」
低い、男性の声で、ぼそっと挨拶した。
「えぇぇぇ!? チィちゃんって男の子なのぉぉぉぉ!?」
陽菜乃ちゃんの絶叫が、小会議室に響き渡った。
チィちゃん──千春君は、チラリと陽菜乃ちゃんに目を向けたが、そのまま田村さんとレオさんを順に眺めて、ゆっくりと口を開く。
「……どちらが、橘さんですか?」
田村さんとレオさんが、ちょっと気の毒そうに無言で陽菜乃ちゃんを見る。
千春君が、もう一度陽菜乃ちゃんに視線を戻す。寝癖を押さえていた手が、ゆっくりと下りた。
すみません長文になりました。(いつも)
高専は(4)まで続きます。




