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平凡な錬金術師  作者: にゃおぞう
9/11

第8話 鑑定メガネ(仮)

名称:オリハルコン鉱

分類:鉱石

説明:銅や鉄を絶妙なバランスで含有した金鉱石

品質:上質


 「どうかしら?」


 「まだ不明ですね」


 キャロル先生の問いに、短く返答するが完全に嘘だった。俺の技能、鑑定のスキル上げで色々なモノを見ている。

 10日程前に、変成スキルを誤魔化す為に鑑定持ちだと伝えてから毎日だった。今の俺の技能は、鑑定【上級】となっているが初級のままだと伝えてある。


 最近では、生前の知識が使えないのかなと呟きながら哀しい表情を見せる様になった。少し……いや、とんでもない罪悪感がある。

 キャロル先生の話は、ほぼ全て役に立っている。新しいスキルの覚え方、育て方の恐らく全てが正しい。向き不向きがあるが、俺達の様な子供が普通に技能を増やしてるのだから。


 地味に、塾に入り既に半年以上過ぎている。しかし、たった半年でクラスの全員に、魔力操作の技能が身に付いている。普通に、教え方が上手いのだ。

 今のキャロル先生の目標は、俺に鑑定探知能力の付与された眼鏡を作らせる事らしい。その為に、毎日講義が終わると個人指導が待っている。因みに、今現在の俺の能力は……。


名称:サクヤ

レベル:3

分類:人間

年齢:5歳

性別:男性

〜能力特性〜

VIT:D

STR:D

DEX:S

AGI:B

INT:S

MND:A

〜所持技能〜

剣術【初級】、弓術【初級】、杖術【初級】

火魔術【初級】、水魔術【中級】、風魔術【初級】

土魔術【初級】、光魔術【初級】、闇魔術【初級】

呪術【初級】、付与魔術【初級】、木工細工【初級】

鍛冶【初級】、彫金細工【初級】、革細工【初級】

布細工【初級】、錬金術【上級】、魔具作製【初級】

鑑定【上級】、探索【中級】、気配感知【初級】

魔力操作【中級】、魔力感知【初級】、魔力隠蔽【初級】

身体強化【中級】、変成【ー】

称号:無し


 俺の持つ、鑑定能力で見える情報だ。

 キャロル先生に、こういうスキルがある筈だからコレやってみてと言われる作業を、淡々とこなしていたらこうなってた。しかし、先生には勿論教えてない。

 鑑定眼鏡を、作って渡したとして何に使うのかわからないが、キャロル先生が良い人なのは間違いない。変成の事も、教えても良いのかも知れない。


 鑑定の結果、俺には体力の素質が無いらしいと判明した為、例の持久走が更に苦痛に感じる。

 それはさておき、最近ジニーの呪術が安定して発動している。いや、効果が合っているのかはわからないが、魔力の流れを見る限りでは発動しているようだ。不思議に思い、ジニーを鑑定してみた。


名称:ジニー

レベル:3

分類:人間

年齢:5歳

性別:女性

〜能力特性〜

VIT:C

STR:C

DEX:B

AGI:B

INT:B

MND:A

〜所持技能〜

布細工【初級】、調理【初級】、呪術【初級】

魔力操作【初級】、身体強化【初級】

称号:無し


 呪術の技能が生えてた。

 それにしても、布細工と調理って凄い家庭的感あるのに何で呪術に行ったんだろう。覚えが良い俺ですら、未だに手に入らない調理は正直羨ましい。

 雰囲気だけど、社交的ではなさそうだしジニーとは仲良くなっても目立たなくて良さそう。俺からは行かないけどね。その後、今日の魔法講義も終わり、いつもの特別講義に向かった。


 キャロル先生に聞いて、初めて知った生産の話だが、全て2通りの生産方法があった。1つは、素材を集め技能を意識して念じる方法。もう1つは、直に素材を加工して完成させる方法。

 前者は、時間短縮出来るメリットと失敗すると全てゴミ屑になるデメリットがある。後者は、時間がかかるデメリットはあるものの、失敗しても一部の素材が再利用出来る可能性が残るメリットがある。

 普通は、ゴミ屑になると焼却行きの邪魔モノにしかならない。しかもこのゴミ屑、何かの成分が抜けてるのか素材とゴミ屑で質量が少し減っている。俺の変成を使っても、完全に元の素材には戻せない。まぁ、他のゴミ屑を足したり、小さい物にする事は可能である。


 1つだけ、気になる事があった。魔具作製スキルの存在だ。魔道具とは、完成した武具や装飾品または調度品に何かを付与して作る物だと思っていた。

 勿論それは正しいのだが、素材自体に効果がある物を加工しても魔道具になるのだ。極端な話、回復効果のある素材を揃えて何も技能を持たない人に作らせても魔道具は完成する。

 つまり、効果のある素材を作り出す技能が魔具作製スキルだった。既に、薬草と鉄を合成してヒールアイアンとか変なインゴットを作製済みである。

 元々が、錬金術師として物作り生活で静かに暮らす気満々だったので、こうして変成を使わずに色々作製出来るのは胸が熱くなる。


 ここまで、沢山の技能を覚える切っ掛けをくれたキャロル先生には本当の事を伝えようと思う。その前に、念の為に鑑定しておこうと思いじっと見つめた。


 「キャロル先生、少し失礼します」


名称:キャペル・アーバン

レベル:32

分類:人間

年齢:10歳

性別:女性

〜能力特性〜

VIT:C

STR:C

DEX:C

AGI:C

INT:A

MND:A

〜所持技能〜

剣術【初級】、弓術【初級】、杖術【上級】

投擲術【中級】、火魔術【特級】、水魔術【特級】

風魔術【特級】、土魔術【特級】、木工細工【初級】

布細工【中級】、気配感知【上級】、魔力操作【特級】

魔力感知【特級】、魔力隠蔽【上級】、身体強化【上級】

毒耐性【初級】、麻痺耐性【初級】、盲目耐性【初級】

混乱耐性【初級】、沈黙耐性【初級】、魔物調教【初級】

無限収納【ー】

称号:無し


 何だコレ、耐性凄い種類だな!

 どんな生活……って冒険者だったか。結構ランクが高い技能があるし、無限収納というのも気になる。まぁ、危険なスキルは無さそうで安心した。


 「キャロル先生に相談というか大事なお話があるんですけど聞いて頂けますか?」


 「……えっ? あっちょっと待って、心の準備が」


 キャロル先生は、顔を赤くして焦って挙動不審になった後、落ち着かせる様に深呼吸し始めた。何かあったのだろうか、と思っていると落ち着いたのか続きを促された。


 「お待たせしました、さぁどうぞ!」


 「実は、先生を完全に信用した訳ではないですが、たくさんお世話になったので俺の技能についての真実を明かそうと思いまして」


 そう伝えると、キャロル先生は少し落ち込んだ。あぁそっちね、と聞こえた気がしたがよくわからないので無視した。


 「真実ってことは、鑑定だけじゃないって事なの?」


 「はい、それもキャロル先生の希望を恐らく完璧に再現する事も可能だと思います」


 「それって、モノさえ揃えれば何でも作れる某錬成師と同じ感じの技能?」


 「寧ろ、モノが揃わなくても量と知識があれば何でもいけると思いますね」


 「どういう事?」


 俺は、腰に着けたポーションを手に取り同じ質量のオリハルコン鉱にして手渡した。


 「はぇ……? 何これオリハルコンみたい……。いや、でもポーションは?」


 「俺の技能は、『変成』って言いまして質量が同じならどんな物からでも別な物を作れます。勿論、俺自身が持ってる技能や魔法を付与するのも簡単です」


 「それじゃ、念願の探索機能付きの追跡メ◯ネとか内に眠る荒ぶるチカラを押さえ込む格好良い眼帯もいけるの!?」


 「いや、眼帯はわかりませんがメガネは作製出来ると思います」


 「えっと、ここにスイッチがあって……。通常時は普通のメガネで……。この世界は電池がないから魔力で……」


 俺は注文を聞きつつ、キャロル先生の知識を再現する。そして、可愛さを求めつつ頑丈なオリハルコン製の素晴らしい女性用メガネが完成した。

 鑑定【中級】と探索【中級】に、魔力隠蔽【初級】が付与されており、見たい情報を思考しながら魔力をスイッチに流すとレンズに情報が表示される。しかも、魔力隠蔽されている為に使用時でも周囲からは普通の可愛いメガネで表示も外からは見えない。


 「チートメガネキターーー!」


 はい出ました、チート。よくわからないけど、喜んで貰えたみたいで何よりだ。

 鑑定【中級】だと、能力特性までしか見えないけどアイテムの鑑定は上級と差がわからないし大丈夫だろう。


 それにしても、魔力認証とは面白い機能だった。作製時に、魔力を登録するか血などの体液を含めて合成するとその人以外には付与を起動出来ないとは。

 完成したメガネに、魔力を流しても変化が無くて失敗したかと思った。まさか、作製者ですら制限されるなんて考えなかった。


 未だに、夢が実現出来て少しおかしくなっているキャロル先生はさて置き、今日から自主練になりそうだ。

 他にも、役に立ちそうな技能取得情報を聞きながら特訓する事を決意した。

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