604.【後日談7】猫パ その8
・トミタ(猫)視点
今日は猫パ当日。
学校区画マタタビ会館の大ホール入口前では、猫パ参加者であるネコ科魔獣達と、その世話係の奴隷の人間達が並んでいた。
俺も、その列に並んでいる。
あと5分で開場だ。
俺の前に並んでいた紫色のネコ科魔獣が、姿勢は前に向いたままクルッと顔をこっちに向ける。
「みゃんむ(おお肉球魔王様。人間の奴隷はお連れではないようで?)」
「にゃー(俺専属の奴隷は居ないぞ)」
世話係とか、煩わしいだけだからな。
「みゃんぬ(人間は不要、と。やはり肉球魔王様は我らの王になるべき存在であるな)」
「にゃー(何度も言うがDr.ギフト、俺はネコ科魔獣だけの王国とか作らないからな)」
種族には、向き不向きってものがある。
ネコ科魔獣だけの国とか、さぞかし不自由することだろう。
「みゃんみゃ(人間をはじめとする他種族と共存するのは、生存権を委ねるようで気分が悪いのであるがな。
まぁ、肉球魔王様がそうおっしゃるのだ。強き者に従うのは魔獣の定め。
しばらくは、他種族と共存しようではないか)」
そう言いつつ、Dr.ギフトは人間奴隷を所持していない。
全然、信用してないんだろうな。
彼にも色々あったみたいだが、それは過去の話だ。
彼が直接恨んでいた人間も他種族魔獣も、既に死んでいる。
ま、これ以上とやかく言ったところで、何も変わらないだろう。
……ん?
茶トラ白のネコ科魔獣幹部の火車が、『私は肉球魔王様の奴隷です』と書かれた首輪を付けて、やって来た。
「にゃー(何の真似だ)」
「んなー(これなら猫パに参加できますぞ! 肉球魔王様、どうぞ私を奴隷として連れて行ってくだされ!)」
「みゃんま(小僧……恥を知らないのか?)」
Dr.ギフトがドン引きしている。
火車は立場上、この都市のトップである。
そして俺は一応は一般人、じゃなくて一般猫。
つまり社長が平社員相手に、「会食に出たいから部下にしてくれ!」と頼んでいるようなものである。
いや、奴隷だから部下未満だな。
「にゃー(火車、魔獣都市マタタビの顔とも言うべきお前が、そんな情けない姿を晒すとは何事だ。説教だ)」
開場の時間が来て、列が前に進む。
そして列の順番が俺の番になるまで、組織の長たるものどうあるべきかを、火車に説いたのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
学校区画マタタビ会館の大ホール。
超大型魔獣が20体余裕で入るほどの大きさのその場所には、ネコ科魔獣100体と連れの人間35人が居た。
そしてネコ科魔獣達は、事前に決められた場所に案内されている。
どうやら、10体で1組に分けているようだ。
それが計10組。さて、何をするつもりなのか。
俺は、爪とぎが描かれた旗の組に案内された。
爪とぎ班、ってことか。
他の班のメンバーを見るに、各班のパワーバランスが釣り合うようにしているっぽいな。
班同士で競わせる気か?
テクテク。
ホールの舞台奥から、尾っぽが二股に分かれたデブい白毛ネコ科魔獣が現れ、マイクの前にやって来た。
命君のダンジョンに居るネコ科魔獣、ミルフィーユだ。
「にゃ!(いらっしゃい! 猫パへようこそ! 今日は楽しんでいってね!)」
ミルフィーユの声が響き渡る。
「にゃ!(さっそく、今日の予定を説明するよ!)」
チャールズ君が走ってきて、パパパッと各ネコ科魔獣に紙を配っている。
ネコ科魔獣達は、よっこいせ、と紙の上に体を乗せる。
俺の所にも紙が来た。
ふむ、ほうほう。
プログラム内容は、
・開会
・各班内で自己紹介!
・カラス魔獣の羽むしり!(班内)
・休憩
・班対抗ゲーム!x3
・休憩
・班対抗ゲーム結果発表!
・お食事会!
・お土産選び!
・閉会
となっていた。
ミルフィーユの説明も、紙に書いてあることをそのまま説明しただけだ。
「にゃ!(班対抗ゲームの順位に応じて、賞金があるから頑張ってね!
ではではー、猫パ開催~!)」
賞金付きか!
橘若菜のやつ、余ったお金を返しに来ないのかと思ったら、全部賞金に回したのか?
1位とか、宝くじ並みの賞金になりそうだな。
こうして、猫パが始まったのだった。




