032 採取
二ヶ月も空いていました!
日が傾きかけた頃、ランタン片手に再び宿を出て小川を目指し4人(?)で歩く。通りへ出て宿の裏に回り、道なりに15分程歩くと小川の上流に出る。そこが月凪草の生育地だ。
到着までただ歩くのもなんだから気になっていたシホちゃんの能力について質問してみると
「よくぞ聞いてくれましたわ!」
嬉々として答えてくれた。
まずはブレス。
口から放射状に射出。距離は10メートル。となると、シホちゃんには中距離攻撃を担って貰うことになる。
続いては主な種類。
・火属性【ファイアーブレス】ウォーク茸を焼いた炎。
・光属性【ホワイトブレス】闇属性にだけ効く白い炎なので、私とノンちゃんが浴びても眩しいだけで済んだのだ。ウォーク茸は闇属性も持っているんだとか。
・雷属性【サンダーブレス】雷で感電させる。
「ブレスって攻撃だけなの?」
「…くっ。回復や補助系が苦手なだけですわ」
とても悔しそうな言い方。まあ、性格からして納得だね。
話しているうちに生育地に到着した。
砂利の河原にニラのような葉がポツポツと見える。月凪草だ。その細い葉に2,3滴零れそうに付いている夜露を採取する。
「ロボちゃん、瓶を出してくれる?」
「キュッ」
元気よく返事をしたロボちゃんの口から一瓶出てくる。どうやったらあの小さな口から瓶が出てくるのか甚だ疑問なんだよね。異世界なんだから気にしたら負けだと思うので忘れてしまおう。
コルク栓を抜き、手前に生えている月凪草から奥へと順に夜露を瓶に集める。
移動しては屈んで集めるので地味に腰にくる。魔物などの危険が無いけれど、これはこれでキツいなぁ。明日は腰の痛みと足の筋肉痛確定だね。早めに湿布を買おう。あ、この世界に湿布ってあるのかな。無かったら痛み止めとかそれっぽいのを探そうっと。
「次はここだ」
「いいえお姉さま。こちらの方が夜露がたくさんついていますわ」
「こっちの方が近いだろう」
「たくさんついているのを採取した方が効率がいいですわ」
「はいはい、順番に周るから待っててね」
夜露を集められない二人は、私を案内することで張り合っている。
ふと手元を見ると、葉先に青い光が点滅していた。もしやホタル?
すぐに夜露集め用の瓶にコルク栓をして足元に置く。
「ロボちゃん、瓶!」
3メートル先にいたノンちゃんの頭上|ていいち|から瓶が飛んで来て私の左手にパシッと収まった。ロボちゃんナイス!
ホタルをガッと掴んで空瓶にポイッ。キュッと詮をする。捕獲成功!
「なんだホタルか?」
「綺麗な光ですわね」
「部屋の常夜灯として使えないかな。夜中にトイレ行く時真っ暗で怖いんだよね」
トイレは廊下の突き当たり。各部屋にトイレがあるようなランクの高い宿はこの町にはない。
「食っちゃダメなのか?」
「ノンちゃん。何度も言うけどなんでも食べようとしないでよ」
ゴロゴロ~
「お姉さま!虫なんて使わずにわたくしのライトブレスを活用してくださいですわっ」
「ライトブレスは補助系だから苦手でしょ」
「が、頑張りますわ!」
ゴロゴロ~
「無理しなくていいよ。適材適所ってやつだね」
「虫に負けた…!」
シホちゃんががっくりと地面にうつ伏せになる。
ゴロゴロゴロ~
「あああああー!転がさないでーっ。暴力反対っすよぉぉっ」
いつの間にかノンちゃんが前足で転がしていたホタル入り瓶から、悲痛な声が聞こえてきた。




