第23話 楓真の気持ち
「……っ!? きゃあ!!」
ドタンっ!!
(っ!? 誰かとぶつかって……)
走っていた楓真と、誰かがぶつかり、そのまま2人は温泉の中に落ちた。
バッシャアァーン!!
大量の白い泡の中から楓真だけが相手を確認できた。
(ヤバい……片谷……!)
楓真はお湯の中にいるのにも関わらず、背筋が凍りつく。
(こいつにバレたら……本当に高校生活が終わる……)
楓真は慎重に、そして速く温泉から出た。
そのまま屋内の温泉を走り抜け、温泉を出た。
(よしっ……運が良いのか、今入浴時間の女子は全員露天風呂の方にいる……)
入浴時間は、クラスごとに分かれていて、2クラスで30分なのだ。
楓真はダッシュで脱衣所を抜け、タオルで上手く全身を隠し、女湯を出て男湯に戻る。
(もういい……。出よう……)
楓真はそのまま服を着替え、宿舎の部屋に帰る。
誰もいない部屋に戻ってきた楓真は、窓際のスペースに置いてある椅子に腰掛ける。
(ーーみくが、立華くんのことを好きってこと!!)
楓真の頭の中でこの言葉が永遠にリピートする。
(みくが俺のことを好き? でも、そんなわけない。俺たちはただの友達で……)
(じゃあ……みくは? 俺はみくのことが好きだ。この想いはずっと変わらない。だったら、みくだってもしかしたら俺のことが……)
(いや、それはなるべく考えないでおこう……)
楓真はふと、自分のスマホに目を落とす。
(もう8時じゃねーか……1日目思ったより早かったな……)
楓真がそんなことを考えながらボーっとしていると、温泉からルームメイトが帰ってきた。
「立華! 先に帰ってたのか……」
「女湯で八つ裂きにされたんじゃなかったのか……」
「おいそこ! なんで悔しそうんだ」
「で、どうだった?」
ルームメイトの1人が小声で楓真に聞く。
「どう……とは?」
「あのルートだと女湯行ってたんだろ?」
「いやまぁ……そうだけど……」
「見たんだろ?」
「見てねぇーよ!!」
(みくのはバッチリみたけど……)
「俺がそんな不純なことするわけねーだろ!」
「いや、立華ならあり得るぞ。そもそもあの状況で見ないほうがおかしい。それに……」
「おい悠希弥! 分析するなぁ? ありえないぞ?」
「あ、そうだ、立華! 星見に行くか?」
「ほし?」
「あぁ……なんでも山の中だし、今日は雲もないからめっちゃ綺麗に見れるらしいぞ」
「だから、女子が下にいるのか……」
楓真は窓から宿の外を見る。
「ふーん。じゃ行ってみるか……」
楓真一同は部屋をあとにする。
階段を降りて宿のロビーを通過し、外に出た。
「うわー。もういっぱいいる」
そこは星を見ようとした同級生たちでごった返していた。
「確かに綺麗に見えるな」
「さーて! ここで立華にサプライズイベントだ!」
「あ? どうした悠希弥?」
すると、同じクラスの女子たち(非公式生徒会員抜き)がみくを引っ張って近づいてくる。
「みく!?」
「ちょっと……離してってば……」
みくが無理矢理、楓真の方へ押し出され、2人がぶつかる。
「あっ……あっ……ごめん楓真……」
「おい! 悠希弥! みんな! どういうことだよこれ?」
「とぼけんよ! お前らが両想いだってのはバレバレなんだよ! この際だからくっついとけ!」
男子の1人が叫ぶ。
『そーだ! そーだ!』と周りも便乗する。
「おっ……俺らはそんなんじゃねーよ!」
「そうだよ! みんな勘違いしてるよ!」
「ま、つべこべ言わずに行って来い!」
そのまま楓真とみくは、クラスメイトたちが作ったであろう道を進まされることになった。
続く
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