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第2話 連れて行かれた先は

「おいっ! ちょっと待てって!」


 北校舎の階段を上がったところで、みくは動きを止める。


「どこに連れてく気だよっ!」


「ここだよ」


 みくが見の前のドアを指差す。


 そこには


『化学実験室』


 という看板の上に、


『非公式生徒会室』


 と書いた看板が貼り付けてあった。


「化学実験室?」


「違う! その上!」


「非……公式生徒会?」


 生徒会と言う言葉は学校ではよく聞く言葉だが、『非公式』生徒会と言う言葉は初めて聞いた楓真だった。


「生徒会じゃないのか?」


「ううん。生徒会だよ?非公式のね!」


「その、非公式ってのが分かんねーんだけど……」


「まぁ、楓真にも分かるように要約すると、生徒会であって、生徒会でない」


「全然わからないんですが? みくさん?」


「あと、なんで俺がここに連れてこられたのか……」


 楓真にとっては何が起きてるのかが理解できない様子。


「実は……」


「私の知り合いに紗千花(さちか)先輩って人がいるんだけど……その人が非公式生徒会の会長なの。でも、今年から3年生になるから引退しなきゃならなくなって……」


 みくが状況を説明し始める。


「頼れるのはみくしかいないって……だから……その……」


「まさか……お前……」


「楓真と私が入りますって言っちゃったの!!」


「はぁ~~」


 楓真はガクッと肩を落とす。


「取り下げることは出来ないのか?」


「あの人1度言ったら曲げない人で……」


「だからお願いしに来たのか」


「ううん。入部届を……」


「駄目だこりゃ」


 こんこん……


 みくがドアをノックし、開ける。


「失礼します」


 みくと楓真が中に入ると、いきなり可愛らしい声が飛んできた。


「みくちゃん! 来てくれたんだぁ! 嬉しい!!」


愛優風(あゆか)さん……いい加減に小学校を卒業して下さい」


「見た目は女子高校生! 心は小学生! その名は……芦峅 愛優風(あしくら あゆか)!!」


 楓真が(何だこの人?)という表情を浮かべる。


「みく。ようこそ。非公式生徒会へ」


 愛優風のうしろから真面目そうな女子生徒が出てくる。


「紗千花先輩!」


「えっ? この人が?」


「えっと……貴方が立華楓真くんね。みくと一緒に入部してくれる……」


「あ……そのことなんですけど……」


 楓真が話を切り出そうとすると、


「それに男子が来てくれるのは嬉しいのよ。女子じゃ出来ないことでもやってくれることもあるし、みくが貴方を紹介してくれて本当に助かったわ」


「え……えと……」


 悪気がない分、楓真も断りにくい。


「まぁ立ち話も何だし、座ってくれない? もうみんなも揃ってるから……」


「だから僕違うんです!!」


 楓真が否定する。

 すると、その途端ーー


「うるさいわよ!!」


 という声が飛んだ。


 みんなが振り向くと、そこには、金色の髪に、ピンク色の髪飾りをつけた美少女が座っていた。


風凛(ふうり)ちゃん……」


片谷(かたやま)先輩。なんでこんな人たちを入れるんですか? 私は納得がいきません」


「まぁまぁ……とりあえずみんなで話しましょう」


「ほら、みくと楓真くんも座って座って!」


 紗千花に促されてみくと楓真も椅子に座る。


「さて、今日は非公式生徒会の入部会に集まっていただきありがとうございます。私が非公式生徒会会長、片谷 紗千花(かたやま さちか)と言います」


 紗千花が自己紹介をする。


「続いて、こちらが副会長の芦峅愛優風です」


「非公式生徒会の他メンバーは今日は来ていないですが、非公式生徒会の引き継ぎを始めます」


(急すぎて話について行けない……)  


「とりあえず、役職が……」


「会長、副会長2名、会計、書紀、革命委員長、自習委員長、生徒会室担当、準風紀委員長、雑用」


「なんかすでにいろいろツッコミどころがあるんですが……」


「これを今から決めたいと思います」


 ここにいるのはみくと楓真含めて9人。

 男子が2人と、女子が7人。


「わたし! 生徒会室担当やりたい!」


 いきなり声を上げたのは、1番奥に座っていた身長の低い青い髪の女の子。


蒼桜(あお)ちゃん、生徒会室担当ね。他にやりたい人はいない?」


 しーん。


「決定ね」


「じゃあ、会長は誰がやる?」


「私がやります」


 今度は蒼桜の右隣に座っていた赤い髪の女の子が手を挙げる。


柚花(ゆずか)ちゃん、非公式生徒会長ね」


 紗千花が紙にいろいろ記入していく。

その様子を見て楓真がみくに小声で聞く。


「な……なぁ……みく……みんなおかしくないか? なんでこんなとこに勝手に連れてこられて、変な役職決めさせられてんのに平然としてるんだ?」


 もっともな質問である。


「ごめん。ここにいるのは人たちは楓真と違って……みんな、非公式生徒会が何か理解した上で集まってるのよ」


「えっ? じゃあ、あの変な役職も分かってんの?」


「うん」


(ってことは……無理矢理連れてこられたのは俺だけかぁー!!)


 続く


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次話投稿は明日です。

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