第12話 愚痴女子会
「非公式生徒会の女子たちの男子、主に楓真への愚痴を言い合うためだけのグループだよ……」
「えっ? なんだよ……それ……」
「…………」
楓真の質問にみくは黙る。
「おい! ちょっと! 教えろって!」
「見るぞ! これ!」
そう言って楓真は、みくのスマホを拾い上げる。
「見ないでっ!」
ばっ!
みくはスマホを楓真から取り上げて、自分のかばんにしまう。
「見せてくれよ。つーか、なんで俺は愚痴なんか影で言われなきゃなんねーんだよ」
「他のやつはともかく、なんでみくまで入ってんだよ?」
「…………」
「俺の愚痴を言うのは別に構わないんだけどさ! それをなんで俺に言わないんだよ!?」
「グループなんかで言ってたって、自分の思いは伝わらねーだろーが!」
「…………」
楓真は喋り続けるが、みくは黙りこくっている。
「おい! なんとか言えって……みく! 聞いてんのか?」
「……ごめん……帰る……」
そう言って、みくは突然席を立つ。
「おい……待てって……オムレツ残ってんぞ?」
楓真は、みくの制服の袖をつかんで止める。
「もういらない。楓真食べといて……」
そう言うとみくは、楓真の手を振り払って店を出ていってしまった。
「なんだよ……みくまで……」
楓真は半分落ち込みながら、みくの半分くらい食べかけのオムレツを口に運ぶ。
「別れ話でしたか?」
タイミングを見計らっていたかのように、ちょうど月乃が出てくる。
「……俺ら付き合ってねーよ……」
「えっ!? そうなんですか? みんな付き合ってるって思ってますよ! 立華くんと、一条さん」
「どこからそんな根も葉もない情報が……」
「お前……『愚痴女子会』って知ってるか?」
楓真は、月乃にも急にこの話を振る。
「えっ…………」
みくと全く同じ反応を見せる月乃。
「なんで……それを……知ってるのですか?……」
動揺が隠せない月乃。
「さっきたまたま、みくのスマホの通知が見えたんだよ……」
「なんで見えたんですか?」
「知らねーよ。俺だって見たくなかったよ」
世の中には知らないほうが良いことなんて、人の数ほどある。
「なんかそれについて教えてくれ……みくに言ってたら黙って帰ったんだよ……」
「それは……その通りですね。この中までは貴方は知らないほうが絶対に良いです」
「そんなのいいんだよ! 見せてくれ」
「本当にいいんですか? 見るのは構いませんが、貴方が明日から学校に行けるか……いえ、生きていけるかは保証できませんよ?」
「そんな……酷いものなのか……?」
「それでも……見ますか? ……『女子の本性』……」
「ぐっ…………」
楓真は引き下がる。
「…………」
「…………」
しばらく沈黙が2人を襲う。
「月乃ちゃーん! ちょっとこっちまで来てくれる?」
紗矢さんが店の奥から月乃を呼ぶ。
「紗矢さんが呼んでいます。私はもう行きます」
「…………」
「あと……言うのを忘れていましたが……あのグループを立ち上げたのは…………」
「……一条さんです」
「……ッ!? みくが……?」
そう言うと月乃は店の奥へと戻っていった。
「…………」
楓真は何も考えられなくなった。
(みくが…………そんな……)
楓真は冷めきって冷たくなったオムレツを、もう一度食べ始めた。
冷たいオムレツが、楓真の心をさらに冷やした。
そんな楓真から涙がこぼれた。
(…………みく………………どうして……?)
続く
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次話投稿は明日です。




