手紙の国 後編
こんばんは、ぺんぎんです。手紙の国後編です。
最後あたり蛇足かもしれませんが、楽しんでいただけたら幸いです。
燃えていく。
炎に包まれ、炭へとなって舞い上がっていくのは、死者に向けた手紙の数々。
――今日は月に一度。生者が死者にあてた手紙を郵送する日。
少女は手紙を数行だけ綴り、封筒の中に丁寧に入れた。
そして、『友達』に送られた沢山の手紙。
それらを大きな、簡素な封筒に入れて、厳重に紐で結んでいた。
数行の手紙と、分厚い封筒を手に、少女は炎の中に放り込んだ。
その様子を、僕はずっと見守っていた。
あの日から、手紙のやり取りを通して、僕らは交流を深めていった。
―― 一緒に来てほしい。
そう頼まれて、僕は少女の姿をじっと見つめていた。
燃えていく手紙は大勢の人の思いを乗せて、空へと炭となって死者へと届けていく。
少女が『友達』に宛てた手紙と一緒に。
あの日、苦しんでいた表情はなく、少女の横顔は穏やかに見えた。
「――届くかな」
ふと漏れた少女の言葉。
「届くといいな」
誰に言うでもない思いに、僕は空を見上げながら、
「届くよ」
「……」
「届くと思うよ」
少女はただ静かに頷いて、僕の隣でじっと空を見上げていた。
* * *
――届いた手紙は、『私』が書いたはずの手紙とワンセット。
どうやたら送り返されてしまったらしい。
それだけのことをした自覚はあるから、何も言えない。
送った手紙は、ただの自己満足で。
許してほしい。そんな言葉の代わりにしたためた手紙。
どこかで『彼女』なら分かってくれると思っていた自分がいた。
結果、これである。
だから、怖かった。『彼女』がくれた手紙の中。
どんなことが書かれているのか。
罵倒か、恨みつらみか。
だけど読めないといけない気がして。
恐る恐る手紙を読む。
そして、数行の文章がしたためられた。
――私はあなたの神様じゃない。
――責任も負えない。
――許したいとも思えない。
――だけど、どうか、
――お元気で。
それだけの手紙。
決して許しの言葉じゃないけれど。
「――届いてよかった」
自然とそんな言葉が零れ落ちていた。(了)
前編で『僕』が『死んだあとじゃないと――』とか言っていますが。
個人的には生きているうちに大切な人には、大切な思いや言葉を伝えていきたいなと思っています。
それでは失礼いたします。




