桃太郎考察(最強老夫婦編)
まずは最初に登場する人物のひとり、【お爺さん】について考察していきたい。
山へ柴刈りへ行ったお爺さんだが、高齢者にも関わらず柴刈りという重労働に耐えられる仕事をこなしている。
しかも、他に仕事をしているという描写はどこにもない。
つまり、柴刈りのみで生計を立てている(職業木こり)ということになる。
という事は、別で何らかの運用資産や貯蓄がない場合、老夫婦が暮らせるだけの柴を毎日刈り、それを物々交換なり販売なりして生活必需品を手に入れていたことになる。
後に鬼退治から帰ってきた桃太郎が連れてきた犬、猿、雉が追い出されず同居していることからも、経済状況は結構余裕があることが分かる。
お婆さんが拾った、赤ん坊が入っているほど大きな桃は、普通の包丁(おそらく菜切り包丁)で切るにはいささか小さすぎる。
にも関わらず、その包丁で中にいる桃太郎は切らず桃の身と種を一刀両断している。
このことから、お爺さんは刃物の扱いが異常に上手いと推測される。
柴刈りが生計の主な収入源である老夫婦宅に、桃太郎の持っていた刀と一張羅が何故かある。
これはおそらく、お爺さんが過去に使っていた商売道具であろう。
鬼を倒す程の実力がある桃太郎の刀さばき。
これは、自己流では到底手に入れることの出来ない技術。
なのに、桃太郎は鬼との対峙の実演経験がないにも関わらず、初戦で大量の鬼の討伐に成功している。
桃太郎は誰からその剣術を師事されたのか、作中では表記されていない。
…お爺さんだ。
ただの木こりとは思えないほどの刃物の扱い、桃太郎が着ていた一張羅と刀が、その証拠となっている。
また、鬼を倒せる程の実力を持った家来を、初見で見極める力はどこで鍛えたのか。
これもまた、お爺さんが桃太郎に伝授しているのだろう。
以上のことから、おじいさんは昔とてつもなく強い侍だったと推測される。
桃太郎が『日本一』の旗を持っていたことが、お爺さんが国内最強の大剣豪だった証拠にもなる。
続いて、桃太郎の登場人物で最も重要な人物【お婆さん】について考察していく。
お婆さんは川で洗濯をしていた際、川上から流れてきた大きな桃に出会った。
では、その大きな桃はどうやって家まで持って帰ったのだろう。
自宅に帰ったお爺さんが桃の大きさに驚いていたことから、お爺さんを呼んで持って帰ってもらった可能性は消える。
つまり、お婆さんはひとりで巨大な桃を持って帰ったことになる。
そして、川へ来るきっかけとなった洗濯物。
この洗濯物を放置したまま、桃だけを持って帰ったとなると、衣類の盗難の危険がある。
だからといって洗濯物を先に持って帰ったとすれば、大きく目立ち、衣類より珍しく価値のありそうな桃だ、そちらの方が盗まれる可能性が圧倒的に高くなる。
結果、洗濯を終え水を含んだ重たい洗濯物の入った桶と、赤ん坊が入っているほど大きな桃を一度に持って帰るしかない。
そしてお婆さんはそれを成し遂げた。
前述したように、いくらおじいさんが元侍だといっても、老夫婦の自給自足で、尚且つ引退した老人に柴刈りという重労働をさせるだけの体力を保つには、それ相応の体調管理と運動、食事が必要だ。
お爺さんがいつまでも若者のような元気さを維持することのできる食事は、一体誰が作ったのか。
お婆さんしかいない。
上記にあるように、赤子が丸々入った大きな桃と濡れた洗濯物を担ぎ持ち帰るだけの筋力もある、もしかすると運動の方もマネージメントしていた可能性がある。
また、その食事は桃太郎を赤子から大人へ急成長させる事が可能。
更に、野生の犬、猿、雉が鬼を倒せるほどの力を付けさせたきびだんごまで作っている。
ただの『元気の出る食事』という枠で収まりきらない。
お爺さんが侍を引退した後の刀と一張羅は、桃太郎と出会い、育ち、鬼退治に行くまで、微塵も劣化させることなく長期保管されていた。
この一張羅と刀を、一体誰が保管していたのか。
お婆さんしかいない。
刀はワンチャンお爺さんの可能性もあるが、川で洗濯していたのがお婆さんだったことから、衣類の管理はお婆さんに任せられていることが分かる。
総合して、お爺さんに負けず劣らずの筋力、体力を持ち、飲食者の能力を向上させる食事を作る事が出来、家財の品質管理も出来る事から、お婆さんはそんじょそこらの老婆ではない。
この老夫婦宅、桃太郎が桃から流れてきて鬼ヶ島に行くまでに鬼に襲われた描写がない。
また、桃太郎が鬼退治へ行くと言った時、止める素振りを見せず、用意周到に率先して送り出している。
この事から、過去にお爺さんとお婆さんで一度鬼を懲らしめたことがある可能性がある。
自分たちで鬼退治出来たのだから、自分たちが育てた子が鬼を退治出来ないわけがない、という自信の表れであろう。
桃太郎は生まれた瞬間から鬼退治をする運命だったのだ。
お爺さんの一張羅と刀が保管されていたことから、もしかすると、桃の流れるタイミングが悪ければ、お爺さんとお婆さんは自分たちでもう一度鬼ヶ島へ殴り込みに行っていたかもしれない。




