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DAY30(日)10月29日

DAY30(日)10月29日


今日は曇り空で、まるで気分を表しているかのような日だった。


今日もまずなにか連絡が入っていないかを確認したら、サユカとトモミから連絡が入っており、まずサユカからの連絡を見てみたら、どうしたらドリームエッグで服装が変わるのかを聞かれたため、それに対して答えてからトモミの連絡を見る。


そうしたら、今日こちらに来たいとのことだったため、それにOKを出して迎え入れる用意を急いで整える、応接間なんてものを自宅に用意していなかったため、人に見られるような部屋がないのだ。


そんなことをしていたら、トモミがやってきて、インターフォンがなったから、迎え入れる、その時の音声がワンダーエッグに残っていたため記しておく。


「いらっしゃい、どうしたんだいトモミ。」


「こんにちはハラさん、少し、相談があって……。」


そのトモミの声は固く、思い詰めているのが分かった。


「相談て、なんだい?」


玄関で対峙している状態で、そう聞くと、ぼそぼそと聞き取り辛い声でトモミは話す。


「ハラさんのところに住まわせてもらえるかもしれないけれど、それでも、不安で。」


その顔は青ざめており、生気がなかったから、家に上げることにした。


「玄関ではなんだから、上がって、これからは自宅になるかもしれないから気にせずにね。」


一応気を利かせた感じなことを言いたかったが、結局それは失敗に終わった気がした、トモミの顔は暗いままだ。


「おじゃまします。」


そういって上がってきたトモミに何か飲むかを聞いたら、何でもいいと言ったため、特製ココアを出すことにする。


「少し待っていて、その間うちの子たちと戯れているといい。」


そう言って、部屋にトモミの事を通した後に、部屋の外で威嚇していた子たちに向かって指示を出し、比較的友好的なものをトモミの近くに行かせている間にココアを作る。


出来上がったココアと自分用のインスタントコーヒーをもってトモミがいるダイニングに行くと、トモミが泣いていて、不思議そうな顔で人型のワンダーエッグのリオンとドリームエッグのイルルが見ていた。


「これ飲んで、落ち着いたらでいいから、来た理由を聞かせてごらん。」


ほぼホットチョコレートなココアをトモミに差し出して、向かいに座る。


「ありがとうございます、いただきます。」


そういってトモミが一口飲んで一言「おいしい」というのに、私はよかったとだけ言って、その後は何を言えばいいのかわからず、相手から話始めるまでそのまましばらく静かな時を過ごした。


「わたし、すてられるんですか?」


そんな話だとは思っていたが、話が重い、そうだとも違うとも言えずに、「さぁ、どうなんだろうね。」とだけ言って、そのまままた沈黙が辺りを包んだ。


「ハラさんは大家族なんですか?」


周りを見たトモミがそう聞いてきたから、少し困ってしまう、こいつらは研究対象だからだ。


「大家族、確かに大家族なのかもしれないが、全てワンダーエッグとドリームエッグだ、本当の人間じゃないから、気休めにしかならないよ。」


そう言いながら私がコーヒーを飲むと、膝の上にオオカミのような姿のワンダー一号が頭を乗せに来る。


「この子だって、ワンダーエッグで名前はワンダー一号、普段は一号って呼んでるね。」


言いながら撫でると、一号は目を閉じてそのままになっている。


「わたし、邪魔になりませんか?」


トモミの顔は沈んでいる、そこで、ここ最近思っていたことを言う。


「丁度助手が欲しいと思っていたんだよ、ついこの間話しただろう?トモミは丁度いいと思うけどね。」


「ちょうどいい?」


私の丁度いい発言に、不思議そうに首を傾げるトモミを見ながら頷く。


「あぁ、トモミは私に向かって助手になりたいと前に言っていたじゃないか。」


そういうと、トモミは顔を下にして、ぼそぼそと聞き取りづらく話す。


「だけど、親から勘当されるとは思ってなかった。」


トモミは顔を曇らせていたが、それでも無理やりな希望を伝える。


「おまけに、トモミは家から家出したかったんじゃないのかい?」


私が言うと、涙を流しながらトモミは胸の内を話してくれた。


「お母さんに気にしてほしかった、それが本当、テストでいい点とっても、いじめられても無関心でコタロウさんとお腹の中の赤ちゃんばかりに気が行ってて、私なんていらない存在なんだって、そう思ったら、もう家から出たくなって、それで。」


言いながらトモミはズビズビと鼻を鳴らしていたから、席をたってティッシュとゴミ箱を取りに行く、その間もリオンは頭を撫で、イルルは手を握っていた。


「ほら、これで鼻をかみな。」


言いながらティッシュを渡すが、手に取らないから、3枚取り出して渡してやり、ゴミ箱を近くにおいてやる。


「それで、ハラさんと暮らせって、それで、今日は話をして来いって言われてきたけど、正直辛い、どこにも居場所がないのがつらい。」


鼻をかんだトモミはゴミ箱にゴミをシュートさせた。


「なら、私の家で一緒に卵の世話をしてくれないか?」


そういうが、トモミには何も聞こえていないらしい、自己否定が酷いようだ、仕方ないから暫く泣かせてやることにする、そうしていたら、トモミはココアを飲み終えたらしい、中身がなくなっていた。


「ほら、もう一杯飲むか?」


自分のコーヒーもおかわりしに行くかと思いながらそう聞くが、トモミは首を横に振るため、自分のコーヒーを飲み干して新しく淹れに行こうというのが阻止された。


「一人で泣きたかったら言ってくれ、ただし、リオンとイルル、一号とどうやらアインスは一緒に居たいみたいだけどね。」


自分の分を飲み干してしまって入れに行くための口実を作るためにそう言うと、トモミは黙ったまま頷いた。


トモミからマグカップを受け取り、自分のカップと共に持っていく、後ろからはすすり泣く声と共に慰めだと思われる声が聞こえてきた。


それを放置して新しいコーヒーと特性ココアを淹れてから戻ると、白狐であるアインスを右太ももに、青いオオカミである一号を左太ももに侍らせて、横に座った美少年と眼鏡をかけた少年の二人によしよしされるトモミがそこにはいた。


「落ち着いたかな?」


言いながらトモミの前にココアを置いてあげると、多少泣き止んだトモミが首を下げてきた。


「はい、ありがとうございます。」


言いながらまたココアを飲むトモミ、それを見届けてから私も追加のコーヒーを飲む。


「もしも、ここで助手として暮らすとした場合の話をしても?」


聞くと、トモミが頷いたから、一日の事を話す、まぁ、一言でいえば動物の世話なんだけど。


「基本的な私のルーティーンを基本とするけれども、まず、朝起きたら合言葉を言って卵を起こす、これは私がやるから気にしなくていい、そのあとに食事をさせるんだけど、その時の食事の料理を手伝ってほしいんだ。」


「料理ですか?」


一応泣き止んだトモミがこちらを見る。


「そう、簡単なものでいい、スクランブルエッグとか、レタスちぎっただけのサラダとか、こいつらは後々に人型になる奴らだから、ドックフードとか、キャットフードとか、その辺りはちょっとね、まぁ、鳥の餌はいいけど、なんか与え辛くってな。」


「なるほど。」


トモミが頷くから続きを話す。


「そのあとに訓練を施すが、その間トモミは好きなことをしていていい、勉強でも遊んでも、何しても、当然学校に行ってもいい、ファッション雑誌はその辺に沢山転がっているから好きなものを見るといい。」


ファッション雑誌のところで、トモミが少しだけ興味を示したのがわかる。


「そうですか?わかりました。」


ファッション雑誌という言葉に反応するトモミが、自分がどのような待遇で迎え入れられるのかが気になったらしい。


「次に昼食を作る、これも私が忙しい時に料理をしてほしい、ただ基本的に私が料理するから、あまり気にしなくていい、学校に行っているときも私がやるから、その辺りも大丈夫だ。」


「そうですか。」


言葉はそっけないが、興味はあるらしい、少しだけ悲痛な感じが薄らいでいる。


「そのあとにまた訓練を施すんだが、その時にはトモミに多少手伝ってもらうこともあるかもしれない。」


それに、トモミが気を引き締めたかのような顔をする。


「どんなことですか?」


その顔を見て、ニヤリと笑ってしまう、あまりに本気で取り掛かろうという気概があふれていて、それだと持たないぞー、と心の中で笑う。


「あんまり気負わなくていいんだけど、変身練習に付き合ってほしいんだ。」


「変身練習?」


どんな事をするのかよくわからないといった具合のトモミに説明する。


「言ってしまえば、仮登録をした卵に対して、合言葉を言ってワンダーエッグやドリームエッグが変身するのを見届けてほしいんだ、トモミにも一体ドリームエッグを渡しただろう?」


そう言うと、トモミはうなずいた。


「まだ返してもらっていませんが、そうですね。」


何を言いたいのかわからない、顔がそう言っているから、説明をする。


「その子に洋服の情報をインプットしてアウトプットするのと同時に、私の卵の情報も修正してほしいんだ。」


軽い説明でも緊張した顔をするトモミ、そこまで難しいことは言っていないと思うんだが。


「例えば、どんなふうにやるんですか?」


どんな風に……、それを今説明するのは難しいため、少し黙った後に、とりあえず後回しにする。


「その時になったら説明するけれども、簡単に言えば指示するだけでいいかな、奇妙な部分をもって引っ張ったりしてさ。」


そういうと、トモミが真剣な顔でうなずいた。


「そんな感じに基本的にドリームエッグの世話をしてほしいんだ、そして、そのあとは夜ご飯だ、これも私がやるようになるべくするけれど、トモミも手伝えたらでいいから手伝ってほしい、そのあとは自由時間だからさ、これが一日のルーティーンだね。」


そこまで言って何か疑問があるかを目線だけで聞こうとしたが、トモミは少し考えた後に頷き、そのまま泣き止んだ。


「私のことを使い倒してやろうとかはありますか?」


それに返答を困らせるが、頷きつつ答える。


「使い倒すまではいかないけれども、手伝える範囲の世話はさせようとは思う、学業や遊びなんかは自由にしてもらって構わないが、如何せん量が量だ、一人だとしんどくてね、それに。」


そこで言葉を切って、少しトモミの目をじっと見てから言う。


「トモミも簡単な世話くらいは、してみたいんじゃないのか?」


少し考える時間はあったみたいだが、トモミは深く頷いた。


「動物が好きなので、それはそうですね。」


「うちの卵は世話をせずともしばらくは稼働できるから、あまり深く考えなくていい、その内私のことを手伝えるくらいになってくれればそれでいいから。」


それにトモミがふと不思議そうな顔をした。


「そういえば、ハラさんの職業ってなんですか?」


それに素直にワンダーエッグやドリームエッグを研究している研究者だと言おうかとも思ったが、大っぴらには言えないため、考えてあったことを伝える。


「フリーランスのIT系の職業とでも言っておこうかな。」


「なんかすごそうですね。」


「まぁね。」


一応系統的には間違いではない。


「在宅勤務だから外に出ることが少なくてね、それで色々と趣味でこいつらの世話をしているんだよ。」


そんな建前で話すと、トモミが首を傾げる。


「だったら、どうして卵をばらまいたんですか?」


それに一瞬言葉に詰まるが、事前に考えていた言い訳を言う。


「そうだね、あえて言うなら情報を共有したかったってところかな、同担歓迎だから。」


「なるほど。」


本当は実験結果を組織に流してその情報の対価としてお金を得ているのだ、ワンダーエッグもドリームエッグもどちらもデータを吸い出しできる機構などが付いており、そこからデータを吸い出したり色々なメンテナンスなんかを行うことができる、ちなみに発信機にはデータを吸い出しできる装置が付いており、それで吸い出したデータで研究できるという風になっている。


データを入れるのは基本的に物理にはなるけれども、それでもデータ化できるのはうれしい。


「とりあえず、そんな感じなことはわかりました。」


「あとは、私の家に来た時にでも説明しよう、それでいいよね。」


そういうと、トモミはうなずいた。


「一日のルーティーンはわかりました。」


そういうトモミにふと思ったことを聞く。


「それで、相談ってなんだい?」


聞くと、トモミは言いづらそうに口ごもった後に答えてきた。


「色々と考えもしていたのですが、それはもういいです。


あえて言うなら……もし、私の事をこの家に住まわせることになったら、どこでもいいので部屋を貰えないかなって、無理ならいいんです。」


そんなことか、思わずそう思い口元がにやける。


「トモミ、そんなこと考えていたのか。」


「なんで笑ってるんですか?」


真剣に言っているのに、という顔をしたトモミのことを少し見た後に、私は立ち上がって扉の元まで行き、トモミのことを呼ぶ、そのあとをトモミが付いてくるから二階に上がるとトモミもためらいながら上がってきた。


「ほら、ここが君の部屋だよ。」


扉の前でそういうと、トモミは驚いた顔をした。


「もう部屋があるんですか?」


「いや、昨日今日だから急には無理だけど、この部屋は倉庫として使っていたからね、片付けた後ならこの部屋全てを自由に使っていい。」


言いつつ扉を開けると、そこには片付け途中でぐちゃぐちゃな部屋があった。


「来週の日曜日までには片付ける予定だから、その際に何か欲しいものはあるか?」


聞くが、頭を横に振るだけで答えない。


「とりあえず、布団はベッドにしようと思うけど、何か好きな色はあるか?」


それにトモミは少し考えた後に一言。


「使っていない寝具でいいです。」


と答えた。


「それじゃ、適当に見繕わせてもらうね。」


「ありがとうございます。」


それだけな話をしてから、一階に戻った。


「ほかになにか相談はあるか?」


コップが置きっぱなしのダイニングに戻り、聞くと首を横に振った。


「そうか。」


「あの、話を聞いていただきありがとうございました。」


お辞儀をしてきたトモミの頭をなでて玄関へ向かう。


「ほとんど、私しか話していない気がするけど、それでもいいならいいや。


それじゃ、部屋の用意が出来たら改めて呼ぶから、その時はよろしくね。」


「はい。」


その顔には緊張や、他にも聞いて欲しそうな顔をしているが、自分から言ってこないことを見ると、それほど大切な事でもないのだろう。


「欲しい物とかがあれば、その都度増やしていくから。」


「はい。」


このように一言しか答えない感じで、目は暗く沈んでいたが、ここから先は自分の問題なのだろう。


「それじゃ、また。」


玄関を出ていくトモミのことを見送り、私がそういうと、トモミもお辞儀をしてきた。


「ありがとうございました。」


扉が閉まると、卵たちが何事だ何事だと出て来る、そんな卵たちを放っておいて食器を洗うためにキッチンに向かう、そのあとは食器を洗った後にインターネット会議に出席をしてから暫く疎かだったばらまいた卵の解析を行う、インターネット会議では私に名指しで最近の進捗なんかが聞かれたが、送りつけた情報が全てだと言っておいた。


今日送り付けた情報は色々なことがもりもりなため情報としては良い感じになっているのではないだろうか、これで手当てが出ればいいが。


ばらまいていた卵の成長の進捗はまだどのような変化を遂げるかはわからないが、ただ言えることがある、絶対にハジメ少年は変なものを与えている、それを聞かねばならぬが、まだその時ではないと思われる。


とりあえずは今日一日の業務を終わらせることに専念した後に食事をすることにする、明日は何もなければ買い出しになるだろう、冷蔵庫を足そうかどうか悩ましいところだな。

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