表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/16

第一章 気づき

第一章 気づき


今から十年前。

愛知県岡崎市。

後に「夜の女王」と呼ばれる神崎麗華は、まだ無名のキャバクラ嬢だった。

毎晩、派手なドレスを着て店に立つ。

だが現実は厳しかった。

指名は月に数本。

フリー客についても次につながらない。

同じ日に入店した新人が次々と売上を伸ばしていく中、麗華だけが取り残されていた。

「私には向いてないのかな……」

何度も辞めようと思った。

生活のために働いていたが、店を変えても状況は変わらない。

岡崎、豊田、豊橋、名古屋。

彼女は様々な店を転々とした。

高級店。

大衆店。

郊外店。

繁華街の人気店。

気がつけば十店舗近くで働いていた。

そんなある日だった。

名古屋・錦のある人気店で働いていた時のこと。

平日の夜にもかかわらず店内は満席だった。

待機席は空。

キャストたちは忙しく席を回っている。

一方で、その数週間前まで働いていた別の店はガラガラだった。

同じキャバクラなのに、なぜこんなに違うのだろう。

麗華は疑問を抱く。

普通なら「立地が良いから」で終わる話だった。

しかし彼女は違った。

客層。

料金。

女の子の年齢。

接客方法。

店内の照明。

BGM。

広告。

イベント。

店長の指示。

来店時間。

彼女はノートを買い、毎日記録を始めた。

繁盛店では何が起きているのか。

不人気店では何が不足しているのか。

暇な時間に観察を続けた。

すると不思議な共通点が見えてきた。

繁盛している店ほど、お客様の情報を細かく共有していた。

好きな酒。

仕事。

誕生日。

会話内容。

前回来店日。

スタッフ全員が把握している。

まるで巨大なデータベースのようだった。

反対に暇な店は違った。

情報は個人任せ。

人気キャストが辞めると顧客も消える。

店全体で顧客を理解していなかった。

「お客様はお酒を飲みに来ているんじゃない。」

麗華はノートに書いた。

「理解されるために来ている。」

その瞬間だった。

彼女の中で何かがつながった。

人の心にも法則がある。

売上にも法則がある。

もしその法則を集めて分析できたらどうなるだろう。

誰でも人気になれる仕組みが作れるのではないか。

その時はまだ知らなかった。

この小さな気づきが、十年後に AI 企業を創業し、日本中の企業が利用するシステムを生み出す原点になることを。

売れないキャバクラ嬢のノートは、静かに未来への第一歩を刻み始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ