第6話―最強の忍 昔の部下と出会う―
――それから二日後
洞窟に向かい歩いていた。
それまでに寄甲虫に襲撃されたりとあったが誰一人欠けることなくここに辿り着いた。
(最低限カルバたちと同じくらい戦えるようになってもらわないとだからなぁ・・そう言うことを教える場を作らないとだな・・)
そんなことを考えていると洞窟に着いたが、洞窟に人影が三つ見える。
「なんだ人間と亜人か?」
「こんな所になんの様だ?」
そう言うと蝙蝠の羽の様な物を背に付けた頭に角の生えたヤツらがこちらを向きながら言った。
そこには捕まっ たであろう金色の髪の長い見た事のある少女の姿があった。
「フェリス・・それは友かなんかか?」
「違うぞ!妾にこんな下品な友はいないわ!おぬしを待ってたら捕まったの!」
そう言いながらフェリスは騒いだ。
「てめぇ!静かにしろ!」
そう言い背に羽の生えた少し身なりの良いヤツがフェリスの頬を叩いた。
フェリスは少し涙ぐんだ。
「おいおい!これから売りに出すんだから傷付けちゃまずいだろ値が下がっちまう」
そう言いながら頬を叩いたヤツの腕を止めた。
「あれ・・魔族じゃないかな・・この嫌な魔力だとここにいる人皆殺しになっちゃうよ・・」
「魔族?よく分からんがどう見ても三下だろ・・」
「師匠・・この馬鹿げた魔力を感じてそれを言うのか?」
「俺は全然感じんが・・まぁ邪悪ってのは分かるが・・」
「それは見た目の話しでしょ・・」
そう話していると向こうは聞こえていたのか睨んできた。
「てめぇ!今俺たちを三下呼ばわりしやがったのか?」
「すまなかった・・四下くらいだったか?」
「てめぇ殺す!」
そう言いながら一人の魔族がこちらに突っ込んできたが、俺は軽く拳を腹部に叩き込むとぶっ飛んだが直ぐに体制を立て直し、口から吐血した。
(なかなか頑丈だな・・少し本気で殴れば殺せそうだがそうしたらこの辺平になるしな・・普通の刀じゃ無意味か・・仕方ない・・)
そう考えていると魔族たちは何やら話しているようだった。
俺はそれを無視して懐に手を入れ柄が赤く柄巻きは黒く鞘は赤色の大太刀を一振り取り出した。
(・・これが出たか・・)
そんなことを考えながら刀を鞘から抜いた、魔族達はそれを見て驚いていた。
俺は烈歩を使い右にいる魔族の懐に入り出した刀で左から右に胴を斬りそのままの勢いで回転し、フェリスを抑えてる魔族の後ろに周り左から右に首を斬り最後の一人には刀を上から下に振り下ろし投げて突き刺した。
三人はそのまま倒れ、霧状に消え始めた。
「な・・なんだこりゃ・・普通の剣じゃ傷一つ付かねぇはず・・」
背中から刀が刺さった魔族が弱々しい声で言った。
「これは俺が持つ忍聖刀の一振り・・魔を祓う水の聖刀・・名を村雨・・御前達で言うところの・・・聖剣と言えばわかるか・・」
そう言いながら刀の刺さった魔族に近ずき刀を抜き取り、鞘に収めた時魔族達の身体は霧散して行き、刀を懐に入れた。
「う・・嘘・・全然見えなかった・・・」
「魔族を移動しただけで簡単に殺した・・」
そうシーシャとカルバが呟くと後ろの人達は騒ぎ始めた。
「手とか差し出してくれないの?」
「・・・何故?」
「何故っていたいけな少女が倒れてたらやるでしょ普通!」
そう言いながら倒れていたフェリスは立ち上がり、顔を赤くしながらブツブツ言っていたが無視していたらシーシャ達がやってきた。
「それでは数日前に話したことだがここで決めてもらおう」
そう話すと結局全員保護下に入り暮らすことになっていた。
俺は印を結び“多重影分身の術”を使い治療をしたり家を作るのを教えたり木を斬ったり木を運んだりシーシャとカルバが俺の教えた事を教えてるところを見たり昼のご飯を作ったり買い出しに行ったりと影分身にやらせた。
「何これ?村でも作る気なの?」
そう横に来たフェリスが声をかけてきた。
「そんなたいしたものでは無い・・そう言えば・・あの魔族が言っていたが亜人とはなんの事だ?」
「おぬし調べたりしなかったの?」
「あぁ・・剣とかそう言うのや刀を作ったりしてあまりそう言うのは調べなかったからな・・」
「なるほどね・・異世界にはないものみたいだし・・亜人とはおぬしが連れてきた人達のように獣の特徴や獣の様な姿の者達ね・・あとは耳が尖っていたり長かったりね・・耳が長いのは耳長族と言う種族で耳の尖っているのがエルフと言われる種族だよ・・」
「だが・・エルフと耳長族は魔力が高く魔法も多く使うと聞いたが?それに獣人は身体能力が高いとか・・」
「そうじゃな・・妾の聞いた話しだけど良いか?」
「あぁ・・」
「獣人や完獣人はおぬしの言う通り魔法は使えなくても高い身体能力があるが当時の人の王は獣人や完獣人に和平として代表のみの会議を申し込んでね・・獣人と完獣人の王は信用して一人で行ったが人の王は兵を率いてたの・・街や村にも兵を送り王を人質にして降伏させ奴隷としたみたいなの・・」
「なるほどな・・じゃぁその人質の王は死んでるな」
「その通りよ・・」
「完獣人とは?」
「完獣人はおぬしが連れてきたものの中にもいるでしょ・・見た目が獣の人達が・・」
「あぁ・・」
納得したように首を軽く縦に振った。
「それで話しを続けるよ・・耳長族とエルフは魔族が奴隷にして売ってるみたい・・確かに魔族から見れば魔力の高いエルフも耳長族も簡単に倒せるからね・・」
「だがどこに売るんだ・・魔族にその手の者を買うそんな者がいるのか?」
「いや・・妾は人間に売っていると聞いたよ・・まぁ人間よりも頑丈だからね・・痛め付けるにせよ犯すに せよ亜人は人間の方が高く売れるって聞いたよ・・」
「だが人間だって魔族に売ってやると言われて信用するのか?・・いや・・そうか・・魔族が人間に化けるのか・・またはそのような魔法があるか・・か・・」
「たぶんだけどね・・」
「魔族は何故亜人のみを襲うんだ?」
「そうね・・基本的には強者を殺すのが目的じゃないかな・・人間よりも亜人のほうが強いからね・・まぁおぬしは例外だけどね・・それに人間も襲われてはいるよ・・さっきの妾の様にね・・」
「そうなのか・・人間を襲って奴隷とかにするのか?」
「いや・・人間は食料みたいな扱いかな・・襲われた村は一人残らずいなかったけど・・奴隷として売られたなんて話しは聞いたことがない」
「なるほど・・」
「教えたんだから妾のものになれ!」
「断る・・そんなこと言った覚えはない・・」
そんな話しをしながら洞窟前の林が村になっていくところを見ていた。
「そう言えばやたらと特別な武器を持ってる口振りだったけどどれだけ持ってるの?」
「御前達で言う魔剣が六振り・・聖剣が五振り・・神器が五振りってところか・・」
「なにそれ!おぬしは兵器かなにか!?」
そう言いフェリスは驚いた顔をしていた。
(何を言っているのかよく分からんが驚かれたようだ・・)
そんなことを思いながらフェリスを見た。
「聖剣なんて大国や首都に一本あるのが普通だよ・・神器に至っては四大国で一本守り神としてあるかだよ・・おぬし一人で軽く五カ(か)国以上できちゃうよ!」
「大国って三つじゃないのか?」
「それはあくまでも武力の高い代表の大国ね・・それに海の向こうにも国はあるからのこの辺だとエルティア以外にもあるよ」
「そうなのか・・」
そんな話しをしていると昼になっていた。
(※1.午の刻か・・そろそろ休憩するか・・)
そう考え影分身を解き洞窟の下に降りた。
※1.午の刻:午前11時から午後1時頃
「そろそろ休憩にしよう」
「ですがまだ家が作り終わってません」
「それはあとだ・・身体が第一だ・・みんな飯をしっかり食べろ・・」
皆に昼ご飯を振舞い、皆は涙ながらに食事を始めた。
「これはどういうことなんだ?」
そう近くにいた人に尋ねた、それは前に骨折の治療をした御老人の息子だった。
「あ・・えっと・・すみません・・こんなに落ち着いてまともな温かい飯を食うのは奴隷になってから初めてで・・」
「そうか・・ゆっくり食せ・・」
そう話し、その場を離れた。
(奴隷の時はまともな物食べてなかったんだな・・)
そんなことを考えながら周りを見渡した。
(こっちに来たのは俺だけなのか?探せば居そうなものだが・・まぁ甲賀や伊賀の者なら良いが・・他のやつだと確実に殺し合いで王国の一つや二つ滅ぼしかねんからな・・)
そんなことを考えていた時だった。
銃声が轟くと左側の目の端で後ろから前に動く金属の玉をとらえた。
(なんだ・・全然気配がなかったな・・かなりの距離から正確に狙ったのか・・)
そう考えていると正面から盗賊のような者達が突っ込んできた。
光速で印を結んだ。
“灰炎滅却の術”
“灰炎滅却の術”は口から噴き出した炎を広範囲に広げ、焼き尽くす、威力もさ ることながら効果範囲が非常に広い。
前にいる大勢の盗賊と森は燃え盗賊共の叫び声や呻き声や悲鳴などが聞こえ俺はそれを見て軽く笑った。
洞窟のある方から小さい足音がし、俺はそちらに身体を向けると同じ忍び装束の人が俺の前に着地し跪いた。
「お久しぶりでございます・・藤林陽天様」
「御前は・・城戸音羽か・・」
「はっ!こ・・・この様な場所でお会い出来るとは思いませんでした」
「それでさっきの盗賊共は御前が?」
そう聞くと音羽は少し身体が緊張した。
「も・・も・・申し訳ございません・・現在盗賊の頭をやらされておりまして・・ま・・まま・・まさか陽天様とはつゆ知らず・・」
「別に構わん・・伊賀国の忍は金さえ貰えば同門だろうと戦う忍・・そんなことで怒りはしない・・」
「はっ!」
そんなことを話しているとシーシャとカルバがやって来た。
「師匠!なに!そのちっこいの!」
「お師匠と同じ服だけど」
そう言った瞬間、音羽はカルバとシーシャの後ろに周り、首に刀を付け小さい声で聞き取れなかったがカルバとシーシャはなにやら青ざめていた。
「そいつは城戸音羽だ・・俺と同じ伊賀国の忍でそう見えても中忍で俺の直属の部下だ・・」
そう話すと音羽は二人を解放し、刀を収め軽くお辞儀をした。
(なにやら物凄い形相で二人の後ろを取ったが・・見なかったことにしよう・・・まさか今からだいたい五年前に※2.斬首されたって聞いたやつがこっちにいるとは少し驚いたな・・)
そんなことを考えながら音羽を見ていた。
※2.斬首:首を斬られること。
(ちょうど良いな・・こいつらに音羽が教えてくれると有難いが・・)
そう考えていると音羽はこちらを見ていた。
「確かにぼくで良ければ教えますがぼくが教えられるのは※3.女忍の術ですから男忍特有の戦い方は教えられません」
そう音羽は答えた。
※3.女忍:くノ一のこと、くノ一は1960年から広まった言葉でその前は女忍と呼ばれていた。
(流石だな・・城戸一族の読心術か・・なら女忍の育成は下忍のシーシャに補助して貰い音羽に担当して貰い・・男の方は下忍のカルバに補助を頼み俺がやるか・・)
そう考えると音羽は同意するように首を縦に軽く振った。
(それでは説明は任せた・・)
そう考えると音羽は了承したように首を縦に軽く振りシーシャとカルバと話し始めたが、二人は怯えながらも驚いているようだった。
(城戸音羽は俺の使えない術だと読心術と狙撃術と籠絡系の忍術が得意だったな・・ここで合流出来たのは運が良かった・・)
そんなことを考えていたが音羽はカルバやシーシャに説明していて気がついていなかった。
俺は少し離れ印を結んだ。
“忍法 多重影分身の術”
(こんなものか・・)
分身を二百人くらいにし、それぞれ役割を与え散らした。
「そう言えば藤林様・・覆面はどうなされたのですか?」
「ここには忍が少ないからな・・顔を見られても問題はないからな・・それにこっちのほうが術が扱いやすい・・」
「そうですね・・火遁とか覆面のままだと術者が燃えますからね・・」
「そういう事だ・・」
そう音羽の後ろからの問いかけに答えた。
「それでは任に着きます」
「任せた・・」
「御意っ!」
そう言い残し音羽は移動して行った。
(さてと・・俺はどうするかな・・)
そんなことを考えながら洞窟の方に向かった。
(五十人は変化して買い出し・・もう五十人は刀や装束とかの製造を行い百人は家とかを建設させてるからな・・)
そんなことを考えていると洞窟に着いており、そのまま中へ入り金貨のある所を見た。
(そろそろ調達すべきか?)
そう考えながら金貨の山を見た。
(調達ってどうすれば良いか・・盗賊を殲滅して頂くか・・貴族とやらを殲滅して頂くか・・やり方は色々あるが・・そうすると獲物がいなくなっても困るしな・・どうしたものかな・・まぁ貴族とやらと盗賊を絶滅させてから考えても構わないが・・)
そう考えながら不敵な笑みを浮かべていた。
1月ですね、明けましておめでとうございます。
皆様は正月どうお過ごしでしょうか。
ではでは次回にも新キャラが登場しますが
正直このキャラはノリでいつの間にか出てしまったので
設定とか考えてなかったのでアドリブキャラで焦りました。
メッセージなど待っていますので気軽にお願いします