第4話―最強の忍 弟子を試す―
今回はなんとか1週間で更新できました。
―――それから三年の月日が過ぎた。
シーシャとカルバを呼んだ。
「なんだよ師匠!また皇女様でも来たのか?」
「どうしたの?」
二人はそう言いながらこちらに近ずいてきた。
「この三年よく耐えたな・・・皇女はこの三年毎日来てたがな・・・」
そう言い忍び装束と短刀と手裏剣とクナイや忍びの出需品を二人に手渡した。
「もしかして免許皆伝か!」
「いや・・・御前たちはまだ下忍でもない・・これから下忍昇格試験として街に入り騎士団入団試験とやらに臨んでもらいその結果次第で下忍になれる」
「マジでか!?」
「わたし達かなり強くなったと思ってたけど」
「俺の里では忍びじゃなくとも御前らくらいは強いからな」
「嘘だろ・・」
カルバはその場で膝を地に着つけた、シーシャが励ましそのままその場を離れ渡した衣服や武器を纏って戻って来た。
「なかなか様になっているな」
シーシャとカルバを見ながら言った。
「これって師匠の背中にあるのと同じだよね?」
「そう言えばこれって剣とは違うの?」
「ああ・・それは刀と言ってな剣とは違う物だ・・剣はすぐに刃こぼれや血のりで斬れなくなるからなそうなればただの鉄の塊だからな・・あとは撲るしか出来なくなるが刀は違う・・刃こぼれ自体そう簡単にはしないからな血のりが付いてもまず斬れなくなるってことがほぼないものだからな・・作り方もまるで違う・・・剣は型と呼ばれる物に溶かした鉄を流し込んだ物だが刀はまず※1.卸し鉄・・※2.水挫し・・※3.小割り・・※4.詰み重ね・・※5.詰み沸かし・・※6.鍛錬・・※7.下鍛え・・※8.折り返し・・※9.上げ鍛え・・※10.芯鉄を鍛える・・※11.造り込み・・※12.素延べ・・※13.火造り・・※14.切先つくり・・※15.焼き入れ・・※16.合い取り・・※17.鍛冶研ぎ・・※18.茎仕立てと銘切りを経て作るからなシーシャの刀には水遁と風遁の印を刻んでカルバの刀には火遁と風遁の印を刻んであるからチャクラを練れば使えるようにしてある・・・」
「そうなんだ」
「わかんねぇけどすげぇ手間がかかってるな」
「装束のほうも俺と同じ物にしておいた」
そう言い使い方を一つ一つ教えて言った。
※1.卸し鉄:鉄を粉状にする工程。
※2.水挫し:卸し鉄で作った粉を塊にし薄く打ち延ばす工程。
※3.小割り:2.水挫しで延ばした鉄を割ってきれいに割れたものときれいに割れなかったものと分ける工程。
※4.詰み重ね:小割りで選別した鋼をテコ台に隙間なく積み重ねていく工程。
※5.詰み沸かし:詰み重ねで重ねたものを水で濡らした和紙でテコ台ごと包み、ワラ灰をまぶし、泥汁を満遍なくかけ、火床へ入れ。和紙でくるむのは積んだ鋼を崩さないように、泥汁をかけるのは芯まで沸かすため、ワラ灰は鋼と空気を遮断して、鋼が燃えないようにするのに使う工程。
※6.鍛錬:詰み沸かしでできた鋼を鍛える工程下鍛えと折り返しと上げ鍛えがある。
※7.下鍛え:鍛錬の前半の工程。積み沸かしでまとめた鋼を火床で熱し、金床に乗せて打ち伸ばし、真ん中に鏨を入れて二つに折り返し、向こう鎚に合図を出しながら打つ工程。
※8.折り返し:下鍛えでできた鋼を折り返す工程。
※9.上げ鍛え:鍛錬の後半の作業です。下鍛えが終了した玉鋼や卸し鉄など、生まれや炭素量などが異なる材料を組み合わせて皮鉄としてまとめていく工程。
※10.芯鉄を鍛える:炭素量の少なく柔らかい鉄を芯鉄とし炭素量が少し多くて硬い皮鉄で包む工程。
※11.造り込み:刀の特徴を表す言葉として「折れず、曲がらず、よく切れる」と言う表現があり。しかしこれには矛盾があり。つまり「折れない」ということは、ゴムのように粘りがあり柔らかいということで、「曲がらず」ということはまさに鉄のように硬いということだからです。柔らかくもあり硬くもある、そんな矛盾を解決するのが造り込みの工程。
※12.素延べ:刀の反り以外の姿と寸法を決めていく工程忍刀はまっすぐにし、直刀にする。
※13.火造り:これまでは向こう鎚の補助がありましたが、ここからは刀工一人で作業を行います。小鎚を使って刃側を薄く打ち出し、棟側も少し薄く打ち出し、鎬筋を立て刀の形を仕上げていく工程。
※14.切先つくり:切先を作るのに先を斜めに切り落とす。ただ、斜めに切った方が刃側になるのではなく、棟側を切り落とす工程。
※15.焼き入れ:刃に焼きを入れる作業に入る。これまで苦労して鍛え上げてきた地鉄に命を吹き込む工程。焼き入れする場合、刀身に焼刃土を塗る。
※16.合い取り:焼き戻しで、刀を火から離してゆっくり時間をかけて140~150度に熱する工程。こうすると焼き入れの際の急激な温度変化で科学変化しきれなかった部分を、安定化させることができ、粘りが出て腰が強くなり刃こぼれも防げるようにする工程。
※17.鍛冶研ぎ:焼き入れが終わり、反りや曲がりを修正した後、刀匠自らが行う研ぎの工程。
※18.茎仕立てと銘切り:茎に鑢をかけ、銘を切る工程この時に本格的な研ぎと鞘や柄などを作り組み合わせる、その時に印を刻む。
「ありがとう」
「それじゃもらっとくよ」
そう二人が言い、俺は立ち上がった。
「よし・・まずは変化で姿を変えろ・・刀の姿も剣に変えろよ変に勘ぐられたくないからな」
「わかった」
「はい」
「試験は王都エルティアの騎士団入団試験で行う」
そう話し、印を結んだ。
“忍法 変化の術”
俺とシーシャとカルバはそれぞれ姿を変えた。ロングヘアの白い髪の青い瞳でスラリと背が高く白いロングローブを纏っている女子がシーシャが変化した姿。
短髪の赤髪で赤い瞳で筋肉質な体づきの赤い鎧に同じ色のマントを羽織った男子がカルバが変化した姿。
黒髪の少し長めのショートカットの黒い瞳で自分よりも高めの身長の普通の体型の安っぽいメイルの男子が俺だ。
「それじゃここからはそれぞれの名は勝手に名乗れ周りはそれに合わせることそれから試験中は刀とかの忍術以外の使用と変化を解くことを禁ずる・・」
「はい」
「わかったけど・・なんで忍術は使っちゃいけないんだ?」
「まずは変化を維持しているだけでもチャクラを使う・・その状態での戦闘では移動とかでもチャクラを要所要所で使うからな・・それに御前ら光速印とかまだ出来ないからな魔法と勘違いさせられない・・まぁ刀や装束の忍術ならさっき教えた通りチャクラを流せば使えるから使っても良いがな」
「なるほど」
カルバは納得したように声を出した。
「それでは行くぞ・・」
「はい」
「わかった」
そう話し、洞窟を出た、烈歩を使い走った。
烈歩とは忍びの歩法の一つでチャクラを足裏に溜め地を蹴る瞬間に溜めたチャクラで地を弾き速度を増す歩法でチャクラが高いほど速さは増していく、侍はこの歩法を縮地と呼んでいる。
大分進み、少し後ろを見た。そこにはシーシャとカルバが付いてきていた。
(この距離でこの速度についてこれるようになったか)
それを見て感心したとき前のほうにでかい何かが進行方向にいた。
(大体※19.三丈くらいの・・あれは・・百足・・か?)
そこにはとてもでかい百足が人間を襲っていた。
※19.三丈:約9m
「シーシャ・・カルバあれは邪魔だ斬るぞ」
「わかった」
「はい」
そう話し、剣の姿になっている刀を抜いた。目の前の百足をすれ違いざまに斬りそのまま通り過ぎた。それを見ていた人々(びと)は唖然とした表情を浮かべていた。
「あれはなんだ」
「あれは寄甲虫って生き物だよ」
「世界の厄介者ってやつだよ人間もそうだけど動物も襲って食べるからさ」
「なら騎士団はそれを討伐するためのものか」
そう話しながら走っていた。
―――王都 エルティア門の前
シーシャとカルバは息を切らしていた。
(やれやれ・・まだまだだな)
そう思いながら二人を見ていた。
「さすが師匠息一つ乱れてねぇ」
「さすがとしか言えないよね」
そう言いながら二人は息を整えながら言った。
「※20.うつけたことを言ってないで・・さっさと受付とやらに行くぞ」
そう話し三人で受付を探し列に並んだ。
※20.うつけた=バカな
「結構長いな・・三十はいるのか・・」
そこには並んでいる列の他にも四列あり、他のところも同じ位の人数は並んでいた。受付の後ろにはドーム状のコロシアムがある。
それから時間が流れ、自分達の順番が来た。
「次の方どうぞ」
そう言われたので受付の前に立った。
「それではここに記入をお願いします」
そう言われ用紙を手に取ったが文字が読めなかったので受付にいる人に一つ一つ聞きながら書いた。記入項目は三項目でどんな武器を使うかと血液型と死亡しても一切王都側には責任は持たず、全て自己責任である事への署名だった。
(これで良いな・・)
そう思い書き終わった用紙を渡した。
「それではこれからはこちらの4752番とお呼びしますのでお忘れにならないようにお願いします」
そう話され番号の書かれた札を渡され、それを受け取り列から外れた。
少し歩くとすれ違いざまに肩をぶつけて来た奴がいた。
「イッテェな!コラちょっと待てや!」
「あぁ!なんだよコイツ俺たちと同じで騎士団の入団試験に受けるみてぇだぜ」
「辞めとけ辞めとけ!俺様達貴族と違ってそんな貧相な鎧擬きしか持てない平民じゃやるだけ無駄ってもんだ」
「そうか」
そう言った後、その二人は笑いながら歩いていった。
(あれはダメだな俺の殺気にまるで気がついてない・・)
そう思いながら二人を見ているとシーシャ達がやって来た。
「師匠なんか絡まれてたね」
「あの紋章ってグリヴィス家とルイファス家か・・」
「なんだそれは?」
「両家とも貴族で魔法の強い一族だよ父親が騎士団の副団長なんだよそれでやりたい放題でイラついたりしたら奴隷を殴ったりするって聞いたよ」
「きぞく?」
「親がお金持ちで身分の高いやつのこと」
そう言いカルバは少し不機嫌な顔をした。
(※21.直臣とかそんなようなものか・・・)
そう思いながらカルバ達に引かれながら試験会場に向かった。
※21.直臣:主君の直接支配下にある一族のこと。
入って見ると中心の円を観客席でグルッと囲んだ作りになっている。
「それではエルティア騎士団入団試験を開始します!まずはこれをご覧下さい」
金色の髪を立たせた短髪で白い鎧を身にまとった青年が話し始めた。
「試験はトーナメント方式で行います試験に合格するのは最後の一名と言うわけでなく各ブロックその中の上位十二名の中で欲しい人材だと各団長が各自判断し選ばれた者が合格となります・・表自体は公表致しません出番の方の番号をこちらからお呼びします・・試験自体は自前の※22.実剣を使用します・・勝利条件は相手を戦闘不能にするか負けを認めさせるか殺すかしてくださいぃ!」
青年は目を丸くしながら読んだ。
※22.実剣:実際に戦いや殺しで使う斬れる剣のこと。
「どういうことだ?」
「ようはその番号を呼ばれたら目の前の敵を殺すか気絶させろってことだと・・」
カルバはそう言いながら手元にある札を見せた。
「なるほど・・・わかりやすいな・・・」
そう話し、前のほうの台に立っている青年は軽く咳ばらいをし、そのまま話しを続けた。
「それではまずは第一回戦はAブロックの試験番号4753番と試験番号2465番の方以外は控室で待機か観戦席で待機をお願いします」
そう話しを聞き、カルバともう一人は残りその他の人は入ってきたところから出て、上に上がるものとそのまま控室に向かうものがいた。
俺とシーシャは階段で上に上がり観客席に向かった。
「さてと・・どうなるかな・・」
「でもお師匠の修行に耐えてるんだから大丈夫じゃないの?」
「それはどうかな・・・」
「どういうこと?」
「普通ならそう簡単には負けないだろうが・・・」
そんなことを話していると、試合が始まろうとしていた。
「それでは・・始めてください」
そう青年が言うと二人は動いた。
カルバの相手は氷の槍のような魔法を使うもカルバはその魔法を斬り、相手に接近していき、相手の目の前に差し掛かった時相手の魔法の発動する前に左から右への横斬りで切り裂き上半身と下半身を分断した。相手は切ったところから血しぶきを上げ、下半身は伏臥位に倒れ、上半身は仰臥位に倒れた。そのあと斬られた身体は燃え塵になった。
「しょ・・勝者!4753番!」
青年がそう言うと客席は大騒ぎになった。
「誰なんだあいつは見たことねぇぞ!」
「魔法を剣で斬るなんて・・有名なら知ってるはずだけどな・・」
後や横からそんな声が聞こえた。その後、他の試合も始まったが、魔法と剣を使い戦い勝つものもいれば負けるものもいた。
「なかなか僅差だな・・」
他の試合を見ている途中でカルバが戻ってきた。
「それでは次にBブロックの試合を始めます!試験番号4754番と5010番の方こちらへどうぞ」
青年はそういうとシーシャは自分の番号札を見た。
「あ・・わたしだ・・・」
「がんばれよ!」
「うん」
そうカルバとシーシャは話し、シーシャは向かって行った、少しするとシーシャは戦いの舞台に現れた。
「女?」
「戦いに女も男も関係ない」
そうシーシャとシーシャの相手が話していると青年は開始の合図をし、二人は動いた。
相手は火の玉の魔法を連発しているがシーシャは右周りに走りながら避けていた、シーシャは剣を右から左に振るいシーシャの前の魔法や相手までも凍らせ氷山のように辺りも巻き込んで凍らせた、カルバの時と同様で騒ぎになった。
「ほぉ・・・氷遁か・・・少し教えてあれができるとは少し驚いた・・あれはそんなに生温い術じゃないのだが・・」
「そうなの?師匠」
「ああ・・・あれは風遁と水遁を単純に合わせればいいというわけではない・・・とんでもなく低い温度の風遁に温度の高い水遁を混ぜて術を発動するからな・・・」
「マジで!?おいらにもできるのか?」
「それはまだ・・かな・・あと・・そうだな・・五年は修行しなければ難しいだろう」
「そんなにかかるのか・・やっぱりシーシャは天才だな・・」
「天才や才能って言葉で一括りにするな・・・シーシャにはシーシャの苦労や修練をしてたんだろう・・・御前はそれが足りないだけだ・・」
「な・・なるほど・・・」
そう言いカルバは下を向いた。そんな時に、シーシャは戻ってきた。
「試験会場がこんななのでこの後の試合は日をまたいで行います!それではみなさん明日来てください」
青年はそう話しとりあえずコロシアムから出て宿屋を探し始めた。
「それにしてもシーシャ・・あれはやりすぎでしょ」
「それはお兄ちゃんもでしょ・・体真っ二つって・・・」
「完全に凍らせるよりはマシだ!あれはどう見ても心臓も凍ってたぞ」
「でもまぁ・・カルバもシーシャも下忍の合格だな・・」
「マジでか!?」
「よかった~」
「だがかなり際どかったがな・・・」
「嘘でしょ~・・・」
「そうなの?師匠がいたところの下忍ってそんなに強いの?」
「ああ・・・」
そんな話しをしながら宿屋を探すために辺りを見ながら歩いた。
「明日は師匠の戦いが見れるのか」
「どんな試合になるかな」
「いや・・・俺は出ないぞ」
「え!?なんで!?」
「いや・・・下忍の試験自体は終わったんだ必要ないだろ」
「見てみたかったな」
「そうだよね」
「仕方がないな・・・戦いの手本というものを見せておくのもいいだろう」
「よっし!」
「やった」
そう話し、宿屋を見つけそこに泊まり部屋に入り、印を結び部屋の隅に手を当てて行った。
「何してるんだ?師匠」
「声が外に漏れないための術だ・・盗み聞きされる恐れがあるからな」
そう話し、さらに印を結んだ。
“忍法 言の葉断裂”
この“忍法 言の葉断裂”は周囲に結界を張り結界内の声や物音などを防ぐ術。
「戦時中は※23.草を放って相手の情報を盗むのが多かったからなこういう時は必ずすることにしているんだ」
「なるほど・・」
「そっか!わたし達試験で目立ったから探りを入れる人がいるってことね」
「その通りだ・・」
そう話しながら床に座った。
※23.草=スパイのこと
「でもそんなに強いのに師匠が死んでこっちに来たなんて考えられないけどな」
「そうだよね」
「あの時は食事に薬を盛られていてな・・・毒とかで死ぬわけが無いと高を括ったのが悪かった・・その薬の中にチャクラの動きを一時的に遮断する物があってな・・それを飲まされていてそのあと大爆発だ・・あれは流石の俺もあれには耐えられん」
「そんなのがあるのか・・そう言えばシーシャのあの術っておいらも修練すれば出来るようになるのか?」
「人と同じでチャクラにも得意不得意があるからな出来るかもしれないし・・出来ないかもしれないと言うのが正直だな・・シーシャは水遁と風遁が得意でカルバは火遁と風遁が得意みたいだったからな・・だがカルバはあれくらいの火遁の上の炎遁は出来るようになるが氷遁は難しいと言わざるを得ないな・・・そろそろ寝ろよ」
そう話し床に着いた。
説明文がやたらと多くなりました、すみません。
主人公の藤林がどう試験に臨むのか乞うご期待!