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07 慌ただしいお買い物②

 その後も俺達は色々と食べ物を食べ、胃袋と足が限界を迎えたところでようやく休憩に入った。 マレンさんは体力も胃袋も化け物である。


「はあ……はあ……うぷ、ヤバい……」

「なんだ?芯がないやつだな」

「誰が、あんなに食べるんですか……」


 マレンさんの食べる量はあまりフードファイターを見ない俺でも分かる大食いだ、多分俺の世界でも上位レベルだろう。

 だが、俺のそんな考えは一瞬にして砕け散った。


「おっさん!あと十杯!!」

「……は?」


 訂正しよう、フードファイターは容易に超える人だった。


 その後もマレンさんは追加で十五杯おかわりしたのはここだけの秘密。



       ☆☆☆☆☆☆☆☆



「ヤバい……マレンさんの食べてる姿を見てるだけでお腹がヤバい……」

「まだまだ食べれるな……」

「……その食べ物はどこに入ってるんですか?」

「ふふふ、ここだ!」


 自信満々に己のお腹を叩くマレンさんはまるで家事を褒められた子供のように見える。 まあ、マレンさんが満足してるなら俺も吐きそうな思いをした甲斐はある、のか?


 これでマレンさんの用事が終わったと思った途端、マレンさんが俺の腕を掴む。 どこかで見たことある光景……。


「よし、ソウマ! 次は服だぞ!!」

「あっちょ!?待って!? ホントにお腹が……うぷ……」

「ふふ〜ん! 新作新作!」


 その後俺は見事に食べた物を全てリバースした。




「あーヤバい……まだ酸っぱい……」

「情けないな、本当に」

「そ、そんなこと言わないでください…… は、はぁ……それで?次はどこに?」

「新しい服を買いたくてな、今のでも良いんだが、やはりメイド達から新しいのを買えとうるさくてな」

「なるほど」


 確かに、よくよく見るとマレンさんが着ている服?いや、マントらしきものは所々破れており、汚れている。 下のシャツは綺麗に見えるが。


「えっと、じゃあそのマントを新しく買うんですか?」

「ああ、そうだ。 けど、中々良いものがなくてな……」

「だから服屋に来たんですね」


 いや、普通の服屋にマントって売ってるのか? まあ俺の世界とは違うからなんとも言えないが……。


「店員」

「あっはい! 何かお探しですか?」

「これと似ているマントはないか?」

「えっと、すみません……うちでは取り扱っていませんね……」

「ふむ、そうか。 ではまた来るぞ」

「は、はい!お待ちしています!」


 マレンさんは下調べもせずにお店に入ったようで店員に聞いたが、店員は戸惑いつつもないとバッサリ切り捨てた。 まあそういうところはなんというかマレンさんらしい。


「マレンさん? もうちょっと下調べとかは……」

「下調べ? そんなものをせぬ」

「マレンさん、一回いいですか?」

「む? なんだ?」


 俺は今まで我慢していたことを全て吐き出すように拳を振り上げ、マレンさんの頭目掛けて振り下ろした。 軽い拳骨を食らわせようとした――その瞬間。


「いったぁぁぁぁ!?」

「ん? 何かしたか?」

「い、いえ……なんでも……」


 いってぇよ!? どんだけ石頭なんだよ!? マレンさん別に気にした様子ないし、頭にハテナマーク付いてるよ!?


 俺は真っ赤に腫れた拳を眺めながら、二度とマレンさんに逆らうことや手を上げることをやめると決めた。


「ではまだまだ行くぞソウマ!」

「は、はい……」


 この人に敵う未来が見えない……。




 その後俺達が着いたのは。


「今の私にピッタリじゃないか!?」

「マント専門店?」


 着いたのは服屋でもなくマント専門店だった、早速中に入ってみると本当にマントしかなく、服などは一切なかった。

 すると、突然マレンさんは俺の方に振り向いたと思ったら二つのマントを手に取っている。


「ソウマ! どっちの方が私に似合うと思う?」

「そう、ですね……」


 マレンさんが持ってきたのは青色のマントと黒色のマントを持っていた。 なんとも関連性のない色だ、もうちょっとこう、赤とかピンクじゃない?


 まあけど、マレンさんは金髪でとても魅力的な顔をして、スタイルも完璧でまるで王のように見えるため、黒でもいいと思う。 だが、マレンさんは空も飛べるため青空の青色も捨てがたい。


「それで?それで?」

「マレンさんは王のように魅力的な人なので黒もいいんですが、空も飛んだりするので青もいいかと思ってるんですよね…… まあ、最終的に決めるのはマレンさんなので俺の意見は参考程度で…… って、え?」


 俺が率直な感想を伝えると、何故かマレンさんはこちらに顔を向けないぞと言わんばかりにそっぽを向いている。


「そう、か…… な、なら私は王が好きだから黒にしよう……」


 お会計に持っていく金髪少女を後ろから見たときに耳が沸騰したかと疑うほどに真っ赤になっていた。


(は、初めて言われた……あんなこと……)


 今のマレンさんは耳はもちろん、首から鎖骨にかけて全てがタコのように真っ赤になっている。そんな姿、当然ソウマに見せるわけにはいけない、そんな様子を見ていた店員は俺達を交互に見た後、優しい微笑みを浮かべた。



       ☆☆☆☆☆☆☆☆



 マントを買い終わった俺達は特に用事もなくブラブラと歩いていた。 その間も、いつも騒がしいマレンさんは静寂と化している。


「……」

「あ、あの? マレンさん?」

「……うるさい、喋りかけるな……」

「は、はい……すみません……」


(この私が、人に恥ずかしがっている? そんなはずはない……。 ただ褒められただけだろ……)


 そんなことを心の中で呟くが、いつもうるさい金髪少女は未だに俺の方を一向に向こうとしなかった。






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