第163話
ちょい短め
sideチェリー
「シャァァァク!!!」
「波が来るぞ!避けろー!」
スワンプ・メガロドンの咆哮。それと共に起きる泥の波が私たちの居る足場を飲み込む。逃げ遅れたプレイヤーさんやパートナーが沼の中に落ち……
バクン!!
足場の下の地面を潜航して回り込んでいたスワンプ・メガロドンに食べられちゃった。あの波の攻撃に……避け損ねちゃうと落とされちゃって食べられちゃうんだよね。
「あれ厄介だよねー。狙われた時に波の真ん中辺りだとギリギリになっちゃうし」
「さっきそれでチェリーさんも食べられてましたからね」
やめて思い出させないで。眼前に牙がズラッと並んだ口が迫ってくるの本当に恐怖だったんだから……サメ映画の被害者の気持ちを知ったね。噛まれず丸呑みされてなかったから帰ってこなかったかも……
「それにしても……この子普通に強くない?弱いって聞いたから選んだのに」
「まぁ、あの4体の中でって話ですからね……新しいパートナーを連れてだと他のは無理そうでしたし」
「それはそうなんだよね」
最近、私もミリアちゃんもパートナーを増やしたばかり。その子を連れて他の3体に挑むのはキツそうだったからね……クジラだったら行けたかな?
ちなみに私は近接タイプの子が欲しかったから刀のアーティファクトのムラマサを、ミリアちゃんは防御タイプのヤギのタニップを仲間にしてる。まだ第2進化だから強い相手に出したく無いからね。
「シャァァァク!」
(今度は体当たり……また何人か落ちて食べられたね)
今更だけどスワンプ・メガロドンとの戦いを説明しよう。スワンプ・メガロドンの攻撃は大きく分けてたったの3つで1つ目は足場への体当たり、これは体当たりされた足場にいる落とされて食べられる。
2つ目の泥の波も狙われた足場にいると流されて食べられるし、しばらく足場に泥が残って動きにくくなる。
3つ目は泥飛ばしで当たっても沼に落ちたりしないけど、動きが遅くなって体当たりと泥の波を避けにくくなるから当たらない方が良い。
「とりあえず隙ができたから攻撃攻撃。インディー、マヤ、ムラマサ!」
「そうですね。モロコシ、キャロットお願い!」
風の刃に呪いの塊、火の玉と共に錆びた刀のムラマサとハンマーを担いだキャロットちゃんが突撃する。他にもスワンプ・メガロドンに無数の攻撃が飛んでいった。スワンプ・メガロドンは攻撃をしばらく受けると泥を撒き散らしながら沼へと潜っていった。
スワンプ・メガロドンは攻撃の後、しばらく動きが止まる。その隙に攻撃を叩き込んでいく……むしろそれ以外は沼に潜っていて攻撃しても意味があんまり無い。
回避ターンと攻撃ターン。それがはっきり分かれた戦いだね。
「シャァァァク!」
「また体当たりかよ……おい!早く動けよ!!?」
「人が多くて動けねぇんだよ!だから押すな……って!?」
「「ぎゃぁぁぁぁぁ!!?」」
あー……また起きてるよ。このスワンプ・メガロドン戦、初心者とか戦闘不慣れの人が沢山参加してる……そのせいでスムーズに回避ができなくて事故多発。私たちは巻き込まれたくなくて人があんまり居ない足場に居るように動いてたりする……逆に私たちが邪魔になったら嫌だし。
(ココロちゃんならこういう時もスムーズに動けるんだろうなぁ……)
ココロちゃんから貰った薬も助かってる……いっぱい貰っちゃったけど大丈夫だったのかな?溜め込んでた奴だからってお金受け取ってくれなかったけど?
「シャァァァク!」
「っ!チェリーさん。こっち来てます!」
「あわわ!逃げなきゃ!」
ちょっと考えごとしていたらスワンプ・メガロドンがこっちに向かってきてた。おちおち考え事もできない……スタコラサッサ。
そんな感じでスワンプ・メガロドンとの戦いは進んでいった。良くも悪くも単調な戦い……このまま何事もなく進んでくれればいいんだけど。でもそうは問屋が卸さなかった。
「シャァァァク!!!」
「わっ!?びっくりした!」
突然スワンプ・メガロドンが大きな声をあげるとザブン!と沼に潜った。そして地面がゴゴゴ!!と揺れ始める。揺れで足場から落ちるプレイヤーさんやパートナーも居て新しい攻撃かと思ったけど……スワンプ・メガロドンが落ちたプレイヤーさんを食べに来なかった。
ビシ!ビキバキ!
襲ってこないことに不気味さを感じながら落ちたプレイヤーさんを引っ張り上げていると何かにヒビが入る音が聞こえてくる。その音は沼地に並んでいた霊結晶の柱から鳴っていた……柱にどんどんヒビが広がっていき一際大きく揺れた瞬間、全ての霊結晶の柱が砕け散った。
砕け散った霊結晶の欠片は沼へと落ちると沼の中心に渦が出現、砕けた霊結晶は渦に飲み込まれていく。
ガリ!ゴリ!バク!ゴク!
渦からは硬いものを噛み砕き飲み込む音が聞こえる。渦から次第に白い光が発生、光はどんどん強くなっていって……渦から白い光を纏ったスワンプ・メガロドンが飛び出してきた。
「シャァァァク!!」
その見た目は姿形は変化は無い。だけど身体全体が霊結晶のような結晶に覆われていて光を放っている。結晶の鎧を纏ったようだね。
「シャァァァク!!」
沼に着水したスワンプ・メガロドンは高らかに歌うように大きな声をあげた。それに呼応するように周囲の泥が蠢きサメの形へ変化する。その数は見えてるだけで6匹。
「うわ……なんか面倒な能力出てきた」
多分、第2ラウンドなんだろうけど……これ勝てるかな?私はスワンプ・メガロドンと泥のサメたちを見てそう思った。
スワンプ・メガロドン
あるところに1匹の母ザメの神獣が居た
母ザメは10匹の兄弟サメを産み落としたが、その中の1匹は他の兄弟たちとは違っていた
そのサメは綺麗な海水では生きられず、泥水でしか生きることができない。そんな哀れな子ザメは哀れに思った神の手によって悦楽の沼地へと放流された
母と兄弟たちから引き離された子ザメは誓った。沢山食べて大きくなることを……大きくなったその身体で母と兄弟たちの元へ戻るために




