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味を味わう物語  作者: 暴走紅茶


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22/42

番外編 ゆっこの入部 その1

 私、星崎夕子は、大学に入ったものの、何をしようかなんて考えていませんでした。趣味は料理とか、音楽を聴くこととか、色々りますし、高校まではずっとバレー部に所属していた事もあって、やれることや興味は沢山あります。

 それでも、自分はこの大学で、どうやって四年間を過ごそうかなんて、まだ漠然とも浮かんでは来ないのでした。

 初登校日、私の大学はオリエンテーションとサークルの勧誘期間とで、1週間ほど登校してから、入学式という流れです。明日はそんなオリエンテーション初日。大学がどんなところか、想像するだけでドキドキの不安と、ワクワクの楽しみが胸を刺激します。

「あ~。どんな感じなんだろ~」

 一昨日から始めた1人暮らしのワンルームで、私はそんな言葉を一人発して、布団の上をゴロゴロしている内に寝てしまいました。

 翌朝、9時30分から始まるオリエンテーションに向けて、少し早めの7時に起きると、寝癖を解いたり、朝の支度を済ませていきます。大学は高校までと違い、私服だし、お化粧なんかもしなくちゃいけないので、慣れるまでは早起き生活が続きそうです。ちょっと嫌だなあなんて思いますが、なんだか大人になったみたいでどこかソワソワします。

 9時。オリエンテーションに向かいます。実家から持って来た自転車にまたがり、学校へ。既に学校には沢山の人がごった返していました。上級生が勧誘のチラシを配っているみたいです。1年生と思しき人たちの群れに交ざり、3号館を目指します。その過程で、沢山のビラを頂きました。色々なサークルや部活が自分たちの特色を説明しようと躍起になって作ったであろう、種々雑多のチラシは何だかキラキラして見えました。

 オリエンテーションは始まってしまうと、何と言う事も無く進んでいきます。入学からの流れとか、簡単な英語の学力検査とか、そういったことをします。

 今日の分はとりあえず昼頃に終わり、そこからはサークル・部活の新歓に向かいます。

 どうやって4年間を過ごそうか。なんの当てもありませんが、興味の向くまま、大学内を闊歩します。先ずはバレー部から見に行くことにしました。

 大学に来てまで部活か……といった気はしましたが、向かうことにしました。地図を辿り、着いたのが第二体育館。そこではバレー部の練習風景が見られます。他にも1年生がパラパラと居り、中には先輩と話している人も居ました。大学の広い体育館で汗を流す先輩の姿は高校の時見た先輩よりも格好良く見えました。でも、自分もこうなれるのかなと思うと不安が過り、何となく逃げたくなりました。バレーは嫌いではないですが、別段好きでもないです。何となく中学・高校と続けてきて、一応レギュラーに選ばれては居ましたが、それでも、もういいかなという気もします。大学では他のことをしましょう。そう決めました。決めると、タイミング悪く先輩がこちらにやってきます。

「君、1年生?」

 背の高い、女の先輩。先輩は自信を黒峰と名乗ると、そう聞いてきました。

「はい。そうです。オリエンテーション帰りでして」

「入部希望?」

「興味はありまして、見に来た次第ですが、ちょっと他も気になりまして、今からそっちへ向かうところです」

「そうなんだね。まあ、1週間は入部受け付けてるから、いつでも気軽においでね。詳しい話が聞きたかったら、言ってくれればいつでも話すから」

「ありがとうございます。それでは」

 黒峰先輩はとても感じのいい人でした。そんな方には悪いのですが、私がここに戻ることはもうないでしょう。さようなら、黒峰先輩。


 次に私が向かったのは、お料理研究会。先ほどのバレー部が運動部連に所属する部活だったのに対してこちらはサークル連に所属するサークルです。仲のいい人たちでお料理をするなんて楽しそうですし、男の人の胃袋を掴んで……。キャー。私ったら何を考えているんでしょう。

 ほんのりと赤くなった頬を手の平で押さえます。

 先ずは図書館裏に居を構えるブースを訪ねる事にしました。

「すみません。お料理研究会はこちらですか?」

「そうですよ。1年生?」

 そういって出てきた男の先輩は青木と名乗りました。今日はなんだか色に縁がありますね。

「はい。料理が趣味の1つでして、興味を持ったので見に来ました」

「ありがとう、よかったら腰掛けて」

「失礼します」

「先ず、先入観とかもあると思うから、聞きたいこととかあれば、質問してよ」

「そうですね……

 私は言葉に詰まりました。別に料理が趣味の1つというだけで、サークルでやるとなると、どんな事をしているのか見当も付かず、先入観もへったくれも無かったのです。

「困らせちゃったかな。じゃあ、俺から話すね。

 ここのサークルは、主に料理をしているんだけれど、それだけじゃ無くて、例えば金曜日に集まってお菓子を作ったら、その次の日にはそれを持って遊びに行ったり、夜にみんなで料理をして、それを食べたりしているサークルなんだけど、特に出席義務もないし、集まった時にいる人で、集まった人がしたいことをするってのがサークルの方針だから、結構自由のあるサークルなんだよね」

 う~ん。困りました。自由出席となると、行かなくなる事も考えられますし、友達を作れるかも心配です。折角友達が出来ても、その友達が幽霊部員になってしまう事も考えられますし、ここは慎重に考えないといけませんね。

「質問です。男女比はどれくらいですか?」

「6:4でちょっとだけ女子のが多い感じかな」

 結構男性もいるんですね……。

「総人数は」

「多分40人くらい居たと思うけど、いかんせん幽霊部員が多いからなあ。最近見ない奴もいるしなあ」

 やっぱり幽霊部員が多いようです! 私の大事な大学4年間、幽霊部員という宙ぶらりんな立場で過ごす可能性があると思うと、不安が過ります。自分からそうなろうと思わなくても、仲の良くなった子が居なくなった時、自分もそうならない自信はありません。

「なるほど……。ちょっと考えて、改めて質問などを纏めてから来ますね」

「いつでも待ってるよ。あ、そうだ。ビラは貰った? 明日、料理教室を部室でやるんだけど……」

 もう、興味を無くした私は後半まで聞いては居ませんでした。とりあえずビラを受け取ると、その場を後にします。そのまま校内を散策しますが、今日はめぼしい所を見つけられはしませんでした。


この後少し重たい展開になる予定なので、その前にブレイクタイムですよ。

楽しんでいって下さいね。

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