乾いた大地を踏みしめて・4
―枯渇の海原・カソナード砂海―
砂漠の気候は厳しい。
書物での情報は得ていた一行だったが、いざ体感してみるとあまりの辛さに足を止める。
「うへぇ、あづい……」
「カソナード砂海、その名の通りどこまでも砂の海が広がるようだな」
それに、とオグマが辺りを警戒しながら言葉を続ける。
「ここには地中に身を潜め、砂漠を泳ぐように現れて冒険者を襲う魔物がいるとか」
「げぇ、なんですかそれ! 怖っ!」
だから皆、気を抜いたら危ないぞ。
博識で日頃冗談を言わないオグマにそう言われては、迂闊な行動には出られないだろう。
リュナンも騒ぐのをやめ、とぼとぼと足場の悪い砂上を歩き始めた。
「それにしてもこの日射し、きついな……」
「オグマぁ~魔術で氷出してーなのじゃー」
パスティヤージュで準備はしてきたものの、長く炎天下を歩けば確実に気力体力を削られる。
そろそろどこかで休憩出来ないものだろうかと思ったところで、行けども行けども砂の海。
そして魔物との戦いも連続して、警戒しようにも集中力が途切れかけた時だった。
「!」
地響きの音と共に揺れる足元。
咄嗟にそれぞれ飛び退くと、砂の中から巨大な海洋生物のような魔物が飛び出してきた。
「くっ、ずっと狙われていたか……まずい!」
魔物の巨駆を挟む形で分断されたデュー達は、慌てて武器を構えるが、
「なんだ!?」
その場で勢い良く回転し、凄まじい風を発生させた魔物に吹き飛ばされてしまう。
消耗していた一行は、突然の襲撃に成す術もなく……
「うわぁぁぁぁ!」
「きゃあぁぁぁっ!」
仲間たちの声を最後に、それぞれの視界がブラックアウトした――
――そして。
「……うぅ、不覚をとった……」
先程までとは一転、砂嵐が吹き荒ぶ中意識を取り戻したカッセは、衝撃で僅かにずれてしまった頭巾をかぶり直す。
誰にも見られていないだろうか、と焦るが幸か不幸か辺りには誰も……いや、いた。
同じく飛ばされて意識を失ってしまったのだろう仲間たちが数人横たわっているが、明らかに人数が足りない。
「もしや、皆先程の襲撃で散り散りに……或いは、もう、」
己の中によぎった考えを追い出し、仲間に駆け寄るカッセ。
風は、その小さな体に叩きつけるように容赦なく吹いていた。




