マナの泉を穢す者・4
港町と王都の交わりに存在する町、アセンブル。
小さな村とは比べものにならない賑わいを見せるそこは、デューにとっては少し懐かしい場所でもあった。
「思い出すな、数ヶ月前を……」
記憶をなくして右も左もわからぬままミレニアに連れられて手掛かりを探して、そこで……
「ルナ姐のボインに正面衝突したんじゃったのー」
「そうそう、一瞬だったが確かに豊かな感触が……って、余計な事を言うな」
「てへぺろなのじゃ☆」
まるで遠い昔の思い出に浸るような感覚に横槍を入れられ、デューは眉間に皺を寄せた。
「えぇぇぇぇ姐さんのファンタスティックボインに触ったんですかぁぁぁぁ!?」
「セクハラしたみたいに聞こえるぞ人聞きの悪い……ぶつかっただけだ」
「うらやまくそうらめしい!! 子供はいいなぁ……」
――シャンッ!――
大騒ぎする青年の動きを止めたのは、一際大きな鳴子の音。
おそるおそる見てみるとフィノが舗装された地面に杖を突き立て、ぞくりとするような笑顔で、
「リュナンさん、白昼の往来でそんなに騒いだら見苦しいですよ?」
と、いつもより心持ち高い、優しげな声で注意した。
だがしかし、目は笑っていない。
「……………………ハイ」
(そろそろわかれよ、バカ……)
「デュー君も!」
「なんでオレまでっ」
と、町の入り口で一通り騒いだところで、
「ここはルナ姐と初めて出会った場所なのじゃ」
「そうだったのか……」
叱られる男共は放置して、ミレニアはオグマに説明した。
「町ではチラッと話したくらいだったんじゃが、その後王都に向かう橋が壊されたって話を聞いて見に行って、そこでまたバッタリ会ってのー」
彼女もまた、しみじみと懐かしんで遠い目をする……が、手は何故か何かを揉むような動きをしていた。
「この町の喧騒の中から、ひょっこり顔を出してきそうじゃのう」
「あらん、みんな久しぶりー!」
「そうそうそんな感じで…………お?」
噂をすれば影、とはよく言ったもので、彼女の言葉通りひょっこりと現れたファンタスティックボイン……もとい、イシェルナ。
「おぉぉぉぉ姐さん! 会いたかったぁぁぁぁぁぁぶへっ!!」
「あらん熱烈……でもみんな揃ってこんなとこでどうしたのかしらん?」
暑苦しい歓迎の抱擁をあっさりとかわし、女神は首を傾げた。
一方で地面と正面衝突する羽目になってしまったリュナンが顔を上げると、
「ん、なんだコイツら、お前の知り合いか?」
見るからに風来坊といった感じの男がしゃがみこみ、覗き込んでいた。
「えっ……どちらさま!?」
「と、とにかく、いろいろ話があるから移動するぞ、イシェルナ」
「はいはーい♪」
詳しい話は宿屋で、という訳でイシェルナと一緒にいた男も加え、ぞろぞろと向かう一行。
こうして交わりの町は、懐かしい仲間との再会の地となったのであった。




