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第七画 痛


イラストがあるとキャライメージさせやすくていいですねー。


それでは第七話どうぞ!


「昴…どこに居やがんだ…?」



一は何処かへ行った昴を探して走り回っている。



「一君?」



たまたま通りがかった楓が一の事を見つけ、駆け寄ってくる。



「一君、昴先輩と今までどこに……ってどうしたのそのほっぺた!?」


「色々あってな……」


「い、色々……?どうせ聞いても教えてくれないんだろうけど……そうだ、お昼ね真琴先輩の所に、昨日の答えを出しに行くんだけど」


「あ?……ああ、推薦受けるかどうかだろ?」


「うん、私ね受けることにした。私の力でどこまでやれるか分らないけど、頑張ってみようかなって」


「良いんじゃないか?何事も経験だからな。楓、俺ちょい行くところあっからまた後でな」


「え?もう授業始まるよ?」


「……」



一はクルッと方向転換し



「さぼる!!」



そのまま全力ダッシュを始めた。



「ちょっ!?一く~ん!」





/※/





「残すはここか」



屋上へ続く階段を上る一。すると三人の男子生徒が何やら笑いながら降りてきた。



「はっはっは!おら邪魔だ!」


「どけ!」



無理やり一をどかし降りていった。一は不愉快極まりない表情をし、帯からするに弐年だろう三人組みを見る。



「んだ、あいつら……?」



屋上から声が聞こえる。一ゆっくりと扉を少しだけ開ける。出来た隙間から覗くと、そこには芝生を掻き分け、落としただろう髪飾りを探す昴が居た。



「すば……る?」



扉を開けようとする一だが、目の前の光景を見てその手を止める。



「うっ…ひっぐ…どこだよぉ……なんでみつからないんだよぉ……」



大粒の涙をその紅の瞳から流し、制服が汚れるのを構わず、祖父の形見である髪飾りを探す。



「うぅ……おじいちゃんから……おじいちゃんからもらった、たいせつなものなのに……」



その昴の姿を見て、一はどう声をかけて良いかわからず扉を静かに閉めた。



「……ッ」



一はふと迅の言葉を思い出す。



『昴ちゃんを認めてる弐年は殆どや。殆どってしゃべる事は、少なさかいず認めてへんやつがいてるってことや、気いつけや』



「まさか……な」



袂から霊吸紙を一枚取り出し、それを鶴に折る。そしてその鶴に霊力を込めると鶴はふわっと浮く。



「さっきの二年達を探してくれ」



鶴は何処かへと飛んでいく。一は軽く頭をかき、階段を下りていった。





/※/





「見たかよ、あれ!」


「ああ。あの朱憐 昴が髪飾り一つなくしたくらいで情けねえもんだぜ」


「ガキみたいに泣きまくっててな」



弐年生三人組が校舎裏で笑い声を上げ、一人が袂から何かを取りだす。朱雀の羽を模した、木彫りを髪飾りだ。屋上に落ちてあったものを、この三人組が拾ったのだ。



「しっかし、こんな髪飾りがそんなに大切なものかねぇ」


「どうする?それ。見つかったら面倒だぞ?」


「壊しちまおうぜ。そうすればあいつはずっとあの調子だろうからよ」


「おっ!良いねえ!それじゃあ……」



髪飾りを高く持ち上げ、勢いをつけて



「おら!……って、あれ?」



投げたはずの髪飾りは地面に無く、その男子生徒の手元にも無かった。



「おーあった、あった」


「「「!?」」」



後ろを向くと先程弐年が手にしていた、髪飾りを右手に持っている一が居た。



「てめえさっきの!!」


「何時のまに!?」


「ついさっきだが?」



一は髪飾りを見せ付けるように前に出し。



「これ探してたんだよ。じゃ、これで」



袂に髪飾りを入れ、その場を立ち去ろうとする一の肩を弐年が掴む。



「ちょっと待て、それを大人しく渡せ」


「……断ると言ったら?」


「生意気言ってんじゃねぇぞ!!」


「ぐっ!!」



一は左頬を思いっきり殴られそのまま倒れる。上半身だけ起こし、頬を摩ると表情を変え



「この……いてぇじゃねえか!!」


「!?ぐはああ!!!!」



突然弐年の側にあった、木が拳の形となり一人を殴り飛ばした。



「な、何だ!?ま、まさか……」



ふと視線を一に移すと右手に霊流筆、左手に霊吸紙をもっており“木”と書かれた霊吸紙が地面に落ちていた。一はゆらりと立ち上がり



「こんのやろうどもが……!」


「!!」



弐年も応戦しようと、霊吸紙と霊流筆をとりだすが



「ぎゃああ!!」



もう一人の弐年は、横から現れた竜巻に巻き込まれ吹き飛んでいく。



「く、くそがぁあ!!うあぁあっ!!」



持っていた霊流筆と霊吸紙は突然飛来してきた氷の飛礫つぶてが当たり、地面に落ちる。



「は、はえぇ……こっちが書く前に動書術を……」


「てめえはやっちゃあいけねぇ事を二つした……」



人差し指を立て



「ひとぉつ。オレ口調とはいえ、女を泣かせた事だ(俺も泣かせちまったような気がするが……)」



自粛気味に小さく後者を呟き、次に中指を立てる。



「ふたぁつ。それは……既に殴られた俺の頬を殴ったことだぁぁ!!!!」


「なんだそりゃぁああ!!??」








「ちょっと良いか?」


「え?ひっ!?」



一は弐年参組の教室に行き、昴のクラスメイトである菊山キクヤマ 冴子サエコに声を掛ける。が、一のその顔を見て冴子は思わず悲鳴に近い声を上げる。何故なら、一の左の頬がかなり腫れており、痛々しすぎるからである。



「朱憐 昴居るか?」


「えっと…居ないよ?さっきの授業も姿見えなかったし……」


「そうか……もし来たら、昼休み、生徒会室に来てくれって伝えてくれないか?」


「うん、わかった」


「ありがと、それじゃ」



一は「いてぇ」と頬を摩りながら、そのまま歩いて行った。



「あれ?あの子どこかで……あ」



入れ違いで教室に入ってきた昴。彼女はどんよりとした雰囲気を出しつつ、自分の席に座る。



「昴ちゃん」


「……何だ、冴子」


「さっき、昼休み生徒会室に来てくれって来た子が居るんだけど」


「誰?」



冴子は首を横に振る。



「わからない、けど帯の色から壱年生だと思うんだけど……」


「壱年?……まさか」





/※/






「失礼します…って玄枷先輩?」



昼休み。昴が生徒会室に来ると、そこに居たのは迅ただ一人だ。



「ようきたね、昴ちゃん。さっきまでせーと会長と楓ちゃんおいやしたんせやかて、どっちもじきに居なくなってしもたんやで」


「そうなんですか……」


「そや、そや。これ」



迅は袂から物を取り出す。それは、昴がずっと探していた髪飾りだ。



「こ、これ!!どこにあったんですか!?」


「一君が拾った言っとたで」


「じゅ、十文字が……?」



昴は迅から髪飾りを受け取り、抱き寄せるように持つ。



「良かった……良かった……!」


「実はな、一君拾ろうた言うのは嘘や」


「え?」


「ほんまは弐年のいけずな連中が、そん髪飾り拾うて壊そうとしたんや。それを一君が奪え返した。恥ずかしがりやさかいに、僕に髪飾り渡して後で昴ちゃんに渡してくれって言うとったんや」


「あ、アイツがそんな事を……」



昴はぎゅっと拳を握り



「すいません、オレ行くところあるんで、これで失礼します!」



昴は頭を軽く下げ、生徒会室を出て迅は「ほなな~」と手をひらひらさせながら昴を見送った。





/※/





「一君……さっき見た時よりも痛々しくなってるんだけど……」


「保健室で氷か湿布もらったら?」


「そうした方がいいよ」


「お、おお……」



楓とクラスの皆からそう言われ。本格的に痛くなってきた頬を摩りながら一は机に突っ伏す。



「は、一は居るか!」


「?よお、ここだ」



昴が一のもとにやって来る。



「あ、あのさ……ちょっと一緒に屋上に来てくれないか?」


「……別に構わないが」



一は席を立ち、昴と一緒に教室を出て行く。



「また一君連れて行かれた……」


「そういえば、さっきも朱憐先輩来てたよね?」


「うん、けど何かさっきと違って怖くなかったような……」





/※/






屋上に着いた一と昴。昴は一と目を合わさず



「あ、ありがとう……」


「は?」



思わず呆気にとられた表情をする一。昴は一の方を少しだけ向き、手のひらにある髪飾りを見せる。



「髪飾り……お前が取り返してくれたんだろ?弐年の奴等から」


「それ誰から聞いた?」


「玄枷先輩だけど……」



一はわしゃわしゃと頭をかいて、大きくため息を吐く。



「迅のヤロウ……余計な事言いやがって……」


「そ、それでさ……お、オレ、お前にお礼しなきゃな……」


「あーあーそんなのいらねぇよ。それよりその髪飾り、かなり大切なものなんだろ?だったらもう落とすな。また落としたら、お前のじいちゃんが悲しむ」


「ッ……」


「それとよ……さっきは悪かった」


「?」


「ほら、二時間目始まる前だよ。お前の気持ちも知らずあんな事言って本当に済まない」



一は深々と頭を下げる。昴は焦りながら



「い、嫌…別にもう気にしてないし。それにオレの方こそゴメン……殴っちゃって……そのほっぺ、オレが殴ったからそうなったんだろ?」


「これか?…これはお前のせいじゃないから気にするな。あ、昴、お前が良ければまた術書闘儀するが……」



その言葉に昴は驚いた表情を見せるが、直ぐに笑顔になり首を横に振る。



「もういいんだ。本当はお前を認めたくないって気持ちが大きかったんだけど、今は不思議とそんな感じがしない。戦うこと意外でも認めることが出来る……おばあちゃんの言ってたこと、正しかった!」


「は?……なんだか分らないが。あ、悪い。俺、昼飯食ったり湿布もらったりしに行かなきゃなんねぇからもう行くわ」


「ああ、それじゃまた後で生徒会室でな」


「ああ、じゃあな」



一はそう言い、屋上を後にした。昴は松ノ木に背を預けて



「十文字……一か。ちょっと生意気だけど、結構良い奴じゃん。ふふっ……」







そろそろ、もう一つの大陸の話も作ろうと考えています。近日中には詳細を発表します。

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