02 クエスト受注
「あー、ねむ……」
やっぱり集合時間もっと遅くすればよかった。
てか、もう二人来てんじゃんまじめ__、ちょっと気まずそうなのが笑えてくるな。
とはいえ、時間はきっちり守っている。意外。
「カノン!昨日ぶりだな。今日のクエスト、共に頑張ろう」
「チッ、てめぇが時間決めたくせに遅れてんじゃねぇよ、15分前に来いや」
「はいはーい。すいませんでしたー」
「もっと誠意を見せろや」
ノエルって、もしかして誠実だったりする__?
15分前に来いとか言ってるし、言ってることはちゃんとしてるんだよな。
口がちょーっと、悪いけど。
「今日は何のクエストを受けるんだ?」
「……皆で決めようかなーって」
「どうせ決め忘れたとかじゃねーの」
ギクッ。……意外と鋭いじゃないか、ノエル君。
「何も考えてなかったわけじゃないよ?ちゃんとパーティーの立ち回りを考えてた、偉いでしょ?」
だから、今日寝不足なんだよ。まじで感謝してほしい。大事なこの私の睡眠時間を削ったんだから。
ひれ伏して崇めてもらっても良いかも。
「あぁ、だから今日は目の下の隈がすごいのか!私たちのために、ありがとう」
「リーダーになりてぇからってポイント稼ぎしてんじゃねぇよ」
「む?なぜそんな言い方をするんだ。私たちのせいと言っても過言ではないのだからな」
「あ?うるせぇよ、チビが」
「私はチビではない!」
「まだ出会ってちょっとしか経ってないのに仲良いね」
「「仲良くない!」」
本当に息ぴったりだ。これが戦闘にもでてくれないかな。
「じゃ、そろそろクエスト受注しよっか」
「賛成だ」
「あくしろや」
仲間一緒に掲示板を見に行くのはなんだか、こう__フワフワするな。
前のクソパーティーでは、クエストなんてリーダーが勝手に決めてたからなー。
皆で選びに行くってなんかちょっと嬉しい。
「これなんでどうだ?ゴブリンの群れ退治」
「お、いいね。ナイスセンス」
「おい、今日一番敵を倒したやつがリーダーだってことを忘れんなや」
「一番頼れると思った人、じゃなかったっけ?」
「ごちゃごちゃうるせぇんだよ。一緒だろ、一番戦力になる奴が一番頼れんだよ」
まぁ確かに、一理ある。
「じゃあゴブリン退治にレッツゴー!」
「「……」」
「え?無視?」
「めんどくせぇ」
「すまん、やり慣れてなくてな」
少し不安になってきた。
***
現在、ゴブリンの群れがでた集落に馬車で向かう途中なのですが……ノエルとアリスが喧嘩しててとっても気まずい件。
「あ?うっせぇよチビ」
「だから、チビではないと言っているだろう?」
「あ?どう見たってチビだろ、100センチもないんじゃないか?」
「失礼な!100センチぴったりだ!」
「んなもん、ねぇのと一緒だわ」
この二人まじで相性良くない?
というか……二人の格好のほうが気になる。
アリスは自分の身長の倍ぐらいある両手斧を手に持っており、なんか謎に分厚い。重そう。
ノエルもアリスに負けないぐらいの大鎌だ。
色も赤がベースで本当に死神が使うんじゃないか?。
「2人とも__本当にそんな大きい武器で戦えるの?アリスに至っては身長の2倍くらいあるよ?」
「うむ!問題ないぞ」
「何回も言わせんなや、誰が使えねぇ武器使うんだよ馬鹿が」
使えなさそうだから、心配してるんだよ。
「お客さーん、もう着きますよぉ」
「はーい。ありがとうございます」
さぁ、この新しいパーティーでの初戦闘、どうなるんだろう。
少し__というか結構ワクワクしてる。
「本日は依頼を受けてくださりありがとうございます」
「あなたが依頼主の村長さんですか?」
「はい、ゴブリン達が夜な夜な畑を荒らすので困っておりまして」
「それは大変ですね」
ここらへんの集落は市場から遠いから食料となる畑を荒らされるのは、さぞかし大変だろう。
……にしても、村長さん__立派な頭ですね。
なんかもう光輝いてるよ。
「ゴブリンの群れはこの間、家の倅が偶然見つけましてね、数は__30体程らしいです。場所は__」
「大きい山の麓ですね」
「おや、言いましたかな」
「いえ、索敵魔法が使えるんです」
「それは良い魔法だ。獣を見つけやすそうだ」
魔物にしか反応しないんですけどね、これ。
しかも、遠すぎると魔物がいるところがぼんやり光るぐらいだからこの距離だと数わからないのが難点。
「じゃあ行ってきます」
「ご武運を」
この時の私たちは想像もしていなかった。
まさかあんなことになるなんて__。